動画では、みうらさんが最後
芝居じみつつ逆ギレしていくようすがすごいですね。




ジョンの「イマジン」というアルバムがあるでしょ?
当時、あの輸入盤を買って、
ジャケットに書いてあった歌詞を訳してみたんです。
僕は、英語はぜんぜんできません。
いまでも海外旅行で
「ディスワンプリーズ」しか言えない僕です。
そんな僕が、
「よし、ジョンの気持ち、わかろう」と思って
一生懸命訳したんです。
訳したんですが、
○○が"ある"と思ってごらん
××が"ある"と思ってごらん、というように
ぜんぶ反対の意味に訳してしまっていたんです。




noをすべて訳し落としたんですね。




それでも、訳し終わったあと、
いい歌詞だな、
すごいこと言うな、
ジョンは!
と感動しました。
「"ない"と思ってごらん」の連続が
あのイマジンという曲の
よさであるにもかかわらず、です。






うすら悲しいです。




おなじアルバムの中に
「オー・ヨーコ」という曲が入っていたんです。
その曲では、
お風呂はいってるときも、ヒゲを剃っているときも
ヨーコの名前を呼ぶ、というんです。




それも、訳したんですか?




はい、訳しました。
僕は当時、彼女がもちろんいませんでした。
のちに、彼女ができたとき、ジョンのように
「オー、●●」というふうに呼んでみまして、
ものすごく嫌われたりしました。
どうやら女子というのは、
あまりにプッシュすると、うれしくないとか、
はずかしいとか、そういう気持ちになるそうなんです。
でも、ジョンは平気で、
世界中にですね、
自分の彼女なり嫁さんだったヨーコさんのことを
広めたりしていたわけです。
これは、
どうかしているな、と。

そんなことが許されるフェロモンというのが、
ジョン・レノンにはあったような気がします。
ふつうだったら
「もうのろけ話はいいかげんにしろ!」
「あんたとはやってられんわ!」
などと、言われるはずなのに。




そういう意見を出させない何かが
ジョンにはあったんですね。




ぼくは、そののちに、
ジョンとヨーコの話を
マンガに描かせていただいたりして
いろいろ調べていくうちに
どんどんジョンのことがわかってきたんです。
(くわしくは、動画をごらんください)




ジョンが全世界に発信していた、
ほんとのカッコよさ。
世間からつけられた価値のカテゴリーに
丸メガネで打って出たジョン・レノンの姿に
衝撃を受けたみうらさんも、
いまではジョンより7つ年上になりました。
悪態をつきつつも、ジョンのことは大好きな、
みうらさんの15個めの恩返しでした。



 
(写真左)ジョン・レノン
/レノン・レジェンド 〜ザ・ヴェリー・
ベスト・オブ・ジョン・レノン〜
発売元 東芝EMI(TOCP-53424)

(写真右)みうらじゅん画/天狗レノン

みうらさんの訳した「イマジン」は、
ジョン・レノンの名曲。
聴いたことがない方はぜひこちらを。


ジョン・レノン
イギリスのロックバンド、
ビートルズのメンバー。
ビートルズ解散後もソロで音楽活動をつづけ、
妻のオノ・ヨーコとともに活躍する。
多くの若者に深い影響を与えるが、
1980年12月に、熱狂的なファンにより射殺される。
みうらさんは、ジョン&ヨーコから真実の愛を学ぶ、
漫画『マリッジ』(1996年5月1日角川書店発行)を描きました。


ザ・ビートルズ
ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、
ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人から成る、
イギリスはリバプール出身の、ものすごいバンド。
活動期間は、1962年〜70年。
それまでのロックとポップスの既成概念を大幅に、
ごっそりそっくり塗り替えた。
ジョンとポールが中心となって数々の名曲を生んだ。

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2005-06-15 WED
(c) Hobo Nikkan Itoi Shinbun 2005