谷ナオミさんは1970年代に活躍した、
日活ロマンポルノのSMの女優さんです。
みうらさんは、高校生のときに
のっけから、ハードルの高い映画を
ごらんになったんですね。
とにかくすごいショックでしたね。
谷さんの縛られていらっしゃる姿が
脳裏に焼きついて、
あとの映画はどうでもよくなるくらいでした。
エロネタというのはですね、液体なんですよ。
はい。
男の頭の上に乗っている、液体なんですよ。
はい。
いまはDVDとか、いろいろあるので
そんなことはないのでしょうけれども、
当時はそういう機器が、いっさいなかったので、
観た映像を自分で頭に
焼きつけなきゃならなかったんです。
何度も言って恐縮ですが、
男の頭の上には大きな鍋が乗っているんです。
はい。
そこに水が、たっぷんたっぷん入るんです。
それを、そっと、
頭に野菜を持っている京都の大原女みたいに、
一滴もこぼさずに家に帰り、
そして、たのしむ、
というしくみだったんです。
ところが、途中で近所のおばさんに
あ、じゅんちゃん、
元気にしてるかぁ?
と声をかけられたりすると、これが
ザーッとこぼれるんです。
それは悲惨ですね。
ええ、悲惨です。
谷ナオミさんは、とにかく
「縄が似合う」というんですかね、
むちっとしてやわらかそうなお肉だったんです。
また、眉間にしわが寄るんですよ。
最近とんと見かけなくなったでしょ、眉間のしわ。
キューッと寄る、ね?
はああ。
眉間のしわは、
天知茂か谷ナオミ、と言われていた時代でした。
若林豪さんなど、現在に引き継いだ方はいますけれども、
女性でいい眉間のしわが出るのは、うーん‥‥‥‥
‥‥‥‥平成になってからは見ていないですねえ。
なるほど。
それで、結果的に、
みうらさんはSだったんですか、Mだったんですか。
自分ではSだと判断したんですけれども、
のちにMの人とも知り合う機会があって、
『愛にこんがらがって』という小説を書きました。
そこでわかったことはね、
Mの人って、Sにものすごく期待をしているわけですよ。
Sは、サドのSじゃなくて、
サービスのSなんです。
これはたいへんなことだ、ということがわかりました。
結局自分は、SでもMでもなく
ニュートラル、すなわちNなんだということを認識し、
がっかりしましたよ。
あまりがっかりなさるようなことでも
ないんじゃないでしょうか。
いや、どっちかに振れれば
「変態」と呼ばれたりして、わかりやすいでしょう。
「みうらってどんな奴なの?」
「ああ。変態だよ」
「なあんだ」
と、肩書きのようなものができるもんです。
それを得られないまま、結局僕は
悩みつづけていくんです。
僕の悩みの原因はNにあります。
どっちかに振れたい気持ちで
いっぱいなんですね。
それが、ニュートラルに入ってしまっている。
いま、ギアは、
リチャードですよ?
?
リチャードですよ?
‥‥‥‥。
‥‥‥‥。
‥‥‥‥わかりました。
さて、昨日みうらさんが服を着替えましたので、
昨日メールをくださった方の中から抽選で3名様に
プレゼントを勝手に送ります。
突然ご連絡をさしあげますので
びっくりしないでくださいね。
次回からこの「じゅんの恩返し」は
すこしだけゆっくりしたペースでお届けします。
折り返し地点にさしかかったところで
みうらさんの「恩返し」を
キッコロとモリゾーのペースに合わせるためです。
「SMが好き」とカミングアウトできるのは
大人になった証拠と言いながら
「飼育」という言葉を口にするときに
自虐的にフッと笑った姿が印象的だった、
みうらさんの21個めの恩返しでした。
谷さんに興味を持たれた方は、
みうらさんが監修した
『永遠のSM女優 谷ナオミ』を手にとってみてください。