突拍子もないとんまつりが、 日本各地で執り行なわれています。



今日は、とんまな祭り=とんまつりに
恩返しの回ですが、
みうらさんは動画の冒頭5分もの時間を使って、
唐突に北島三郎記念館のことをお話しくださいました。
現場は抱腹絶倒だったのですが、
肝心のとんまつりの話になかなか行きつきませんので、
動画を分割いたしました。
北島三郎記念館の話をごらんになりたい方は、
こちらをクリックしてください。



「祭りだ祭りだ」つながりで、つい、ね。




北島三郎ロボの動きには、びっくりしました。
ところで、約3年半のあいだ、地方のお祭りを
熱心に巡られたみうらさんですが、
どんな小さな祭りにも、
カメラおじさんは、いるものなんですね。




たいがい、背中がメッシュになってるベストを
着用なさっているから、すぐわかりますよ。
日本でいちばんはじめに
クールビズを取り入れたのは、彼らですからね。
祭りには毎年来ておられるから、
いちばんいい写真が撮れる場所を
よくご存知なわけですよ。
はじめて「笑い祭り」に行った当時は
僕はまだビギナーでしたから、
カメラおじさんのひとり、
ま、僕からすれば先輩ですね、に訊ねると
「ああ、あのへんがいいよ」
と教えてくれました。
撮影場所を確保した、と思ってふと見上げたら
その先輩たちは、どういうことか
木の上にのぼっているわけですよ。



けっこう高い木です。
祭りを俯瞰で狙う気なんです。
木ですから、当然、葉っぱなどが
視界に入るので、
枝をボンボン折って、



自然に厳しい反エコで、視野を広くし
写真をバッチバチ撮るわけです。




やはり荒々しい祭りの熱気に感化されるのでしょうか。




そのうえ、ゆかたを着た子どもたちに
「はい〜これ持って〜並んで〜」と
ヤラセをさせたり。




どういう目的を持った方たちなんでしょうか。




祭りの季節になると旅支度をはじめて、
親戚じゅうから
あきれられているにちがいないんです。
そういう人たちが、能力を大発揮する場ですから、
ヤラセぐらい許してあげましょうよ。
でね、この写真、
ちょっとヘンだと思いません?







これは‥‥半裸でキバってらっしゃいますが、
いったい何を‥‥?




ひとり相撲です。




ひとり相撲。




もともとの祭りの名前は
「抜き穂祭(ぬきほさい)」といいまして、
ひとり相撲は、その祭りのなかの
出しもののひとつです。
最近は若貴問題も、もう下火になりましたが、
この方は、ひとりで相撲をとっています。
行司さんが「ノコッタ! ノコッタ!」と
言うんですけども、どうやら
神さまと相撲をとる、
という設定になっているようなんです。





相思相愛かと思っていたら
私のひとり相撲でした‥‥、
という場合以外のひとり相撲を、はじめて見ました。



僕はこれを現地でジッと見ていたんですが、
一本目は、どうやらこの方は負けたようで、
外に飛び出されました。
二本目は、こぉぉぉぉぉぉやって、



何かを土俵の外にポンと置いたときに、
ワァーと拍手が起こりました。
勝ったんでしょうね、どうやら勝ったんでしょうね。
観客も誰も、笑ってないですよ、
みんな真剣ですから。
そして、三本目。
この方は、思いっきりスッテーンと
いいアクションで飛ばされました。
やっぱり神には勝てねえな、と
いうことなんでしょうか。





‥‥すごいことが各地で。




行なわれているんです。
この、ひとり相撲は、
僕が最初に見た写真では、
つるっ禿げのおじいさんがポーンと、
ものすごくいいポーズで投げられていましたので、



祭りの会場で訊ねてみたら、
もうその方は何年か前に
お亡くなりになったということでした。
後継者がいなくて、祭りは下火になり、
一時期は高校生がひとり相撲を演じる、
という辛い時期もあったそうです。
そんな苦難を乗り越え、あるとき
たいへんいい方が市役所に就職されたんだそうです。
「いい人が入ったぞ、
 いい人が入ったぞ(ひとり相撲に)」
ということになり、
つまり、さきほどの写真の男性がその方なんですが、
跡を継がれているそうです。
「これで祭りも安心じゃ!」と、
町の長老たちも大喜びですね。
このように、貴重なとんまつりは
残されていくのです。





よかったですね。




よかったです。
そんな気持ちを込めて、
「みうらじゅんの伝説のゆるキャラショー」のDVD特典用に
「とんまつりJAPAN」という曲をつくりました。
とんまつりを流行らせるには歌も必要だろう、
PVも必要だろう、ということで、
各地で撮ったビデオをつないで画像をつくり、
人間椅子といっしょに歌をつくりました。
そのすばらしいPVを、ぜひ、
こちらからごらんください。




今回は、動画3本収載の、豪華な恩返しになりました。
「じゅんの恩返し」も、残すところ
あと何回なのかわかりませんが、
だんだんとやりたい放題の様相を呈してきましたね。
日常の、圧縮された気持ちが
バーンと爆発する祭りの日。
どんなにとんまなことが行なわれていても、
現地の方々は決して驚かない。
だって、毎年のことだから。
だって、それが我が町の祭りだから。
ここがいったい何という国かすら
忘れてしまいそうな
コンクリートジャングルの住人の心のすき間に
「日本も、そうとうだな‥‥」と思い出させてくれる
とんまつりに、みうらさんの40個めの恩返しでした。







笑い祭りは、和歌山県川辺町で行なわれる。
ピエロのように顔を白く塗ったおじさんが笑いながら練り歩く。


とんまつり
一般的には「奇祭」と呼ばれる祭り。
これを、みうらさんが
「とんまな祭り」=「とんまつり」と命名。
祭りマニアにまじり、祭りのとんまぶりを求めて、
みうらさんは日本全国を奔走した。
文庫『とんまつりJAPAN』をお求めの方はこちらからどうぞ。

北島三郎記念館
偉大な演歌歌手、北島三郎さんの記念館。
生い立ちから今日までをたどることができる。
宝船の上のロボットショーでクライマックスを迎える。
ホテルやレストランも併設。

トップページへ戻る


2005-08-30 TUE
(c) Hobo Nikkan Itoi Shinbun 2005