とんまな息子をいつも見守る 最後におかんに恩返し






みうらさん、とうとう最後の恩返しです。
最も恩返しをしなくてはいけない人物が
ラストに残りましたね。
みうらさんのお母さんです。
いま、お電話がつながっています。





うそでしょ。




うそです。





ああよかった。
(ホッとするみうらさんを見たい方は
 こちらをクリック)
僕は、親孝行はしたいんだけど、
ひとりっ子ですから、照れくさいんですよ。
兄弟がいたら、きっとみんなで
押しつけ合えたりするんだろうけど
親にとって、親孝行ができるのは僕だけでしょう。
僕はおかんとほんとうに仲がよくて
中学のときに、京都の繁華街「新京極」を
おかんとふたりで歩いていたら
向こうから友達が、彼女を連れて歩いてきたんです。
ま、僕も友達も、
女を連れていたことには
変わりはないんだけど。




はははは。
それはちょっとショックを受けますね。





あ、世のなかは変わっていっているんだ、
と思いました。
それまでは女といえば
おかんで事足りていたんですよ。




ええええ?




おかんで済ませていたんですよ、いろんなことを。
というのはウソですけど、
まあ、それまでは仲はよくて、
そういう環境で満足した毎日を送っていたんです。





最近は、仲よしですか?。





こないだ実家に帰ったら、
親父が「もと僕の部屋」を
自分の寝室にしてしまっていたから、
僕は寝る部屋がなくて、結局
おかんの部屋で寝たんです。
ふとんが妙に離してあって、
へんなかんじだったな。
「そっち行っていい?」とか
言ったほうがいいのかなぁとすら、思ったよ。





言わなくていい、言わなくていいです。




うちのおかんは、
友達が来ると僕の自慢話ばかりするんです。
人に見せる用のアルバムが
出しやすいところに用意してあって、
いとうせいこうさんも田口トモロヲさんも、
歴代の僕の友達はみーんな、やられています。
スッとアルバムを出して
僕が「もうええやろ!」というのも聞かず
「もう、こんなこと言いますにゃわ、この子は」
とかなんとか言って、僕が寝たあとも
僕の自慢話をつづけるんです。




すごいですね。




いとうさんは夜じゅうずーっと
僕のおかんとふたりで居間で過ごし、
とうとう最後に、おかんは
自分が作った七宝焼をバラバラーッと出して
「どれか欲しいのある?」
と訊いたそうなんです。




もらうしかないですね。





もらうしかないよね。




これまでの恩返しで、
ご両親の愛情をタップリ受けて
みうらさんは育ったのだなぁと
しみじみ思っていたのですが、
今回の動画で、その一面が
少しだけわかったような気がします。
みうらさんはよくもまあ、
すばらしいお医者さんばかりにかかったものですね。
風邪の誤診、着物の紐と鎮痛剤、見落とし。
(くわしくは、ぜひ動画をごらんください)





ひどいでしょ。
いまでもあのときかかった医者の前を通るときは
つばをペッ!と吐いています。



ほんとは胆汁を吐いてやりたいんだけど
もう出ないから、胆汁は。




残念ですね。
たいへんな手術だったんでしょう。





手術の傷は、バスケットシューズみたいだよ。
履けそうなくらいです。






ひとりっ子ですから、
お母さんは、さぞご心配なさったでしょうね。





死ぬと思ってた、と言っていました。
手術が成功して助かったときに
「おまえは命を、もうひとつもらったんだから
 もう何をしてもいい。
 何をしても怒れない。
 もう、天使だから」
と、おかんは泣きながら言っていました。
でも、そのあと、僕は
バンバン怒られてっからね!
最近まで怒られてっからね!




ご自分のおっしゃったことは、
スッパリ忘れてしまわれたんでしょうね‥‥。





僕は名前が「じゅん」だから
あまりあだ名はつかなかったんだけど、
入院でしばらく学校を休んで
久しぶりに登校したとき、
僕は「死にかけ」というあだ名を
生まれてはじめてもらいました。
下校途中に道の向こうから
「おい、死にかけー」
と、友達が声をかけてきたんです。



おーい、死にかけー。






あ、どこからか、声が。




あ、イトイさん。






息子が将来の夢を語るとき
「あんたが望むなら、
 何にでもなれる、なれるなれる!」
と言える母親が、この日本に、
はたして何人いるでしょうか。
夏休みの思い出を絵にする宿題で、
息子が水族館に行ったと嘘をつき
絵のなかに王冠をつけたクジラを描いたことで
学校に呼び出されたときに、先生の前で
「嘘やない。私もそれを見ました、見た見た!」
と言える母親が、いるでしょうか。
みうらじゅん、というわかりづらいワルを
47歳まで見守ってくれた、
そして、これからも見守りつづけてくれる、
みうらさんのおかんに、50個めの恩返しでした。
明日は、みうらさんと糸井重里の
恩返しあとがき対談をお届けします。





三浦家のひとりっ子をいまも守りつづけるおかん。
ときには息子に
「ヨン様のようになってほしい」と投書も書く。
本名は三浦嘉子。


おかん
おもに関西地方での、母親の呼称。
関東での「おふくろ」にあたる言葉。
みうらさんのお母さんの母親論、
というコンテンツをいつか「ほぼ日」で組みたいと思っています。

ラストに近づいてきましたので
おたよりコーナー
ッドキャストで聞かせていただいています。
切れ間なくこれだけの時間、
ひとりで話を展開してしまう
みうらじゅんさんの才能にあっけにとられています。
おもしろい。
(かつやす)
男というものは
ちょっと無口でクールな方が
モテますね、きっと。(みうら)
収録していた私たちも、
毎回、あっけにとられていましたよ。
みうらじゅん事務所からの帰り道は、
毎回くちをアングリ開けたまま、
2〜3軒飲み屋をはしごしないと、
「ほぼ日」の明るいビルまでは戻れませんでした。
ほんとです。(ほぼ日)

おしらせ
昨日感想メールをくださったみなさまの中から
抽選で3名様に
FLOG OF JOYTOY Tシャツ(Mサイズのみ)を
プレゼントいたします。
当選された方には「ほぼ日」から
住所などをおうかがいするご連絡をいたします。
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2005-09-22 THU
(c) Hobo Nikkan Itoi Shinbun 2005