みなさん、こんにちは。
2008年、田島貴男のオレのニュースの時間が
やってまいりました。
お元気でしたか、この1年!

「よ! みんな。
 元気でしたか!」



ただいま一行は、成田空港で
フライング気味にカレーを胃に収め、
インドのデリーに向かおうとしています。
今回は、田島貴男ニュース番長と
インドにゼロを探しに行くのです。

「マイナス男のオレに
 ゼロを探せと言うのだな」

番長はたしか、数学は得意でしたよね。
「インドのゼロは大発見だった」と
世界史では習ったものですが、
何がどう大発見だったかと言うとですね、

「ふむふむ」

ゼロが発見されるまでは、
数の位取りがたいへんで
とにかく、大きい数の計算が困難だったそうです。

「というと?」

漢数字でも、位取りにゼロは使われなくて
2008は二千八と書きます。
ローマ数字では、えーっと、MMVIII。

「ふむふむ」

“二千八たす四十二”は、見てパッとわかりませんが、
“2008+42”
と、ゼロを採用することで、格段に
筆算的計算がしやすくなったということなんです。

「なーるほどねぇ。
 数学は、2年くらい前に
 オレのなかで小さなブームがありました。
 サイモン・シンの 『フェルマーの最終定理』って本が
 おもしろくてね。
 知ってる? フェルマーの定理って、証明が
 1000ページくらいあんだってよ、
 ギャッッハハハハハ」

奥が深そうですね。

「とにかく、ゼロって響きがいいよねぇ。
 マイナスという表現もさ、
 ある種の過信ってかんじがするしさ!」

‥‥はぁ。

「どうしてゼロはインドで発見されたわけ?」

なぜインドでゼロが発見されることになったのか、
いったい誰が発見したのか、
いろいろ調べたんですが、
どうもよくわからないんですよ。
「ないものを数える」「存在しないものがある」
という思考が、仏教とつながりがあって、
インドではそういう概念が生まれる土壌があった、
とも言われています。
古代のいろんな文明で、ゼロの概念があったようですが、
いまにつながるようなゼロの考えは、
インドが発祥だと‥‥ま、
ゼロについて書かれた本を
いろいろ買ってきたので、
飛行機の中で読んでください。

「オッケー!
 ちょうどいいことに、オレは、
 最近速読に凝ってんだ!」

そうなんですか。

「そ。速読のガイド本を買ったんだけど、
 その速読の本が、読めないんだよ。
 その本が、速読できないんだよ。
 だから、まだ習得できてないんだけど」

速読する人って、
本をパラパラめくる感じで
読みますよね。
パラパラパラ〜って。

「そっか、やってみよ。
 パラパラパラ〜!(顔の前でページをパラパラ)」

いかがですか。


「うーん。
 風を感じました、インドの風を」

やっぱりちゃんと読むしかありませんね。

「はい。
 最後の最後にゼロを探しに行くって、いいね。
 ゼロになってからの底力がすごいから、我々は」

そうですね、いろいろありましたね。
まだ思い出を語るには早いですが、
ハワイで大雪、西安で大雪、ビーチで流血、高山病、
きのこの山で危うく遭難、何もない田島駅。

「いい思い出だね、
 そういう負の思い出はいいね」

心の底からこりごりですが、
ゼロ以下の思い出は、
いやでも記憶に残るものですね、番長。

そんな会話を機内でも山ほどかわすうちに、
我々はデリーに到着しました。
車で一気にホテルに向かいます。
そのときに目にした風景は、こんな感じ。









(コソコソ)番長、番長。

「‥‥うん。
 あのさ、去年の中国の嘉峪関とか、
 それなりに覚悟あったじゃん?
 今回は、それに比べりゃ、という気持ちでいました。
 空港を出た途端、おやっと思ったんだけど、
 ねぇ、なんか段差がない?
 心の段差、ありませんか?」

どうやら東京とは雰囲気がかなり違うようですね。

「ま、いいや。今夜のところはとにかくメシだな。
 はんにゃ〜は〜ら〜へった。プププッ!
 はんにゃ〜は〜ら〜」

番長、ちょっと申し上げていいですか。

「いいよ」

正直言いまして、その“はんにゃ〜”を
この5年で3回以上、耳にしてきました。
つまり、これまでオール、紙面には不採用です。

「そうか。じゃ、
 キーマカヒミカレーを食おう! は、どうかな?」

‥‥流れでいま、
原稿に載せてしまいましたが、
ほんらいは不採用でしょう。

「最終回ってのはいいもんだな」

とにかく、外に出るのは緊張しますので、
今夜はホテルの食堂に行きましょう。

「よし、オーダーをオレにまかせてくれるかい?」

おまかせします。

「ええっと! 飲み物はまずコーラ、
 チキンカレーは、チキンマサラ?
 パニールって、なんだ? ま、いっか。
 しかし、海外に行くと、とにかく
 メシの量がわかんなくて、困るよねぇ?
 はじめてヨーロッパに行って、
 ひとりでメシをオーダーしたとき
 とんでもないことになったよ。
 7人前くらい来ちゃってさ」

え‥‥!

「腹がはちきれそうになったよ。
 韓国に行ったときも、これとこれ、って
 適当に頼んだら、
 ぜーんぶ、スープだったこともあるし」

(そんな人にオーダーをまかせるのはかなり不安‥‥)
ではまず、いつものコーラで
乾杯しましょう。

「それより、この食堂、
 いきなり混んできたけど」

しかも、我々以外のお客さんは、すべて、
インドの女の子どもさんたちなのです。
この状況は何なのでしょう。

「何かの暗示?」

今夜のところは、この状況もこの国のことも
あらゆることが消化不良ですが、
とにかく、何もかもに備えて
眠ることにしましょう。
明日はゼロを探すため、第一歩を踏み出すのですから。

食堂のようすを、動画でごらんください。

明日の出来事、明日につづきます。

もどる