2日目の朝です。
昨日は到着しただけでしたので、
今日から本格始動です。
番長、おはようございます。
「シャワー、水だったな」
はい‥‥悲鳴あげながらお風呂に入りました。
「ちょっと、散歩でもする?
お!」
「インドの朝って、火星みたいだね」
番長はなぜいつも、ここいちばんのところで
火星を引き合いに出されるのでしょうか。
「いやいや、火星の天候事情って
バッチリこんな感じなんだよ!
オレはさ、天候ってものが
全般的に好きなんだよねぇ(しみじみ)。
1日3〜4回は地球の天候をチェックするし、
火星の天候は1日1回以上気にしてる。
火星って、なんつーかさ、
地球に似て非なるものなんだよ」
番長、火星のことはいま、
置いておいていいですか。
ここインドのことを話していいですか。
「どーぞ」
外を歩くだけでなんとなく緊迫するのは
自分だけでしょうか。
「いや、緊迫はするよ。あの犬とか。
日本にいねぇもんな、あんな犬」
横を通りすぎるのも、恐る恐るです。
「そうそう、緊迫といえば、朝食のとき、
紅茶を飲もうとして
お湯のボタンを押したら、
お茶っ葉が出てきたんだよ。
生きたお茶っ葉が、7〜8ぴき」
‥‥‥‥。
「“あれ? お湯だけじゃないのかな?
お茶っ葉がセットで出てくるのかにゃ?”」
ええ、ええ(泣)。
「オレは思ったよ。
来たな、と」
朝ごはんでホッとさせてくれる、ってことも
インドはなさそうですね。
あ! あれは‥‥犬じゃなくて、もしや‥‥。
「ありゃ、ブタだ。
タッハハハハ、
誰も付き添いがいないんだけど!
すごいな、あれ、
勝手に生きてんだね!」
動物は、原則“のら”のようですね。
まあ、我々も、のらと言えばそうですが‥‥。
散歩しているあいだに、
ガイドさんと車が到着したようです。
ゼロを発見した人が誰なのか、
まずはそれを、手っ取り早く、
「ガイドのジャスミートさんに訊いてみよう!」
そうしましょう。ジャスミートさん、
ゼロはインドで発見されたと言われていますが、
いったい誰が発見したんですか。
ジャスミートさん
「アリヤバータです」
あ?
「あっさりわかっちゃったよ?」
それは、インドの数学者ですか?
ジャスミートさんは、どうして
わかるんですか?
ジャスミートさん
「インドの教科書にそう載ってます」
教科書に。そうなんですか。
「インドでは有名なんだね、アリヤバータ。
どんな人なんだろう」
さて、車が向かった先は、インドの学校、
グル ナーナク パブリックスクールです。
日本の学校とはちょっとちがったイメージで、
ややこぢんまりとしています。
建物の中は、小中高、それぞれの教室に
こまかく分かれています。
とてもきれいな学校で、
先生の目がすみずみまで
行き届いているような第一印象です。
番長、さっそく校長室に
πのトロフィーが飾ってあります。
さすがは数学の国ですね。
ジャスミートさん
「πも、インドの発見ですからね」
ジャスミートさんが、ちょっと自慢気ですよ。
うわ、あそこに挑発的なホワイトボードもあります。
「うーん、手ごわそう」
これから、ゼロを発見したインドで、
どういった数学の授業が行われているのか
見学してみたいと思います。
まずは、小学2年生くらいのクラスに行きますよ。
「そりゃちょっと楽しみだけど、緊張するね。
学校に来るのって久しぶり。
卒業以来かも」
しかもインドの学校ですからね。
「そうだよな」
「かけ算を、さいころをふって
ゲームみたいにしてやってんだね。
か‥‥かわいいな」
でも、それを上回って、
わりと先生が、印象的ですね。
「うん。先生のパワー、すっげぇ。
迫力があんなぁ!
真剣で、一所懸命だよね」
あれだけ仕切られたら、
子どもたちもぼやぼやできないですね。
「ちょっと、久しぶりに
ああいうしゃんとした先生を見る気がするな‥‥」
次のクラスも、かけ算の学習ですね。
生徒がキャンディをふたつずつ手に持って並び
2の段を教わっています。
全体的にアクティビティ方式ですね。
「オレらの世代って、何回も書いて憶えたり
暗唱したりしたもんだけど、
単純に反復練習して憶えるよりも
体験になるから、自然に記憶に残るかもね」
この先生も、きれいな方ですが
真顔ですごい勢いで話されますね。
「先生ってやっぱり、
子どもになめられちゃいかんのだよな。
ちいさい子ども相手でも、
怒るときはちゃんとコラ!って言わんとな」
なんだか、数学の内容よりも、先生に
心が奪われます。
「うん。オレらですら注目しちゃう気迫、
すごいね」
こちらのクラスでも、
やっぱり体験方式ですね。
アプローチのしかたを
それぞれの先生がめちゃくちゃ工夫してます。
「あああ、緊張して、
なんだか汗が出てきちゃったよ」
インドの学校の、パワフルな先生方の指導を
動画でごらんください。
真剣な先生、
そこについていく生徒。
久しぶりのまっすぐな
「学校」の雰囲気に、
気持ちのいい緊張を覚える番長、
次回はゼロの発見者と対面します。
つづきをお楽しみに。
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