ついに我々は
聖地ガンジス川にたどりつきました。
もはや、声が出ません。
河畔には80以上の
階段状の沐浴場(ガート)が並んでいます。
まずは入口にある、
破壊の神・シヴァ神のガートから
おじゃまします。
シヴァ神の頭の上から出ているのは、
ヒマラヤにある
ガンジス川の源泉を示しているそうです。
あたりには、沐浴してる人、
お祈りしてる人、お金を乞う人、
お説教してる人(有料で)、
灯籠流しの花を売る人、横たわってる人、
洗濯してる人、飛び込みしてる人、
踊っている人、とにかくあたりを見てる人、
案内しますよと怪しく話しかけてくる人、
流れていく人、浮かんでいく子ども、
いろんなインドの人がいます。
鳥、ヤギ、犬たちもいて、
お母さんにおっぱいをもらったり、
川の魚などの収穫物を牙で裂いて食べたり
遠くや近くを見たりしています。
全員が、ごくふつうにしていて、
そしてとても真剣です。
ヒンズー教では、
ガンジス川での沐浴は
あらゆる罪を浄化させてくれるのだそうです。
そして、死後に灰となって
この川に運ばれることが、
よりよい再生をかなえるのだそうです。
あつい信仰があって、生活があって、
鮮やかな死と生があって
そこにまじりあう
いっぱいの人がいる。
ガンジスの放つ空気に
あっという間にのまれます。
番長。
「‥‥‥」
すごいですね。
「すげぇな」
もう言うことはみつかりません。
「うん‥‥。
ムリムリ我にかえってみて、思うのは、
“こってり感”が最もこってりしている、
ということだね。
ここはうすあじなところがひとつもない!
美も混沌も
死んでるも生きてるも、
ぜんぶいっしょになってる。
すごいね。
高揚してきたよ。
オレはわくわくしてきた!
岡本太郎さんの
「太陽の塔」と「明日の神話」を
いっぺんに見たような‥‥
表も裏も上も下も何もかも、
ここにはいっしょにありますね。
「ガンジス川が全部、
エネルギーに変換しているような景色だよ」
ガンジス川を目の前にして
わけのわからなくなっているようすを
動画でおたのしみください。
番長、向こうに
火葬場の炎が見えます。
「うん、ここの火葬場では
毎日250人の人たちが焼かれて、
ガンジス川に流れていくらしいよ。
行ってみよう」
火葬場のガートの火は
一日中、途絶えることがないそうです。
どうでした、番長。
「うん。布に巻かれた人が
一回ガンジス川につかって
荼毘に付されてた。
次は女の人を焼くって言ってた。
それから、どんどん
亡くなった人が
お祈りをあげられながら
運ばれてきていたよ。
歌みたいな、キラキラしたお祈りだった。
そこに、詐欺師みたいな人が現れて、
案内してお金を取ろうとするんだけど、
それが映画に出てくるみたいにかっこいいんだよ。
そうかと思えば、
“バラーナシ、ハブーラシ”って
おかしなことを言ってくる人がいるんだ。
神さまも、人間も、動物も、
高貴も下世話も、善も悪もあって、
お祈りもあれば洗濯もある。
神聖なるものも不浄なるものも
ごっしゃごしゃの世界が展開だ!
これは、美しいってやつだね」
そうですね、
美しい、ってやつですね。
「自分のなかで
確実に解放されるものがあります。
ガンジス川の景色、うん、ゼロ感あるね!」
オレのニュースの最終地を
バラーナシにしてよかったです。
「今回、我々は
ゼロを探すという名目で旅をはじめたけど、
そもそもゼロってのはさ、
エネルギーがない状態のことじゃないんだよ。
無の状態から、粒子がいつも
ポロポロと生まれてくるような
エネルギッシュなものなんだよ。
すぐに何かが出てくる可能性を
めっちゃくちゃはらんだ
動的なゼロなんだよ」
エネルギーって
無に思えるところにも
満ちてるのかもしれませんね。
それが、ここインドにいると
すごく素直にわかります。
「そうだよ、
ゼロはエネルギーが無限なんだ。
そういうゼロでありたいですね、
わしは!」
無限とまぜこぜのゼロですね。
なんか、たくましくて美しい。
「うん。オレは、ゼロを発見したよ。
ゼロはエナジーでした!
無限のエナジーでした!
帰ったらがんばろう!」
‥‥帰ったら、仕事をがんばろう!
「‥‥プッ、ハハハハハ!」
ははははは。
「おもしろいよ。
ゼロは、おもしろい!
つまらなくないよ。
なるほどなっとくだよ!」
ガンジス川と
火葬場のガートで受けた、
インドの無限のゼロの風。
その後、我々は
オートリクシャー(三輪バイク)に乗って、
バラーナシの街を走り抜け、
シヴァ神の妃の女神がいる
ドゥルガー寺院に行ってみました。
※注:この方が運転したわけではありません。
リクシャーに乗って、
インドの風を感じる動画をどうぞ。
この寺院でも、いろんなものが
そのままの姿でまじりあっていました。
番長は
「もう、どこをとってもすげぇな」
と、お手上げのようすでした。
明日はインドで過ごす最後の日。
来週の月曜につづきます。
今回のインドの取材をアレンジし、
どんな状況のなかでも
たよりになるガイドとして
旅程にずっと同行してくれたのは、
バイシャリ トラベルズの日本語ガイド
ジャスミートさんです。
赤い(ときには黒い)ターバンが
お気に入りの、元気なガイドさんです。
田島番長は、インドははじめてだったのですが、
スタッフのなかには経験者がおりました。
「ぜったいに、100パーセント、
おなかをこわしますし、痩せこけて
帰国することになります」
と断言していましたが、
全員ぴんぴんして、腹を下したものはおらず、
むしろおいしいカレーとラッシーとチャイで
毎日たのしくすごし、
プチプチに肥えておりました。
ジャスミートさんの的確な指導のおかげです。
習慣も常識もちがう国で、
小学校に行きたいだの、楽器屋に行きたいだの、
でかいシタールを買ってしまっただの、
アグラであぐらをかきたいだの、
ガンガーギャグを飛ばしたいだの、
いろんな要求に、ジャスミートさんは
ほんとうにひとつも嫌な顔をせず、
むしろノリノリで対応してくれ、
いろんな場所でインドの人たちに
取り囲まれる我々を
いつも気をつけて見てくれていました。
ま、最後の最後に、空港で騒ぎを起こして
大きな迷惑をかけることになるんですけどね‥‥。
(これは、おたのしみに)
バイシャリ トラベルズ ジャパンの
サイトは こちらです。
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