ここは、成田空港到着ロビー。
あきらかに周囲と異質な
巨大なシタールのケースを傍らに置き、
自らを惜しみなくダジャレ化する
TAJ MAHALと書かれた
どう見てもインド帰りの
赤いTシャツを着た男がひとり。
番長、終わりましたね、
ゼロを探すインドの旅が。
「終わったね。
インドについて
興味が出てきたよ、
いまになって。
最近オレは峠にしか興味がなかったんだけど」
※峠=バイクで峠などを走ること
「ガイドブックも“スリに注意”のとこしか
読んでなかったからね!
いんやぁ〜、とてもすばらしいところで、
まいりました!
いろんなことを体験しに、
ぜひまた行ってみたいです。
とにかく不意をつかれました。
最後は火葬場のガートにマジ反応しましたね。
ベストやばいプレイスでしたぁぁー!
シタールも練習したいし、
あーあ、また忙しくなっちゃうね、
峠で忙しいのに、いま」
えー、最後の最後、空港で
忘れ物爆弾事件がありましたね。
巨大シタールのせいで、
手荷物があまりにも多い番長のために
スタッフが「ほぼ日」の永久紙ぶくろを提供、
ときには荷物持ち運びを手伝ったりも
していたのですが、
番長は、永久紙ぶくろに入れた荷物をそのまま
空港の待合室の椅子に置き忘れたのでした。
※置き忘れ前の、のほほんとした番長
荷物をかわりに持ったりするのって、
あんがいダメですね。
「オレは記憶が2分くらいしか持たないからね!」
あの置き忘れのおかげで
バラーナシの空港が爆弾騒ぎになりました。
「これ、爆弾ぽいもんね」
※これは、巨大たまねぎではなく、シタールの共鳴胴です。
すでに飛行機のチェックインをしていた
我々に代わって、
ガイドのジャスミートさんが
空港内を走ってさがしてくれたのですが、
ものすごく、すぐに見つかったそうです。
つまり、そのときには、
どこに行っても人がいっぱいのインドで、
荷物のまわりだけには
誰もいなかったからです。
「みんな、外に出て!」
避難命令が出たところだったそうです。
「ジャスミートさんには
迷惑かけちゃったなぁ。
最後、怒っちゃわなかったかなぁ」
怒りはしませんが、
面食らったとは思います。
最初から最後までシタールで‥‥
そういえば食事も、
最初から最後までカレーでしたね。
「そうだったね。
カレーを食べつづけていたね、
成田から‥‥っていうか、この5年、
ずうぅっっと」
そうですね‥‥(コーラも)。
「カレーの旅としても、
田島めぐりの旅としても、
三蔵法師のあとを追う旅としても、
インドのおかげで
オレのニュースを
きれいにしめくくることができました」
毎年、年末年始に疲れ果てて
成田空港で白目むく行為とは、
残念ながらさようならですね。
「おもしろかったねー。
ねぇ、一筆シリーズはなんでなくなったの?
ギャッッハハハハハ、
あれはオレ、大好きだったんだけど!」
そうだったんですか?
ていうか、なぜなに番長も
お好きだったと伺っていたので‥‥
ああ、じゃあ、すぐに
何か色紙のようなものを買ってきます。
というわけで、お店屋さんをさがし、
エアメイル用の便せんのみ
手に入りました。
こちらに一筆をお願いします。
「むぅぅぅぅ〜」
番長、早くしないと
年が明けます。
みなさま、最後の一筆を、
動画でごらんください。
番長、訊いてもいいですか。
「何でも訊いてよ」
野暮だと言われるかもしれませんが、
そのココロは、と
訊いてもいいですか。
「いいよ!
そういうの訊かれるの、好きなんだオレは!
あのね、インドって
カレーみたいなんです、何もかもが。
街も人もそうだし、ごっちゃまぜ。
な・ん・だ・け・ど、パワフルでおいしい。
オレの知ったインドは
おいしいカオスカレーです」
インド元気、って何ですか?
「インドは元気なんですから、とにかく!
‥‥、あ、ちょっとつけ加えていい?
ここにゼロもいれちゃおうっと」
見事な一筆だと思います。
ありがとうございます。
では、タージマハールの内部のように
あっさりさっぱりと、さよーならーを‥‥
言うわけないじゃないですか!
むふふふふ。
ねばりにねばり、最終回は、明日です。
みなさん、明日もお会いしましょう。
(ゼロを探す旅 おしまい)
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