■ニュース その1■
キノコ狩り、恐怖の迷宮。
第2回
沈黙は敵。
田島貴男ニュース番長は、
キノコのふるさとへ車を走らせています。
「キノコってさ、
地球上にいた生物じゃなくて、
よそから来たんじゃないかと思うよね。
そのくらい不思議な生きものだよ。
毒がある、ということも、おもしろいね」
毒キノコのなかには、
食べると内臓が破裂して
死に至るものもあるようです。
「ええええええ?」
気持ち悪くなる番長。
でも、なかには、毒があるが味はうまい、
と言われているキノコもあります。
「味はうまいんだ?
ちょっと笑うくらいなら食べてみたいね!
ところで、キノコって、植物なの? 動物なの?」
どっちでしょう。
動物だとしたら、ちょっとこわいですね。
「だって、南方熊楠の粘菌だって、
移動すんでしょ?
キノコが移動したら、こわいよ」
ええっとですね、今回、
この説明するほど意味がわからなくなる企画の
案内人をかって出てくださった、
キノコアドバイザー西田誠之さんの
情報によりますと、
キノコはカビの仲間であり、動物でも植物でもなく、
動植物とおなじく真核生物として進化した
高等菌類だそうです。
毒キノコには、すぐに症状があらわれるものや、
顕著な発症がないまま長い期間を経て
毒成分を蓄積させるものもあるそうです。
「ギェ、こわいね!」
ですから、キノコを採って素人判断で食べるのは
ぜったいに、やめるべきだそうです。
我々はキノコ狩りを
明日早朝からはじめます。
ご案内は、この西田さんおひとりの予定だったはずが、
あとふたり、集まってくださって。
「ワオ、そうなの? 大がかりだね」
はい。とにかく、日本最強のキノコ名人が3人、
現地で待ってくださっています。
番長はとにかくたのしみにしておいてください。
しかし、キノコの国までずっと運転で、
しかもずっとしゃべりっぱなしですけれども、
疲れませんか?
「ぜんぜん!
ぜんぜん、しゃべり足んない!」
もしかして、どこかに
頭をまわしつづけなくてはならない
という強迫観念が?
「そうかもねー」
頭の回転には、手の運動がいいそうですよ。
番長、この手のかたち、できますか?
「できるよ」
プロレスラーのTKさんから
教えていただいたのですが、
手や指を動かしたり、へんなかたちにしたりすると、
脳の、運動をつかさどるところがよく働いて、
反応が鋭くなるらしいです。
それは‥‥。
「小学生のときに、
毎日ふとんに押しつけて2週間!
それでワタクシ、グワシが
できるようになりました!」
子どもが自分自身を
つい見失ってしまいそうな特訓ですね。
「あとね、きつねもできる!」
(それはどなたでもできるかと‥‥)
「ところでさ、突然だけど!
五平餅が、オレは食いたい。
いい? 次のインターに寄っても」
はい、ぜひ。五平餅って、ほとんど
高速道路のサービスエリアにしか
売ってないですね。
「そーーーなのよ!」
どちらかというとソフトクリームなどのほうが
道中のうれしさが増す気がするのですが、
五平餅ですか。うーん、
100年後の日本に残っているでしょうか、五平餅は。
「なんてこと言うんだ!
オレにとっては
高速道路と五平餅は同一の存在なのに!
あれがサービスエリアに売っていないと、
オレは何のために
高速に乗ったのかわからなくなる」
そりゃたいへんです。
「そんで、まあまあ高い値段なんだよね、五平餅。
オレはね、サービスエリアじたいが好きで、
トイレに寄るだけじゃなくて
ぜったいに店をのぞくよ。
でっかいサービスエリアが大好き」
海老名とか?
「キャハハハハハ! 海老名!」
海老名と言っただけで、そんなに笑わなくても‥‥。
「あれはでかいわ!
着くだけで気分が盛り上がってくんだよね」
あんなにたのしそうにかけてくださっていた
iPodも、かなり前から停止しています。
「ウーン、しゃべり足りないな」
では、しゃべりネタを‥‥
番長、カルタでもつくりましょうか。
「いいねえ、カルタ!」
じゃ、「あ」のつく言葉をお願いします。
「あそび!」
もうちょっと長めの言葉のほうが
カルタになるかもしれませんね。
「アンドリュー!」
あ、あ‥‥?
「だめ? アラベスク!」
い、1個でいいです、1個で。
「アカベラ、とかさ。
あ、アドレナリン!
アパッチ!
‥‥あこがれ、とかね? ふふふ。
あとさきなし! アチョー!」
「あ」が隣席から矢のように降ってきます。
「い」に行きましょう、「い」に。
「イカンガー選手。知らない?
いいとも! いか焼き。
『う』は、うどん。うぐいす。ウコッケイ。浮き島」
あの‥‥番長、これはですね、
思い浮かぶものを
矢継ぎばやに言うゲームなのではなくて、
例えば、「う」で決めていただきたいわけです、言葉を。
「あー、なるほどね。
う‥‥うすばかげろう、うた‥‥
歌いのち!」
いいですね。
「ウッス! うろこ。うでじまん。
打ったァ、ホームラン!」
ところで、番長。
「はいはい」
カルタって、ふつうは、
文章になっていませんでしたっけ?
「ああ、そっかそっか!
カルタといえば、百人一首しか知らないもんな。
百人一首にする?」
(?? それはどういう意味で?)
えーっとですね、
五、七、五なんかだと
いいかもしれませんよ。
「よし、わかった! 早くそれを言ってよ、もー。
じゃ、歌いのち、ではじめよっか。
歌いのち。
オレって‥‥オレって‥‥」
??
「オレって、と言ったとたんに
なんだかドカーンとプレッシャーが来たよ。
オレって、ホニャララ、ありがとう、
ってのにしたいなぁ」
しかし、例えば、仮面ライダーカルタですと、
「つ」で、きっと
つよいあし ひっさつキックだ 仮面ライダー
などでしょう。
これにならって最後を「田島番長」で
しめればいいかもしれません。
「よし!
じゃあ、えええっと
歌いのち ライブあります 田島番長
これでいこう!」
はい、1枚目のカルタが
「う」からですが、決まりました。
しかし、50音すべて行く精神力が、いま、尽きました。
とりあえず、カルタは
この1枚でおしまいにしましょう。
「え? なんで?
もうおわりなの?」
そろそろ車は念願のサービスエリアに到着します。
番長の好きな五平餅、あるでしょうか。
期待を胸に一行は、いそいそと車を降ります。
五平餅が‥‥ない。
パーキングエリア内をくまなく歩いて探しますが、
平日のせいか、どうやら五平餅の販売は
見送られているようです。
落胆を見せる番長に、
サービスエリア内のだんご屋のおじさんからも
「いつもは売ってるのに、おかしいねぇ。
だんご味見してきな」
と、なぐさめの声がかかっていました。
「なぁ〜んだよ、ないね!
残念だね!」
「なかったんでね、ソフトクリームをね」
「夏休みとかそういうシーズンでないからだめだ」
こんなことじゃ、
100年後に、五平餅は。
「‥‥ないな。」
寄り道とおしゃべりの、
キノコの国へのたのしいたのしい道のりは、
明日につづきます。
■最近の、オリジナル・ラヴ
『恋の片道切符/青い鳥』(ポニーキャニオン)
11月16日に発売されたニューシングル。田島貴男さんが日本語の歌詞をつけてカバーしたニール・セダカの『恋の片道切符』、レオン・ラッセルの『青い鳥』の、名曲2曲に加え、新曲の『ピストル・スター』が入った豪華なマキシシングルです。「かっこいいです、番長!」のひとことに尽きます。 |
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