帰ってきた!
田島貴男の
2005年 オレのニュース。


ニュース その1
キノコ狩り、恐怖の迷宮。

第4回
オレたちを撒こうとしてないか?

おはようございます。
さて、本日は、
3人のキノコ名人と待ち合わせて
キノコ狩りに出発です。



朝6:00に集合場所に行くと、番長は
キノコ名人のひとり、西田誠之さんと
すでにキノコについて話し込んでいます。
西田さんが、昨日採れたてのキノコを
持ってきてくださったのです。


本日の案内役のひとり、
キノコアドバイザーの西田誠之さん。




「すげえよ、キノコのかおりがするよ!
 やっぱり、野生はちがうね。
 なめこだって、ぬるぬるがすごいらしいよ」

番長、昨日の図鑑で得た知識を存分に発揮です。

西田さん
「野生のなめこは、ぬるぬるしているどころか、
 ジャムみたいなんですよ」

ジャム!
なめこ=ジャム!
否応なくテンションが上がってきました!


これは、オオキヌハダトマヤタケ。
生まれてはじめて見る毒キノコです。
これ一本で汗が噴出し、瞳孔が開いてしまうそうですよ。


「こわいね、食べられそうに見えるもん」

西田さん
「食用キノコに似た毒キノコを
 みそ汁にして食べて死亡するという
 いたましい事故があったばかりです。
 採ったキノコを素人判断で食べてみる、
 というのは絶対にやめてくださいね」

こわいです、やめます。

西田さん
「ここから、キノコ狩りの場所まで、
 移動は小一時間です。
 わたしたち3人が前の車に乗って先導しますから、
 ついてきてくださいね」

番長、また運転ですが、
よろしくお願いします。

「はいはい、いいよ。
 キノコってひとつずつに特性があって
 食える、食えない、という要素もあって、
 趣味にしたくなる妙なひろがりがあると思う。
 これは好きになったらハマっちゃうんだろうなぁ。
 しかし、オレがキノコにハマっちゃったら、
 趣味が増えすぎて人生がどうにもならなくなるな」

趣味が多いという自覚はあるんですか?

「あるよ、だって、手いっぱいだもん。
 ああ見てよ、日本の山が見えるのぅ」

紅葉がきれいですね。



前回のはとバスでは、
 我々はアメリカンなシチュエーションだったけど
 今回は、のぅ田島どん、という雰囲気だね。
 どんって、なに言葉? 方言?」

九州でしょうかどうでしょうか?
しかし、番長のおっしゃっているそれはおそらく、
『日本昔ばなし』だと思います。

「ッハハハ、そうだ。
 やまにしばかりにのぅ。
 山に芝って、生えてんのかな?」

うーん、芝のことではなく柴のことだと思います。

「たまには山を見るのも、いいのぅ。
 フォッフォッフォッ。
 ねえ、なんでおじいさんって
 フォッフォッフォッって言うんだろう?」

‥‥ちょっと、わかりません。
歯がないから?

「んなこたぁないだろうよ。
 ああ、ヒルが出るといやだなぁ。
 ヒルとハチと、クマがいやだのぅ」

クマは怖いですね。

「クマって、ものすごく力が強いんだってよ。
 触られただけで
 腕や頬の肉が飛んだりするらしい」

ひえええ。

「ところで、今日の案内をしてくれる
 キノコ名人の西田さんたち、山を歩くのが速そうだね。
 っていうかさ、あの人たちの車、
 さっきからすっげえスピード速くない?」



番長もそう感じていらっしゃいましたか。
かなり速いです。

「こんなに道が曲がりくねってるのに、
 ガンッガン、飛ばしてくよなぁ」

あ、スピードを落とすことなく
キュッと曲がりましたよ。

「やばい、オレらも‥‥あ、コンビニだ」

西田さん
「キノコのある山の近くには、
 お店などがまったくないので、
 お昼ごはんをここで買っていきましょう」


各自おにぎりやお茶などを、買い込みます。

「こんなの売ってたよ!
 イナゴ」
 


イナゴが、コンビニに?

「売ってたの、525円で。
 みんなで食おうよ。
 いま、食おう!」

いえ、これは番長のお昼ですから。

「なに言ってんだよ、遠慮すんなよ(強制)!」

じゃあ、番長からどうぞ。
ぐぐぐ‥‥モロ、虫です。



「食うと、しょうゆとみりんの甘い味がして、
 うまいんだよ?
 おせち料理の甘露煮みたいなもんだよ」

それは味つけがうまいのであって、
虫の味は、どうなのでしょうか。

「うまいよ、うまい!
 ‥‥うっ、口の中にイナゴの足があたる。
 でかいやつは、トノサマバッタみたいに見えるな。
 ていうか、トノサマバッタなんじゃないかな」



番長、このイナゴって、養殖なんですかね?



「和食じゃないの?」

イナゴ押し問答の一部始終をごらんになりたい方は、
こちらをクリックして動画をどうぞ。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)

「虫は、子どものころに大好きで、
 イモ虫をよく蝶に育てていたんだよ。
 ヤゴをオニヤンマに育てたときには感動したね」
 
とんだ虫博士が、ここに。

「川でヤゴをいっぱい採ってきてね。
 シオカラトンボみたいな小さいのはすぐに
 成虫になったんだけど
 でかいオニヤンマだけは、ずーっとヤゴのまま
 バケツのなかで2年くらい、
 死なずに生き残ってて、もう
 『これはどういうことなのかな?
  ヤゴのまま一生を終えるんじゃないかな?』
 とすら思っていたわけ。
 ある日、バケツの中にヤゴがいなくて、
 えー?どうしたんだろう?と思って探したら
 バケツからはい出したらしく、庭に抜け殻があったの。
 バケツ登れるんだったら最初から登れよ!
 なにやってんだよ、2年間も!
 ってかんじでさ。
 
 もうどこかに行っちゃったのかな、と思って探したら
 すぐ近くの木に
 羽根をいまにも伸ばそうとしているオニヤンマが
 一匹いたの。
 でも、羽根が伸びきっていないから、
 まだ飛べないんだよ。
 オレはそれを捕まえて、
 部屋の中で飛ばす練習をして
 そいで、最後にバーン!って放してやったの。
 バーン!って、飛んでったよ」

感動しますね。

「でしょ?
 カマキリのタマゴをかえしたこともある。
 といっても、カマキリのタマゴを
 バケツに入れていただけなんだけどね。
 そうしたら、ちっちゃいカマキリが
 バケツの中でブゥワーってかえってて。
 ものすげえたくさんなの。
 ギャーと思ってそれを庭に
 バーッとバラ撒いたら、もう、その夏
 庭がカマキリだらけになってさ。
 来る日も来る日もカマキリが無限に登場だよ」

そんなお話をうかがいながらインターバルを置くと、
改めてイナゴが食べられなくなります。
さて、車は山道をだいぶ登りまして、
山の頂上あたりまで来ていますが、
まだ、行くんでしょうか。

「近いのかな? いや、まだ行くんだね。
 これはもう、キノコがないはずはないね、こんな場所」

すごいカーブの連続ですね。
番長、我々クルーのひとりが、
さっきから口数が少ないと思っていたら
グロッキーになっていました。

「わぁ、大丈夫?
 前の車の人たちは、ぜんっぜん、
 酔ってないと思うんだよね。
 スピードをゆるめないもん」


暴走カー。

番長、もしかして、また山を下っていませんか?

「‥‥下ってるね。
 ひと山越えるんだね」

いまの山じゃないんかい!

「ここで充分じゃないんかい!
 しかーし、え・ら・い、
 飛ばしてるよね、ほんとに!!!」

これはちょっと、速すぎですね。

「振り切ろうとしてねえか? オレらを」

完全に、撒こうとしている態勢ですね。
もしかして、犯罪の一部に
巻き込まれているのかもしれませんよ。

「さっき渡された採れたてキノコのなかに、
 マイクロチップが‥‥わっ!
 曲がった!」

曲がりました!
すごい、すごい地味な曲がり角でした。

「あんなレアな曲がり角を曲がるのを
 覚えているんだからね!」

帰りに撒かれたらもう、完全に終わりですね。
携帯電話も通じないし‥‥。

「いままで来た限り、街灯がひとつもなかったからな。
 しかたがない、イナゴで食いつないで、
 だんだんからだを
 おたまじゃくしとかに慣らしていこう!」

そうしましょう。

予告された「小一時間の道のり」は
とうにすぎていると思います。
まだまだ明日も、走ります。



なぜなに番長、質問です。
あと4時間で巨大隕石が地球に衝突です。
番長はなにをしますか。

「なあにをしようよ!!
 ‥‥‥‥ブッハハハハ、
 なにしようかね!」

はい。

「えーっと」

‥‥‥‥

「‥‥‥‥」

「どうしようもないね。
 フハハハハ」

ハハハハハ。

「会いたい人に会うくらいしか
 できないね、もはや。
 食べたり話したりはできないかもね。
 
 でも、大絶滅って、これまで何度もあっただろうし、
 生物が5パーセントくらいしか
 いなくなったこともあったんでしょう。
 それでもその都度
 生き残っているものがいるというのがすごいよ」

バクテリアとか、小さい生物が残るんですね。
人間は、だめでしょうね

「人間はだめだろうね。
 でもいいじゃん、
 人間、これだけ
 盛り上がったんだから」

はあ。

「恐竜だってあんなに盛り上がったでしょ?
 で、総崩れになったわけでさ。
 人間、やったじゃん、いいじゃん、充分、充分」

そういわれると、
人間は盛り上がったような気がします。
フィーバーしたような気がします。
やったね!人間
というような気もします。

なぜなに番長に質問のある方は、
件名を「なぜなに番長」として
postman@1101.comまでメールでお送りください。
すばらしい「なぜなに」をくださった1名さまに、
2005年なぜなに大賞として、
「オレのニュース。」公認 缶バッジ
シリアルナンバー011をお贈りします。

※なぜなに大賞に輝いた方には、「ほぼ日」から
 住所やお名前などを
 おうかがいするメールを差し上げます。
 こちらから連絡の取れるメールアドレスから、
 ご質問をお寄せくださいね。

明日につづきます!

なぜなに番長の受付は、しめきりました。
たくさんのご投稿、ありがとうございました。


最近の、オリジナル・ラヴ

『恋の片道切符/青い鳥』(ポニーキャニオン)

11月16日に発売されたニューシングル。田島貴男さんが日本語の歌詞をつけてカバーしたニール・セダカの『恋の片道切符』、レオン・ラッセルの『青い鳥』の、名曲2曲に加え、新曲の『ピストル・スター』が入った豪華なマキシシングルです。「かっこいいです、番長!」のひとことに尽きます。


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