田島 |
ギャハハハ、いきなり
余裕メーターゼロになっちゃったよ。
だって、前を歩いてる中山さんたちが、
もう見えないんだもん!
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── |
ひぃえええ、またですか。 |
田島 |
もういないよ!
おーい! どっちですか。
右ですか!
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中山 |
まっすぐー!(遠い声) |
田島 |
どっちがまっすぐ?!
もう道がないんだけど!!
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── |
ウワーいやです、こんなところで迷うのは!
もしもみなさんの
心のミュージックライブラリーに
The Doors の「The End」がありましたら、
頭で奏でながら、
ここからはおたのしみください。
あ、いたいた!
中山さん、キノコ採ってますよ。

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田島 |
何か採れましたか?
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中山 |
うん、キシメジ、ナラタケね。 |
田島 |
うまそう!
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中山 |
あんまりうまいもんじゃないわな。 |
── |
あっ、しまわないでくださいよ。
写真が撮れなかったじゃないですか。 |
中山 |
こんなんは、撮らんでいいよ。
(早足で去る) |
田島 |
また置いていかれるぞ!
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── |
のろのろしていられませんね!
困惑したキノコ狩りスタートのようすを
動画でごらんになりたい方は、
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(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)

これが中山さんの背中です。
番長は、この背中に、ついていくのに必死です。 |
田島 |
あ! あった、キノコ。 |
西田 |
それは、ショウゲンジというキノコです。 |
── |
どれどれ?
どんなキノコでしょう?(ゼエゼエ) |
田島 |
いま、ここに生えてた。
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── |
けど、すでに採っちゃったんですね、
中山さんが。
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西田 |
このキノコは、幼菌のときに
虚無僧のような姿をしていることや、
ショウゲンジというお寺のお坊さんが
みんなに内緒で食べていたということが
名前の由来といわれるキノコですよ。


開く前はこんなかたちをしています。
なるほど、虚無僧みたいですね。かわいい! |
── |
西田さん、ご説明を
ありがとうございます。 |
西田 |
ほら、ここにもあるね。
うーん、これはちょっと時期が遅いなあ。

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── |
さきほどから、
キノコが地面に生えているところの写真を
撮りたいのですが
みなさんの歯止めのきかない
スピーディな収穫欲が
なかなかそうさせてはくれません。
ところで、キノコ名人トリオのおひとり、
荒谷さんの姿が
もうまったく見えないんですけれども。 |
西田 |
どっかで採ってるんでしょう。
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中山 |
大丈夫ですよ。
ほら、あのへんに、なんとなく見えるでしょう。

あれが、荒谷さん? |
田島 |
おお、こっちにもあったぞ。
これもおなじくショウゲンジってやつですね。

番長が自分でひとつめのキノコを発見!
採ったよ。
さ、行くよ。

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── |
ああ、番長が
どんどん先に行ってしまいます。
いつもの番長であれば、ここで
「やった」とか「採りました!」とか、
大喜びで叫んでいたことでしょう。
しかし、いま、番長は
キノコを採ったあとのうれしい余韻も見せず、
血相を変えたまま歩いて行きます。
しかたがないのです。
ここで一歩でも遅れたらどんどん置いていかれる、
待ってくれない相手だということは
もうわかっている、
すぐに姿が見えなくなる、迷う、
日が暮れる、クマが出る、
そんなことになれば死ぬ。
「オレのニュース」はじまって以来の
無言歩行がつづきます。 |
田島 |
ゼエゼエエ。 |
── |
しんどい、しんどいです。 |
西田 |
あ、そこにあるのは、チャナメツメタケ。
食べられますよ。
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田島 |
うまそうだよ。
いい香り! キノコの香りだよ。
ヌルヌルしているよ。 |
中山 |
はーいじゃー、こっち行きます! |
田島 |
なんなんだ、このペースは。 |
── |
つ、ついていくのに精一杯ですね。 |
西田 |
ほうら、こんなのも採れたよぉぉ。
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── |
一方、西田さんは
マイペースを保っていますね。
この方についていくことにしましょう。 |
田島 |
もう中山さんが見えないぞ。 |
── |
見えないですね。 |
田島 |
(無言で歩く)
ゼエゼエエ。 |
── |
番長、別の生き物のように
息があがってしまっています。
お、中山さんが、しゃがみ込んでいますよ!
あそこには何かがあるはずです。
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田島 |
あー! あったあった!
これは? |
中山 |
アブラシメジ。
すき焼きに入れたらうまいよ。

アブラシメジを採ります。 |
田島 |
うまそう!!!
ほらほら見て見て。

やっと、うれしさを出す番長。 |
中山 |
でもちょっと、
遅め(採る時期が過ぎている)だな。
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田島 |
バッサリ斬られたな。 |
── |
バッサリですね。 |
田島 |
あっっ!
なんだか巨大なのがあったよ。
これはなんですか?
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中山 |
さっきと同じ、ショウゲンジだよ。 |
西田 |
天ぷらにするとおいしですよ。 |
── |
採りましょう、採りましょう。
その後しばらくは無言で、
地獄の底を喘いで歩くような
苦行が続きます。 |
西田 |
このあたりは、めぼしいキノコは
あんまりないねぇ。 |
田島 |
ハァハァ、見つけられないなぁ。 |
── |
ゲホゲホ、まったくないですね。
というより、
中山さんのあとを歩いているから、
ではないでしょうか。 |
田島 |
‥‥そうだよ!
中山さんのあとには、草も生えない。
あの人、人一倍かごもでかいし。
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── |
あれは中山さんの持っているかごで
いちばん小さいものらしいですよ。
ちょっと道をはずしましょうか。 |
田島 |
ちょっぴり危険だけどそうしよう。
ところで、荒谷さんは? |
── |
荒谷さん?
荒谷さんは森と一体化しています。
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田島 |
しょうがねぇな。
よし、わかった。
一瞬、オレはなにをやってんのか
わかんなくなってた。
我々も縦横無尽にこのあたりを探索だ! |