── |
中山さん、なんでおにぎりが、
こんなに巨大なんですか? |
中山 |
わかんね。
おにぎりは、大きいほうがうまいの。
それだけ。 |
田島 |
たしかに、でかいとうまいな。
オレ、一瞬のうちに食ってたね。 |
── |
中山さんのおにぎりを
勢いでいただいてしまい、満腹となり、
行きの道中で買ったコンビニのお弁当が
意味のないものに成り果ててしまいましたが、
まあ、あれおよびイナゴは夜にでも食べましょう。
西田さんは、今日の収穫を
バットに大切に並べています。
 |
西田 |
これは、一見なんでもないキノコですけど、
見る人が見れば、目の色がかわるぞぅ。
でも、中山さんは
もっとうまいキノコを知ってるんですよ。 |
中山 |
脚力がついたら、次は
そのキノコが採れるところへ
連れてってあげます。 |
田島 |
ぜひ。 |
── |
梨を食べながら
キノコ狩りを振り返る一行。
落ち着きを取り戻した番長と
キノコ・ザ・トリオのたのしい会話を
こちらの動画でおたのしみください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)
番長、やっぱり我々は
脚力が足りなかったようですね。 |
中山 |
あっちの山は、いいキノコが採れっけど、
全部斜め歩きの上り下りだから、
きついよ。 |
田島 |
完全に、顔色が悪くなっていくでしょうね。 |
── |

さて、車に乗りまして、
我々は山を降ります。
一同、軽い放心状態です。
番長、本格的なキノコ狩り‥‥ではなくて、 |
田島 |
山登りでしたね。
これは、完全に男はハマっちゃうよな。
仕事を3日休んで気合い入れて行くか、
みたいなかんじだろうね。
このレベルは、ギャルにはちょっと
かわいそうかもしれないな。 |
── |
気合い入ってるギャルは大丈夫でしょう。
死と隣り合わせだったら、きっとやれます。 |
田島 |
ところで、キノコ名人の3人は、
ふだんは何をやっておられるのだろうか? |
── |
お勤めのようです。
中山さんは、お店を経営しておられるそうで、
これから中山さんのお店で
みんなで採ったキノコを食べようということに
なっております。
お店をやってらっしゃるということは、
今日(平日)はお店、
どうなさっているんでしょうか。
ちょっと心配です。 |
田島 |
まさか、休んだのかな?
しかし、彼らの山に入ってからの
目つきの変わりようは、すごかったね。
あれは‥‥そうだな、
オレたちがレコード屋に行って
寡黙になって、
なにもかもをほっぽらかしてしまう、
あのかんじに、そうだよ、
‥‥あのかんじに、似てる!!
オレも、ああいう目、してんな!
|
── |
誰を連れていようが、おかまいなしで。 |
田島 |
楽器屋に行ってもそうだもんな。
たまに思い直したように
「こういうギターもあるよ」なんて
教えてあげたりして。
|
── |
これは男子独特の行動パターンですね。 |
田島 |
「何年のこのアーティストのがあったよ」とか
「これは高いんだよ」とか、
そういえば言動が
完全に同じかんじだよ、ヒャハハハ。 |
── |
見つけてうれしいのに、
露骨に喜ばないところも。 |
田島 |
ッハハハ、いっしょだ! |
── |
トリオ・ザ・キノコのみなさんのタイプが
三者三様でおもしろかったですね。 |
田島 |
キャラのバックリ分かれてるのが、
よかったね。
音楽ファンにたとえるなら、
西田さんは、食えないキノコも
写真を撮ったりして、
収集したものをしげしげと見ておられたから、
完全なるマニアだな。
中山さんは、レコ屋の買いつけオヤジで、
薬になるものやおいしいキノコ専門。
荒谷さんは、独自路線で飛び回っていたし
(あとでうかがったところによると、
荒谷さんは理系のお仕事をなさっていて、
研究用のキノコをさがしていたそうです)。
ところで、前のトリオ・ザ・キノコの車、
帰りはなんだか
ゆっくり走ってくれてるかんじがしない? |
── |
もうレコード屋を
まわったあとですからね‥‥。 |
田島 |
ッハハハ、マッタリしてんだ!
行きは、テンションあがってんだよね、
知らず知らずに。
そうだよね、やっぱ!
わかるわかる!!
楽器買いにいくときもそうだもん、
帰りはユルーくなってる。 |
── |
そう思うと、前の車一台に乗っている人たちが
とてもかわいく思えてきました。
職業も年齢もバラバラで、
まさに、キノコでつながっている3人ですね。 |
田島 |
キノコの話をしてんのかなぁ、いまも。
やっぱ今年のクリタケはどうこうで
シメジはあそこがいい、とか。
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── |
そうでしょうね。
あれ? 突然車が停まりました。
中山さんがなにやら買っています。
ここで何を? |
中山 |
豆腐だけ、買ってくの。

突然、豆腐を購入する中山さん。 |
── |
はあ、豆腐“だけ”?
よくわかりませんが、買物らしいです。 |
田島 |
じゃ、オレもコーラ買っとこ。

みんな、自由が大好きです。

疲れたあとは、コーラがうまいそうです。
|
田島 |
山道に入ったとたん、
中山さんの車が速くなったよ。
速い速い(ツッコミ風)!
あの人は山を見ると、
無意識にアクセルを踏んでいるんだね。
そうなってしまうのだのぅ。
おっと、そういうオレも、
日本の山の風景を見ると、
また『日本昔ばなし』の口調になっちゃった。
しかし、実際に山に入っているときは、
そんな余裕は皆無だったね。
のどか指数、ゼロ。 |
── |
完全に、
心は棒立ちでしたね。
‥‥なんだか、ふたたび車が停まりそうですね。
ショップに寄るようです。
我々も、降りましょう。 |
田島 |
トチの実のおまんじゅうが売ってるよ、
買っていこう。
山椒の佃煮も、白菜の漬け物もうまそうだから‥‥
でも、あんまり買っても食べきれないな。
 |
── |
まだ、イナゴもありますし。 |
田島 |
なんだか、中山さんが
店員のように、店の裏側に入ってないか?
あの人は、このへんの「顔」なんだね、きっと。
 |
── |
さっきの豆腐屋さんでも、
おばさんとやけに親しげでした。 |
田島 |
すげえな‥‥。
あ、こんにゃくの田楽とか、食べていこう!

山の疲れに、みそのあまみが、
ジワッとしみるね。 |
── |
さ、今度こそ、ゴーホームです。
車に向かいましょう。 |
田島 |
あそこ見て!
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── |
ほかのグループが、
キノコの選別してますね。

道ばたで選別してますね‥‥
‥‥中山さんが!
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田島 |
ギャハハ、どこにでもいるな、あの人! |
── |
さて、全員車に乗り、
今度こそ中山さんのお店をめざします。
山を3つほど越え、だんだんと
平地に入っているのが、
樹々のようすから、空気から、わかります。 |
田島 |
山を降りていくよ、我々は。 |
── |
なんだか、すこしだけ、さみしいですね。 |
田島 |
日も傾いてきたし。 |
── |
一日って、短いですね。 |
田島 |
短い一生の短い一日。
すでに、薮が懐かしいね。
薮に帰りたい。 |
── |

このあたりから、だんだん番長の電源が
切れはじめました。 |
田島 |
我ながら、言動に
もう推敲がなくなってきた。 |
── |
番長、いつも推敲を‥‥? |
田島 |
いや、たいしてしてないけど。
言動の、ふるいの目が粗くなっているというか、
完全にふるいのワクだけになってしまっているよ。 |
── |
そういうときは、どうやら世間では
無理して話さなくていいらしいですよ。 |
田島 |
そうなの?
しゃべらずにはおれんなあ。
とりあえず、ジューシーだという、
ホンシメジをはやく食いたいね。
でも、人間が好きなキノコは、
虫も好きだから、
ヒダのところに虫がいるんだってよ。
水につけて追い出すらしいけど、
中山さんはそんなことはしなさそうだから、
虫の何匹かは食うだろうね。 |
── |
うぐぐぐ。 |
田島 |
ま、みんなをそれに馴らしてあげようと思って、
オレはイナゴをね。 |
── |
番長、そこまで考えて‥‥。 |
田島 |
うん、そう。 |
── |
やさしいですね。 |
田島 |
ジェントリーでしょう。
ジェントリー貴男です、ッハハハハ。 |