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イルカ担当の、森昌弘さんです。
先生、よろしくお願いします。
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森 |
どんな技をやってみましょうか。
簡単なものからはじめて、
うまくいけばサマーソルト、
つまり、後方宙返りなんかも
やってみますかね。 |
田島 |
は、はい。 |
── |
イルカのライチくんとハッピーちゃんが
ゆっくりこちらに近づいてきました。
番長、気合い気合い。
番長、なめられんなよ。
番長、ビッとしていけよ。
一同は、なぜか体育会のノリで
白ゴム長の男を見守ります。 |
森 |
どうぞ、ライチにさわってみてください。 |
田島 |
よーし、よーし、ライチ。
すごくあったかいですね。
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森 |
ええ、イルカの体温は
35度くらいあるんですよ。
では、さっそくイルカのサインを
覚えてみましょうか。 |
田島 |
はい、はい。 |
森 |
右手を耳にあてるようにしてから、
いちにのさん!で、斜め前にしっかり手を出すと
イルカが上にあがってくるので、
やさしく握手をしてください。 
こんなポーズで。番長、緊張の面持ちです。
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田島 |
はい、はい、はい。 |
森 |
じゃあ、いちにのさん! |
田島 |
さん! |
── |
あ! 「握手」が決まりました、
決まりました。
番長、ものすごくうれしそうです。
次は、番長の指揮に合わせて2匹が
ピー、ピキュー、ピー、キュー、と
鳴きます。
ひゃあ、かわいいですね!
ここはマリンワールドですよ、
クリスマスのNHKホールではありませんよ、
というくらい、ダイナミックな指揮です。
自信がある分野では、番長はつねに
やりすぎる傾向にあるようです。
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森 |
じゃあ、今度はいよいよ
高度な技に挑戦しましょう。
右手を握って腰を落とし、
イルカをしっかり見るようにして、
手をつき出すと
サマーソルト(後方宙返り)が決まります。 |
田島 |
よし!
ライチ、行くぞ。 |
── |
行け!
ライチくん、上にジャンプ!
したかと思ったら、
番長と握手。 
ちがう、ちがうよ、ライチ!
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森 |
すみません、
もういちど後ろを向いていただけますか? |
── |

ライチに見えないように後ろを向いて、
先生と練習する番長。
よし、今度こそ!
いちにの、さん!
ああ、ライチくん、
また番長とうれしそうに握手。
あまりに握手がかわいいので、
番長、思わず笑ってしまいます。
しかし、これではいかん!
いかんぞ、ゴム長番長! |
森 |
では、ぼくがいちどやってみますので
見ていてくださいね。
こんなかんじで!
森さんが右手を突き出すと、
みごとに後方宙返りが決まりました。
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田島 |
(ガクガクガクガク)
いや、やっぱ先生はすごい!!
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── |
さあ、番長、舞台は整いました。
まわりを海で囲まれたマリンワールド海の中道、
白い舞台に白い長靴。
巨匠田島貴男プリゼンツ、
ライチくんとハッピーちゃんのサマーソルトを 動画でおたのしみください。
(↑こちらをクリックしていただくと、動画をごらんいただけます。)
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森 |
パチパチパチパチ。
バッチリですね。
ライチ、田島さんによく慣れてますよ。 |
── |
パチパチパチ。
遠く離れたプールサイドからも拍手が。
マリンワールドのトレーナーさんたちは
みなさんいい方ばかりです。
泣けてきました、いま泣けてきました。 |
森 |
じゃあ、最後に
「バイバイ」をしてみましょうか。
左手を腰にあて、ポーズを保ったまま、
ゆっくりと、からだをねじります。 |
田島 |
こんなかんじね。
よしわかった。ゴー!
ハッピーちゃん
ライチくん
(遠くのほうでまったく関係のない宙返り)
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── |
やっぱりむずかしいものなんですね。
でも、2回目は成功。
番長も、バイバイをしかえします。
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田島 |
おーい、あいあい、よしよしよし。
ありがとね、どーもね、
ありがとね。
わーい、 ワイワイダオー。 |
── |
番長、もう人間の言葉になっていません。 |
田島 |
イルカって、すごいいいかんじの
目をしてるんだよ。 |
── |
森さん、イルカの調教には
どのぐらいの期間がかかるんですか? |
森 |
個体差が激しいんですが
早い子で1年、遅いのは2年か3年かかります。 |
田島 |
なんだか、雰囲気が
体操の選手みたいですよね。 |
森 |
そうですね、サマーソルトなど、
技の名前も体操そのものです。 |
田島 |
ショーでイルカが
口先で輪を回す芸がありましたが
あれは、すごいですね。 |
森 |
最初は、輪を見せるだけでも
気味悪がってしまうんです。
そこから、ちょっと口先があたる程度でも
ものすごくほめてエサを与え、
「これは怖くない」ということを教えます。
慣れてきたら口のところで
人間が輪を回すんです。
それで逃げなかったらまたほめる。
そうしているうちに、
向こうが、輪を落とさないように
「ひらめく」んです。 |
田島 |
イルカのほうも、
わかろうとしているかんじがしますね。
「なんだよ、どうすりゃいんだよ」って
考えてるもんね。
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森 |
そうです、人間が
考えさせるかんじに
もっていくんです。
あ、そこにいるとあぶないですよ、
イルカに水をかけられるかもしれませんよ。
人間がいやがるのがおもしろくて、
からかったりするんです。 |
田島 |
イルカって、魚の姿をしているけど、やっぱり ものすごく動物だね。
オレらとおんなじ。
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