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■ニュース
その2■
星空につづく道。
第2回
予感。
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ハワイ島に到着した田島貴男番長は、
2年前にむなしく空を見上げた
思い出の道を戻るようにして、
順調に、コナの街に着きました。
誰?という雰囲気ですが、番長です。
ホテルに到着し、荷物を置き、
拷問のように10分後に再集合です。
顔を洗う暇も与えられません。
軽く昼食を食べたあと、
番長がガイドブックを見て選んだ
サウスポイントのグリーンサンドビーチに向かいます。
番長はいまにも
泳ぎたくてたまらないようです。
「あああ、目の前の海で
もう泳ぎてぇ!
ちょっと泳いでく?(真顔)」
番長、これから
ビーチに向かうんですから、
こらえてください。
東京を出るときは夕方だったのに、
夜が来ないまま朝です。
全員一睡もしていませんし、
長い長い、長い一日ですね。
「ぜんぜん、まったく寝る気がないもんね。
いま一日がはじまったって感じ。
みんな違う?」
ふだんの時間の流れで
いまの気持ちを表しますと、
飲み会で話しつくして、
そのあと明け方までファミレスで話しつくして、
朝ごはんと昼ごはんを
そのままそのファミレスで食べてしまって、
話題も枯れ果ててそろそろ解散だね、
というくらいの長時間を
まったく同じメンバーで、
自由時間が一切なく、
すごしている気がするんですが。
「だいじょうぶ、枯れ知らずだよ、
オレの話題のオアシスは。
で、ここから
おにぎり160に入ればいいんだよね?」
道路標識が、おにぎりみたいな
まるい三角形をしています。
「ああああ、おにぎり、おいしそうだね」
ちょっと日本が懐かしくなる瞬間ですね。
今回は溶岩には目もくれず、走ります。
「で、次の曲がりポイントはどんなかんじなの?
この先どのくらい?」
どうやらまだまだのようです。
四国の半分ほどの大きさがあるハワイ島を
約半周しようとしていますから、
そうかんたんには着きません。
「しっかし、寂しい道だな」
うむむ、いつのまにか
なんともいえないプレイスに
突入しましたね。
「まったく、なんともいえないプレイスだな!」
木、おかしくありません?
全部右になびいた形に成長しています。
「風でへんになってるか?
この道、ほんとに合ってるの?」
引き返します?
でも、道はなんとなく
海に向かっているので
合っているような気もしますよ。
「この道の先で車を降りて、
1時間ほど歩くと、
グリーンサンドビーチに着くみたい。
グリーンサンドって、グリーンの砂だよ?
たのしみじゃん?
見てみ、ガイドブックを」
‥‥ばばばば、番長、ガイドブックには
この先お店はひとつもありません、
飲料水等は持っていきましょう、
と書いてあります。
「飲み水!
飲み水、ある?」
さきほどお昼ごはんを食べたお店で買った
紙コップに入ったアイスティを
飲み干したあとの氷の残骸が
さらにとけた液体が少々
紙コップに残っておりま‥‥
「それ、それだ!」
これを全員で分け合う、と。
「大丈夫かな」
だだだだ大丈夫です。
「どうやらトイレも皆無のようだな。大丈夫?」
だだだだ大丈夫です。
「このあたりで道が途切れそうだな。
よし、レッツゴーだ。
日が暮れるまでに着かないと泳げない!」
紙コップ入りの、命をつなぐ水を持っています。
たまらず先を歩く番長が
こちらを振り返って何か言います。
「×××××〜〜〜!!」
えーー?
聞こえません。
「×××××!!!」
やっぱり聞こえませんが、
この状況で言いたいことといえばおそらく、
「風、強えな!」または「日陰がゼロだな!」
と推測できます。
ガイドブックには
「ビーチまで徒歩1時間程度」と
書いてあったのですが、
強烈な向かい風のせいか、
歩いても歩いても歩いてもビーチらしき場所は
視界に入ってきません。
どこにもたどりつかない感が漂います。
ぜえぜえ、
容赦ない向かい風が
果てのない雰囲気を倍増しているような気がします。
「オレはすっごい元気だよ?
向かい風もっと向かってこい!ってな!
ッハハハハ‥‥
‥‥見たよな?」
何をでしょう。
「あの人たち」
「トレッキングシューズに、リュックだよ。
オレら、完全に軽装だよ」
我々はそれぞれ、ウォーターシューズに、
ビーサン、おしゃれサンダル、
ビニール袋に紙コップ‥‥ちんぴらのようです 。
「スーパーのビニール袋に入った荷物が、
強風で腕にクルクル巻きつくから、
手首の血が止まりそうになるんだよ」
ぜえぜえ、
なんだかちょっとした嫌な予感が、
襲ってきます。
この道のりのようすをあらわした、
短いムービーをごらんください。
これが1時間以上つづきます。
明日につづきます。
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