布施 |
さっそくヘルメットをかぶって
望遠鏡の本体を見に行きましょう。
みなさん、気分は大丈夫ですか? |
── |
ここの気圧は
どのくらいなんですか? |
布施 |
平地に比べると、だいたい6割程度です。
空気が6割しかないということは
すなわち酸素も6割ということです。
ですから、頭の回転も6割になります。 |
田島 |
ハハハ。はい。
ゆっくり動きます。 |
布施 |
眠くなったりゲップが出たり
おならが出るのはふつうです。
体からガスが
出ようとするわけです。 |
── |
心配せずにどんどん
出せばいいんですね。 |
布施 |
それから、口数が少なくなるのは、
高山病の初期症状のめやすです。
クルーの方で、無口になっている人がいたら
教えてくださいね。
ふだん無口な人は、気づきにくいですから、
よけいに気をつけてください。 |
田島 |
ははは。無口な奴だとわかりづらいんだ!
チミら、大丈夫? |
布施 |
まあ、番長は大丈夫ですよ。 |
田島 |
ん? |
── |
番長は大丈夫です
(すぐわかりますから)。
すばるの内部に入り、
いよいよ望遠鏡本体と対面です。 |

望遠鏡が見えてきました。 |
田島 |
おほほほほー、
でけえ!
|
 |
── |
ああああ、これがー! |
田島 |
お・ほ、ほほほーー! |

巨大宇宙ロボットのような、すばる望遠鏡本体。
|
布施 |
ここは、望遠鏡の真下です。
つまり、この真上に
直径8.2mのガラスの鏡があるんです。 |
 |
田島 |
これが! |
── |
全貌がとらえられません。 |
布施 |
大きいですからなかなか全体が
見えないですね。
ここがカメラ部分です。
いまは可視光のカメラがついていますが‥‥ |

この部分がカメラです。 |
田島 |
あ、それでこの部分を
赤外線カメラに変えたりするんですね。 |
布施 |
そうです、この部分をチェンジします。 |
── |
可視光‥‥赤外線‥‥? |
布施 |
可視光はつまり、人間が見ているのと同じ光です。
一方、赤外線で撮影すると、
温度の違いが写真になります。
つまり、顔を撮ると
ほっぺだけが赤くなったりする、
あのカメラです。
赤外線の写真からは、
天体の、また違う情報が得られるんですよ。
では、ちょっと離れて
すばる望遠鏡の全貌を見ましょうか。 |
田島 |
おほほほほーー! |
 |
布施 |
望遠鏡にさわってみてくださいよ。 |
田島 |
おほほほほー! |

すばるの足にふれる番長。 |
|
この青い色は、何か意味が? |
布施 |
プレアデス星団(すばる)の色です。
あの星団は、空で
青白く見えるから。 |
── |
テーマカラーのようなものですね。 |

すばるについてくわしい説明を受けます。 |
田島 |
すばるは、星の光を集める鏡も大きいし
カメラもいいし
なんたって世界一の活躍ですよ。
こないだも、すばるが
いちばん遠い天体を見つけたでしょう? |
布施 |
いや、田島さん、くわしいなあ。
うれしいです。 |
田島 |
2年前に布施先生にお会いしてからも、
ひきつづきずっと
チェックして、勉強してるから!
ところで、大気のゆらぎを調整するのは
望遠鏡の、どの部分なんですか? |
布施 |
‥‥またすごいことを訊きますね、
あの下の部分です。 |
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田島 |
へえええ! |
布施 |
お話しがいがある! |
── |
質問が次々に出てきますね。 |
布施 |
僕たちに質問をしてくださる方って
そんなにいらっしゃらないんです。
だいたいこちらが先回りして
説明をするのが常です。
田島さんの知識は驚きですよ。
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田島 |
冥王星がね!
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布施 |
冥王星がね!
|

なんだ? この人たちは。 |
田島 |
冥王星より遠い惑星がね!
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布施 |
いっぱいありますからね。
今後もひきつづき
すばる望遠鏡で観測していけば、
いろんな惑星を
見つけることができるのではないかと思います。
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田島 |
太陽のまわりを
何千年とかでまわる周期のやつがあって、
それがまた、でっかいんだよ!
|
── |
へえええ。
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布施 |
太陽系は僕たちが思っているよりも
もっともっと遠くまで広がっているんです。
ほうき星でも、
とても遠くからやってくるものが‥‥
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田島 |
オールトの雲からね!
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── |
????
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布施 |
そうそう!
ワハハハ、さすが知ってるなあ!!
そうそう、
あそこからやってくる彗星があるんですよ。
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田島 |
いま、探査機が
冥王星に向かってるでしょ、
あれ、たのしみだな!
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布施 |
まだ9年も先ですが、
あの探査機のプロジェクトには、
僕も関わっているんですよ。
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田島 |
ええ、そうなんですか、うわー!
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