■ニュース その1■
田島めぐりの旅。
第6回
田島の法則。
田島貴男番長と、田島と名のつく駅をめぐる旅。
ふたつめの、会津田島駅に向かう電車に
ゆられる一行です。
*
「こういう場合は、
オレについてこい、じゃなくて
オレに行こう、みんなで!
ってかんじだな。
なんかね、わけもなく
自分に自信が出てきた」
朝から田島、田島、と連呼してますし、
あちこちに田島の看板がありますから、
なんだか世界の主人公みたいですね。
「主人公すぎるね」
ところで、さっきから
けっこう紅葉してませんか?
「高揚?」
いえ、紅葉。
「‥‥してる?
あ、してるしてる、ほらほら紅葉してる!
見て見て」
番長は、こちらが先に気づいたことでも、
自分が気づいた瞬間に、
自分が発見したような気になって
逆に同意を激しくお求めになる場合があります。
「我々の旅にも、若干風情が出てきたね。
山にかかったもやが
寒いところに来たよ、ってことを
教えてくれるな」
このあたりは雰囲気がいいですね。
下今市、という駅みたいですよ。
「しも?」
しもいまいち、です。
‥‥詞もいまいち、
曲もいまいち。
「ッハハハハ。
やめてくれよ!」
いまわかりましたが、この電車は
鬼怒川温泉を通るようです。
なるほど、だから景色がいいんですね。
次の田島は、ひきつづき紅葉だったらいいですね。
「紅葉でしょ!
ここですでにこんなに紅葉なんだから」
そうでしょうね。
うきうきします。
「日本は春夏秋冬があっていいねえ。
お! 見た?
いまんとこ、すごいきれいだったよ。
あーあ、なーんで
すぐ見ないんだよ、もう見えませんよ!(プンスカ)」
‥‥ところで、このあたりで次々と
温泉めあての人たちが降りていきますね。
車内が空いて、ちょっと心細くなります。
4車両編成のうち、2両が切り離されて
田島方面へむかうようです。
「オレ方面にね!
着いたら何食べようか?」
まだ牛丼しか食べていませんから、
お団子とか、いいですね!
「団子、いいね。
紅葉に、茶に、団子だな!
いいなあ。でもさ!
温泉はいりてえ」
ここで降りるんですか?
「さっきから、風景が
よさそうな温泉ぽいよ、って
語りかけてるかんじなんだもん!」
しかし番長、今日は
温泉より田島を取りましょう。
「オレへ向かう道は、誘惑が多いんだな」
今日のこのコースを番長の生涯にたとえますと、
いまは、田島番長の
30歳くらいを走っているところでしょうか。
そう言えば、田島駅に着くまで、番長は
学生時代の話をなさっていましたし。
「なぜか、そうだったな。
今日はオレの生涯を追ってるな、まいったなあ。
じゃ、いまこのあたりは何歳なの?
木の葉っぱがちょっとずつ落ちてきたな、
まいったなあ。
このへんで引き返そうよ!」
そんなこと言わずに。
「どこに行き着こうとしてるんだろうね」
そもそも、行き着く場所って
意味があるんでしょうか。
「ほんとにな!
わからないぜ、まったく」
ところで番長、
このトンネル、やけに長くありません?
「長いね。
抜けると雪国だったりしてね?
それか、この紅葉が急に
荒涼とした風景になるとか‥‥」
ありえますよ。
あ、やっとトンネルを抜けたようです。
‥‥あのー、番長、
案の定、なんとなく景色が
変わったような気がしませんか。
「そうだな。
ちょっとやばい、
やばいな」
紅葉も終わってきているような気がします。
ちょっと、さきほどの最初の‥‥
「田島っぽくなってきたな」
はい。
で、思うんですけども、
「言いたいことはわかる」
そのーーーー、番長の名前って。
「オレもいま、それを思っていました。
オレの名前は、ほかならぬ
田島だということを」
つまり、田島の田は、
「田んぼの田」
旅の計画をしている時期に
なぜ気づかなかったんでしょう。
「田島に近づくにつれ
どんどんこういう風景になってくな。
田島の空気って、おなじだよ。
ッハハハハ‥‥田島‥‥ハハハ(力なく笑う)」
もしも、田村をめぐる旅でも、
こうなったでしょうか。
“田村 対 田島”だったら
どっちが、より田でしょうかね?
でも、田村はまだ、人がいそうですね。
「ッハハハハ! 村だから?
無人島なの? 田島は。
さっきの田島駅は、無人駅で、人と会わなかったしな。
次の田島も、人の気配がないかんじがするな!」
でも、これは
めぐらなければわからなかったことですね。
「そうだな。
一か所だけじゃ、発見できないことだな」
*
田島をめぐってみて
痛感したこと。
それは、田んぼの田の字が
名前に入っていたことでした。
あたりまえですが、ほんとうに驚きました。
衝撃を受け、愕然とした語りを展開する
番長のようすを動画でごらんください。
月曜日は、番長、
会津田島に降り立ちます!
|