■ニュース その1■
田島めぐりの旅。
第8回
なにもかもいつも型破り。
これから田島貴男番長がチャレンジするのは
田島万古焼(たじまばんこやき)
という陶芸です。
![](images/3_1_8_1.jpg)
工房の名前は、勝三窯(かつぞうがま)。
入口にいるワンちゃんが
怪しい一行を吠えたてます。
![](images/3_1_8_2.jpg)
不審者扱いもしかたないです。
今日お世話になります、
室井勝良先生です。
![](images/3_1_8_3.jpg)
すみません、なんだか
わけのわからないことをお願いして‥‥
先生
「いいえ、ようこそ。
どうぞどうぞ」
田島万古焼は、
てびねりでつくる、この地方の、
歴史の古い焼きものなんだそうです。
雰囲気は常滑焼に似ています。
焼き時間をのぞいて
2時間ほどで成形できるそうですよ。
![](images/3_1_8_4.jpg)
先生
「ふつうの焼きものは、素焼きしてから
うわぐすりをかけてもういちど焼くんですが
田島万古焼はうわぐすり等は一切使わないんです。
地元の粘土だけで焼きしめるんです」
使えば使うほどつやが出てくる、と
お知らせに書いてありました。
どんなものをつくりましょうか。
小皿とか、花瓶とか、
シンプルなものが
かんたんかと思いますが。
「悩むなあああ」
先生
「では、つくりたいものを
デッサンしてみましょう」
![](images/3_1_8_8.jpg)
「どーーーーしよーかなーーー!!
なんか縄文ぽいものがいいんだよ。
あの、宇宙人みたいな顔してる
遮光器土器ってやつ」
(‥‥宇宙人? 縄文?)
あ、あの、サングラスかけた
土偶みたいなやつですか。
「うん。その、土偶のようなやつの、
どびんをつくりたいんだよ、どびん。
先生、どびんとか急須ってむずかしいでしょうか」
先生
「いや、できますよ」
「そっかー。
ちょっと描いてみますね。
んーー、むずかしいなあ」
![](images/3_1_8_6.jpg)
(番長のデッサンに時間がかかるので、
工房内を見てまわるオレのニュースクルー)
番長、先生の作品、すばらしいですよ。
すごい細工です。
![](images/3_1_8_5.jpg)
先生の大作。花びらがきれいです。
「うううううーーーー」
まずい。
さらに熟考に入ってしまいました。
![](images/3_1_8_9.jpg)
(何かがちがう方向に
向かっているような気が‥‥)
番長。
このペースだとデッサンだけで
先生とのお約束の2時間を
費やしてしまいそうです。
このままですと、
日も暮れます、年も暮れます。
![](images/3_1_8_7.jpg)
軽くかわいらしい小皿をつくるとか、
そういうことはできないのでしょうか、この人は!
「うーん、うーん、
こんなところかな」
できましたか! どれどれ、
見せてくださいよ。
「はい」
![](images/3_1_8_14.jpg)
みなさま、
みなさま‥‥。
この絵を目にしたときの衝撃を
何とお伝えしたらいいのか、
もう正直、言葉がありません。
![](images/3_1_8_15.jpg)
頭のどこかが限界を迎え、
ただただ、ニッコニコの番長を前に
数秒間凍りついた、
それだけでした。
![](images/3_1_8_18.jpg)
「注ぐところを太〜くすることって
できますか?」
先生
「できますよ。
新聞を丸めて入れておけば
燃えちゃって空洞になるから。
小学生の作品なんかでも
バランスがとれないようなやつが
よくあるんですよ。
でも、できます。
そこに水が溜まって使いづらいけど」
使いづらいでしょうね。
「ッハハハハ! それに洗いづらいよね。
鼻とか、立体的にしたいんですよ」
先生
「できますできます」
「ふたから、花びらが
ビラビラ出てるみたいにしたいんですよ」
先生
「できますできます」
ほんとに?
ほんとにですか?
先生、やけになっていませんか‥‥。
![](images/3_1_8_12.jpg)
心配そうにデッサンを見守る先生。
![](images/3_1_8_13.jpg)
心なしか、ほほ笑みが?
ところで番長、この急須を
どのくらいの大きさにしますか?
「あんまり大きくっても、あれだな。
このくらい??」
![](images/3_1_8_16.jpg)
しかし、言い方でわかります。
番長は、ほんとうはもっと大きくしたい、
そうに決まっています。
‥‥先生、大きいほうがつくりやすいですか。
先生
「そうだね、
鼻や目を立体的にくっつけるんだったら、
大きいほうがやりやすいと思います」
じゃあ、大きくする!
このくらい。
![](images/3_1_8_17.jpg)
こんな大きな急須?
*
何もかも型破りな、この急須。
「型破り」という形容が、番長には似合います。
そのことをわかっていたはずなのに
悔しいくらいに忘れていました。
一連のようすを動画でごらんになりたいみなさんは、
どうぞこちら↓をクリックしてください。
このあと、涙の出るような根気の要る作業を経て、
急須の完成は、次回です。
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