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糸井 |
ある種の独身男性の幻想が、
「少年マンガのマネージャー役が
眼鏡をハズした状態」
に、いったりしますよね。 |
田中 |
あはははは(笑)。 |
糸井 |
「もうっ!」とか言いながら、
心配したり、洗濯したり、
お花を見た時に止まっていたり、
子犬とたわむれてみたりするイメージ・・・。 |
柳瀬 |
(笑)でも、試合の時には、
スコアブックをキチッとつける。 |
糸井 |
「それはいない」っていう・・・。
昔はいたのかなぁ?
母親の中には、そういう成分は、
ありましたっけ。 |
柳瀬 |
ああいう女の子は
「絶対に存在しないけど
男のほうは求めている」という、
そういう存在だと思います。
だから、少年マンガには
よく出てくるのに、どんな少女マンガにも、
たぶん、あのキャラは、いないですよね? |
糸井 |
男の足りない部分を埋めるっていう
四角(空欄)があるんですよ。
「ここに人を埋めよ」という空欄のある問題。 |
田中 |
(笑) |
糸井 |
その空欄にはめる答えなんですよ。
神ですよね、言わば・・・。 |
柳瀬 |
(笑)「神」かぁ! |
糸井 |
男らしさの行く末って、どうなるんだろう?
・・・まぁ、
どっちでもいいような気もするけど(笑)。
ただ、もともとは、「過剰な何か」だし、
男の「過剰」という要素は、
変わらないと思うんです。 |
柳瀬 |
うん。 |
糸井 |
暗く言えば、その過剰さは
すべて犯罪に集約するという言い方だって、
できないことはないですよねえ・・・。 |
祖父江 |
目的のある過剰さって
犯罪に走りやすいけど、目的のない
ムダな過剰って、やっぱりたのしいんです。
どっちでもいいことへのうれしさって、
「だいじなこと」に
なって来るんじゃないかなぁ、
と思うけどなあ・・・。 |
糸井 |
「だいじなこと」ね。なるほど。 |
祖父江 |
最近、ムダなものが少なくなってきちゃったし。
「どっちでもいいこと」って、
減ってきましたよね。 |
糸井 |
うん。 |
祖父江 |
どっちでもいいようなムダが、
男だったりして。 |
糸井 |
それってさ、
「買えないものに価値が出る」
という時代が来そうなことと、
もしかしたら、関係あるかもしれない・・・。
自分のことを
「男っぽい」と思う時はありますか? |
しり |
ぼくはありますよ。
自分を「男だなぁ」って思うようなことが、
けっこう最近は多いですよね。 |
糸井 |
歳取ると、増えてきませんか? |
しり |
増えてます。
三国志のテレビゲームが好きなんですけど、
もう、中国全土を統一するのが
えも言われぬ快感で(笑)。 |
柳瀬 |
あはははは(笑)。 |
しり |
でもそのゲームをやってる時、
「ああ俺ってダメだなぁ」と思うのは・・・
決して一騎討ちはしない。
もう、圧倒的な強さで敵を滅ぼすんですよ。
「ああ、俺、男らしくないなぁ」って。 |
糸井 |
(笑)あはははは。
男らしいわりに、男らしくない。 |
しり |
戦って相手を征服するとかいうのが、
なんか、好きで好きで・・・。 |
祖父江 |
コツコツやるのが好きなんですよ。 |
糸井 |
おぉ、テーマが出たね。
「男はコツコツやるのが好き」。 |
祖父江 |
女の人は、案外、
「よぉ〜し、一騎討ちぃ〜!」とか言って。 |
糸井 |
あぁ、女の子がロールプレイングゲームで
買いものをし過ぎたりしてる話とか聞くと、
すっごい男らしいなぁとか思いますよね。
男って、ゲームなのに、
意外と細かいこと考えてるから・・・。 |
柳瀬 |
(笑)計算しちゃったり、
ウラ技さがしに躍起になったり。 |
糸井 |
俺も、ヨメと話してると、
よく「男女、逆じゃないか」と思いますよ。
「言いなよ」とか「いいんじゃない」とか言うのは、
だいたい、ヨメのほうですねぇ。
祖父江さんのところはどうですか? |
祖父江 |
うちもやっぱり、
「だいたいでいい」
という感じがするのは妻側ですよ。 |
糸井 |
祖父江家でもそう。糸井家でさえだよ。 |
田中 |
ああ、だいたい、そういうのかもなぁ。
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糸井 |
たとえば仮に、俺が、
まあ、今の仕事のやり方をしてて
言うのもヘンだけど、
「転職する」とか家庭で言った時に・・・。 |
しり |
(笑)糸井さんが、転職。 |
糸井 |
俺だったら、うじうじしますよねえ。
「これがこうだからこれがこうで、
この場合にこのくらいの借金が重なって、
女房に何て言おう」とか、考えますよねえ。 |
しり |
うん。 |
糸井 |
ものすごい綿密なシナリオをもとに、
かなりの勇気を出して
「実はなぁ・・・」とか言っても、
「ま、いいんじゃない」
「しょうがないよね」で終わるかもしれない。 |
田中 |
(笑) |
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(つづく) |