第6回
 男の神。 
糸井 ある種の独身男性の幻想が、
「少年マンガのマネージャー役が
 眼鏡をハズした状態」

に、いったりしますよね。
田中 あはははは(笑)。
糸井 「もうっ!」とか言いながら、
心配したり、洗濯したり、
お花を見た時に止まっていたり、
子犬とたわむれてみたりするイメージ・・・。
柳瀬 (笑)でも、試合の時には、
スコアブックをキチッとつける。
糸井 「それはいない」っていう・・・。
昔はいたのかなぁ?
母親の中には、そういう成分は、
ありましたっけ。
柳瀬 ああいう女の子は
「絶対に存在しないけど
 男のほうは求めている」という、
そういう存在だと思います。

だから、少年マンガには
よく出てくるのに、どんな少女マンガにも、
たぶん、あのキャラは、いないですよね?
糸井 男の足りない部分を埋めるっていう
四角(空欄)があるんですよ。
「ここに人を埋めよ」という空欄のある問題。
田中 (笑)
糸井 その空欄にはめる答えなんですよ。
神ですよね、言わば・・・。
柳瀬 (笑)「神」かぁ!
糸井 男らしさの行く末って、どうなるんだろう?
・・・まぁ、
どっちでもいいような気もするけど(笑)。
ただ、もともとは、「過剰な何か」だし、
男の「過剰」という要素は、
変わらないと思うんです。
柳瀬 うん。
糸井 暗く言えば、その過剰さは
すべて犯罪に集約するという言い方だって、
できないことはないですよねえ・・・。
祖父江 目的のある過剰さって
犯罪に走りやすいけど、目的のない
ムダな過剰って、やっぱりたのしいんです。
どっちでもいいことへのうれしさって、
「だいじなこと」に
なって来るんじゃないかなぁ、

と思うけどなあ・・・。
糸井 「だいじなこと」ね。なるほど。
祖父江 最近、ムダなものが少なくなってきちゃったし。
「どっちでもいいこと」って、
減ってきましたよね。
糸井 うん。
祖父江 どっちでもいいようなムダが、
男だったりして。
糸井 それってさ、
「買えないものに価値が出る」
という時代が来そうなことと、
もしかしたら、関係あるかもしれない・・・。

自分のことを
「男っぽい」と思う時はありますか?
しり ぼくはありますよ。
自分を「男だなぁ」って思うようなことが、
けっこう最近は多いですよね。
糸井 歳取ると、増えてきませんか?
しり 増えてます。
三国志のテレビゲームが好きなんですけど、
もう、中国全土を統一するのが
えも言われぬ快感
で(笑)。
柳瀬 あはははは(笑)。
しり でもそのゲームをやってる時、
「ああ俺ってダメだなぁ」と思うのは・・・
決して一騎討ちはしない。
もう、圧倒的な強さで敵を滅ぼすんですよ。
「ああ、俺、男らしくないなぁ」って。
糸井 (笑)あはははは。
男らしいわりに、男らしくない。
しり 戦って相手を征服するとかいうのが、
なんか、好きで好きで・・・。
祖父江 コツコツやるのが好きなんですよ。
糸井 おぉ、テーマが出たね。
「男はコツコツやるのが好き」。
祖父江 女の人は、案外、
「よぉ〜し、一騎討ちぃ〜!」とか言って。
糸井 あぁ、女の子がロールプレイングゲームで
買いものをし過ぎたりしてる話とか聞くと、
すっごい男らしいなぁとか思いますよね。
男って、ゲームなのに、
意外と細かいこと考えてるから・・・。
柳瀬 (笑)計算しちゃったり、
ウラ技さがしに躍起になったり。
糸井 俺も、ヨメと話してると、
よく「男女、逆じゃないか」と思いますよ。
「言いなよ」とか「いいんじゃない」とか言うのは、
だいたい、ヨメのほうですねぇ。

祖父江さんのところはどうですか?
祖父江 うちもやっぱり、
「だいたいでいい」
という感じがするのは妻側ですよ。
糸井 祖父江家でもそう。糸井家でさえだよ。
田中 ああ、だいたい、そういうのかもなぁ。

糸井 たとえば仮に、俺が、
まあ、今の仕事のやり方をしてて
言うのもヘンだけど、
「転職する」とか家庭で言った時に・・・。
しり (笑)糸井さんが、転職。
糸井 俺だったら、うじうじしますよねえ。
「これがこうだからこれがこうで、
 この場合にこのくらいの借金が重なって、
 女房に何て言おう」とか、考えますよねえ。
しり うん。
糸井 ものすごい綿密なシナリオをもとに、
かなりの勇気を出して
「実はなぁ・・・」とか言っても、
「ま、いいんじゃない」
「しょうがないよね」で終わるかもしれない。
田中 (笑)
  (つづく) 

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2003-03-04-TUE


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