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祖父江 |
「なんかうまくいかない男子」
って、男から見ると、魅力的ですよね。 |
しり |
ふーん。 |
糸井 |
そうですか? |
祖父江 |
何でもかんでも成功していく男子って、
男の目から見て、なんか、
おもしろ味がないような気がするんです。
「人気がありそうなんだけど、
ぜんぜんみんなに
相手にされてなさそうな人」
っていうのに、男っぽさを感じますけどね。 |
糸井 |
なるほどなぁ・・・。
祖父江さん、すごい発言が多いなあ。
男って、じゃあ、
弱さを中心にまとまるんですか。 |
柳瀬 |
どうなんですかねえ。 |
祖父江 |
「なさけない」とか
「どうしようもならない」とか、なんか、
そういうのが伝わってきちゃう人って・・・。 |
糸井 |
男は、好きですよねえ。 |
祖父江 |
やっぱり、「うんうん」って感じで、
気持ちが移動しますよね。 |
糸井 |
あぁ、お笑いもそうだね。 |
田中 |
ああ。 |
柳瀬 |
ああ、なるほど。 |
糸井 |
どう失敗したかの話を持ってないと、
お笑い、やれないですからね。 |
柳瀬 |
うん。 |
糸井 |
人生かけて失敗してた芸人さん、
たくさんいますよね。 |
祖父江 |
あれが気持ちいいですよね。
カラダを張って、
すべてを捨てて失敗するのっていうのは、
やっぱりかっこいいなぁっていう・・・。 |
しり |
「何かを捨てられる人」
って好かれるような気がするね。 |
柳瀬 |
ああ・・・。 |
祖父江 |
そうだよねえ。 |
糸井 |
しりあがりさん、
ギャグ漫画を書くじゃないですか。
あれも思えば負けの話ですよね。 |
しり |
そうですよねえ。
みんなの前で転んじゃっておかしいとか。
タンコブできましたとか、いろんな
「オレってダメでしょう」
みたいなことなんだろうけどね。 |
糸井 |
ただ、女子にモテる男って、
大成功バリバリの人だったりしませんか? |
祖父江 |
そうですよねえ。 |
糸井 |
「キミたち」って
高飛車に来るじゃないですか。
それがモテたりする。
失敗もへったくれもないよね・・・。 |
祖父江 |
失敗のない人がモテますよねえ。 |
糸井 |
ぼくのテーゼがあるんです。
「女は強いもん好き」っていう。
だいたいの女の人は「強いもん好き」ですよ。
「あんな人」とか言ってても、絶対に、
強い者のそばに、磁石のようにひかれてるね。
だから、ほんとうは、
「さんざんな目に遭ってもキミがいる」
みたいな歌って、実現しづらいんですよ。
だいたいは、ダメな時って、
「キミさえいない」ってところまで
簡単に追いつめられるんですよね。 |
しり |
(笑)ああ・・・。 |
糸井 |
サンザンな目にあってる人のところには、
恋人はいない。
つまり、女は強いもん好きだから、
サンザンな目に遭っている男のそばには、
いないんだよ・・・。 |
柳瀬 |
あぁ、非常に正しいですねえ。 |
糸井 |
でも、たとえば息子がいたら、
それを前提にして、
「男は強くなければならない」
というところを、教えられるかなぁ?
教えたいけど教えられないというか・・・。 |
しり |
うんうん。 |
糸井 |
そもそも、まわりを見ていると、
マッチョな生き方でしのいできた
お父さんは、だいたい甘いんですよ。
どれぐらい自分が大変だったか、
知ってるんだろうね・・・。 |
柳瀬 |
あ、マッチョであることの悲哀。
この苦労をこの子には・・・と(笑)。 |
糸井 |
「この芸風のつらさ」が身に沁みている。 |
祖父江 |
子どもがケンカに負けて来た時、
「戦って来い」
って言うのは、今はたぶん女性ですね。
男は言わないでしょう。 |
糸井 |
母は強いもん好きだから、弱いの嫌なんだ。 |
祖父江 |
母親は負けてきた子にむかって
「やっつけて来い」って言うけど、
父親は「おまえが何かやったんだろう」とか、
その場で収めようとするんですよ・・・。
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糸井 |
(笑)うわあ。
どうしていつもこう、祖父江さんは、
真理にいつもタッチするんでしょうか。
そのとおりだよね。
小さい息子をもった母親を知ってますけど、
やっぱり「子どもが弱虫で」って心配して、
遠くから、強くなりますようにって祈ってますよ。
モテてほしい、強くなってほしい、さらに、
自分をのびのび表現してほしい、みたいな・・・。 |
柳瀬 |
すごい、足し算がいっぱいついて(笑)。 |
糸井 |
子どもは何にも変わんないんだろうね。 |
しり |
あはははは(笑)。 |
柳瀬 |
「女は強いもん好き」に関しては、
ぼくも取材経験から一つ明確な法則がありまして。
元気のいい会社は、美人が多い。
リリー・フランキーさんが
「金持ちの奥さんには美人が多い」って
エッセイに書いてたのと、
基本的には一緒だろうと思うんですけど。
売りあげや、利益率や、給料のいい会社には
どうも、美人が多い……ような気がするんです。 |
糸井 |
たぶん、美人から採用するというのは、
勢いが露骨に見えている会社のことですよね。
美人を選ぶ方針って、
ほんとは経営的にはまちがってるらしいですよ。
美人がひとり増えるごとに、問題がひとつ増える。
大きく言えば、社内の風紀が乱れるんです。 |
柳瀬 |
(笑)確実に乱れるでしょう。 |
糸井 |
あいつの前でいいかっこしようとか、
そういう余計なところでの影響が
ものすごくあるので、理想は、
「感じが悪くなくて、愛嬌のいい人」
っていうところに落ち着くらしい・・・。 |
|
(つづく) |