オトナ語の謎。 オレ的にはアグリーできかねるんだよね。 |
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第53回 オトナ語専門用語編:その3 ■■■ ほんとうに感心してしまうのは、 世の中にはじつに多種多彩な業界が あるものだなあということである。 独特の言い回しがある以前に、 「そんな分野もあったか」と 投稿を読みながら多少くらくらする。 それは、幼い時分、NHK教育テレビの 『はたらくおじさん』を見ながら わくわくしていたときの気持ちにちょっと似ている。 知らないことって減らないもんだなあ。 さあ、全国の諸先輩方から寄せられた おもしろおかしい専門用語を見ていこう。 まずは、「専門用語編」のテーマをおさらいします。
【翻訳業界:エージェントから仕事の打診】 「リードタイム短くて申し訳ないんですが、 ワード10円で4000ほど、 週明け朝イチでお願いできますか? グロサリーはこないだのを使ってください」 ▼現代語訳▼ 「厳しい納期で申し訳ないのですが、 原文ベースの単価が1ワード10円ということで、 全部で4000ワードほどの原文を 月曜日の朝9:00までに翻訳していただけますか? 尚、先日お渡しした用語集をお使い下さい」 (提供者:ぷち) ■翻訳業界! 一生縁がないだろうなあ。 ていうか、報酬はワード単位なんですか。 用語集は「グロサリー」? 知らないことだらけだから、 「週明け朝イチ」とか言われると むしろホッとするくらいだ。 【化学品業界:包装職場での会話】 「これ、入目足りないから バッタイして戻しといて。」 ▼現代語訳▼ 「この袋詰めした製品、内容量が規定より少ないから 袋を開けちゃって中身を充填機の中に戻しておいて」 (提供者:紙一重) ■「バッタイ」というのは「抜袋」と書くそうである。 つまり中身の詰まった製品の袋を開けること。 知らないよなあ。ちなみに缶を開けることは 「抜缶」というのだとか。知らないよなあ。 すっごい忙しそうなおばちゃん社員から 「ちょっとあんたそれバッタイしといて!」 とか言われたら固まっちゃうよなあ。 そんで、そのままもじもじしてたら 「ちょっと! バッタイしといてって言ったでしょ!」 とか怒鳴られたりしてな。困るよなあ。 【証券業界:今日の報告】 「今日のザラバは、寄りは高く始まったんだけど 結局往って来いで薄商い。 まあ小じっかりって感じかな。 ナンピンするなら今じゃない? 俺は上方修正の1101の押し目狙ったんだけど 結局日足高くて、ストップ高よ。 明日吹き値で売れるといいけど」 ▼現代語訳▼ 「本日の株の市場での営業時間内取引は、 開始時の株価は、昨日の最終価格よりも 高く始まったのですが、一日の経過で見ると 結局は昨日の水準まで戻りました。 今日はそれほどたくさんの取引が あったわけではないようです。 でも、少しずつ株価が上昇しているようです。 あなたがすでに持っている 株の価格が下がっているなら、 値下がっている今のうちに追加購入して 平均取得額を下げるチャンスですよ。 私は、業績好調で今期決算の利益予測を より高く修正したというニュースを出した、 証券コード1101番の株を価格が下がったときに 購入しようと思っていたんですが、 その株は今日一日じゅう価格の上昇が続き、 今日の取引価格上限まで値上がってしまいました。 その価格で購入したので、 明日はもっと上がってくれたら、 売って利益を出せるのでいいなあと思います」 (提供者:さとさと) ■出ました、証券業界。 「ザラバ」! 「ナンピン」! 「小じっかり」! いったいどういう経緯で そういう言葉が生まれてくるのか。 ああ、説明してくださらなくてかまいません。 わけのわからん言葉を遠巻きに眺めているのが 楽しいのですから。 【カーペット業界:注文】 「カーペットの注文です。 サブロクヨン、10m、 イチハチニィ、6m、 シングル、8m、1031番、同ロット、 明日必着、積み残しないように。」 ▼現代語訳▼ 「カーペットの注文です。 364センチ幅を10m、 182センチ幅を6m、 91センチ幅を8m、 1031番の色、同じ釜で同じ時に染めた全く同じ色、 364センチ幅は長くて運送便がいやがって 持っていってくれない事があるので、 必ず今日の便に乗せるように運送便に念を押して、 明日必ず着くようにしてください」 (提供者:金魚姫) ■イチハチニイニイマルマル! ヨンハチゴーニイサンサン! テッキゲキツイ! テッキゲキツイ! ケッコンオメデトウ! ケッコンオメデトウ! ていうか、そんな言葉のやり取りのすえに、 おたくのカーペットはきちんと配達されているのですよ。 【薬局関係・調剤室にて】 「私がこれを撒くから、残り拾っておいて」 ▼現代語訳▼ 「私がこの処方箋の散剤(いわゆる粉薬)を 計量混合して分包機にかけてつくりますから、 残りの錠剤などを調剤棚から 所定の数だけ取り出してください」 (提供者:おりひめ) ■そうかそうか、あのガラスの向こうでは そんなような会話がくり広げられているのだな。 「分包機」なんていう言葉、 こんな機会でもないかぎり 目にすることすらなかったかも。 サンキュー、薬剤師のお姉さん。 【書店関係:新店舗の商品陳列について】 「実用書は壁やめて島に、新刊は平と面陳で。 ボリューム足りないから 版元FAXの頭紙で新店強調しといて。 だめなら取次に言うから」 ▼現代語訳▼ 「実用書を陳列するのは、 壁付けしてある什器(棚)ではなく 独立した什器にしましょう。 新刊の本は、棚のない平台の上に、 書籍の表紙が見えるように陳列しましょう。 並べる本の量が少ないですから 出版社に送るFAXの送り状に 新店舗であることを強調して 売れ筋の商品をおまけしてもらえるよう頼みましょう。 それでもダメだった場合は、 出版社と書店のあいだを取り次ぎ 出版物の流通を助ける仕事をしているところに お願いするつもりです」 (提供者:1064) ■なんか、本屋さんって、本が届いて、 のんびりそれを楽しみながら 並べているような印象が ややもするとあるのだけれど、 そんなことないんだねー。 【土木コンサル】 A「ここ、じゃかごでいいですか?」 B「ここは栗敷いてミルクも立米で数量拾っといて」 ▼現代語訳▼ A「ここ、石材を金網で包んだものでいいですか?」 B「ここは、細かく砕いた石を敷いて、 セメントミルクも図面表記して下さい。 石とセメントの工事数量は、 立方mで計上してください。」 (提供者:Kusk) ■原文を何度読んでも料理の話のように思える。 「材料はジャガイモですか?」 「いいえ、栗をベースにミルクを加え、 お米をきっちり計って入れてください」 という話のように思える。 セメントミルクってすごい言葉だな。 【海上自衛隊:同期と雑談】 A「エンコーの世界一周、なくなったみたいだよ」 B「手当て大きいから、また行きたかったな」 A「私ヤダ、酔っぱらうし。ガブったら最後」 B「私も寝るか、薬か、って時あったよ。 薬は眠くなるから困るけど」 A「それに、夜中立つの結構きつかった」 B「きつくてもさ、パスポートないから 逃げれないんだよねー、これがまた」 ▼現代語訳▼ A「初任幹部の遠洋練習航海、 世界一周のコースはなくなったみたいです」 B「日本からの一番遠いコースなので、 航海手当てが多いから、 遠洋航海部隊の艦艇に乗り組んで、 また世界一周航海に行きたかったですね」 A「私はイヤです。船酔いする体質ですし、 海が荒れたときなどは、最低の気分になります」 B「海が荒れたときには、私も、寝てしまうか、 酔い止めを飲むかしかない時がありました。 でも、薬は副作用でボーっとしたり、 眠くなったりするから困りますよね」 A「それに、夜の航海当番に立つのがきつかったです」 B「きつくて、日本にこっそり逃げ帰ろうとしても、 我々はパスポートを使って出国していないから 通常の帰国ができないんですよね」 (提供者:Mitz) ■海上自衛隊のオトナ語がくるとは思わなかった。 特殊な業界には特殊な言葉がいろいろあるもんだ。 自衛隊の人が遠洋練習に出る場合 出入国に個人のパスポートが必要ないというのは ウンチクとして披露できそうですねー。 【外資系:トラブルがないかの確認】 「リスクフィードバック、他に有りますか? 想定しているConsがマネジメント困難で有れば、 レイズイシューして下さい」 ▼現代語訳▼ 「懸念事項は他にないですか? 問題になりそうで、またどうにも出来ないようであれば 報告して下さい」 訳注: Cons>pros and cons(良い点と悪い点)のCons (提供者:ゆぱ) ■出たーーーっ、外資系! カタカナ系オトナ語の宝庫、それが外資系! どう読んでも、ものごとを わざわざややこしくしているようにしか思えません。 それでいいのか、外資系! それでいいのさ、外資系! 【報道番組記者:リポート編】 記者「立ち位置どこ?」 TD「そこバミってる。ホイ、イヤモニ」 記者「音、来てないよ!」 TD「今調整してるけど、もしかしたらダメかも。 波が来てない!!」 記者「んじゃ、め*ら、つ*ぼでやるってこと?! 東京タワー近いのに?」 TD「とりあえずエアモニだけは生かすようにするから」 記者「つ*ぼでやるんなら、 スタジオからの返しは無しって Nサブに連絡してよ! 入り何時?」 TD「入りはてっぺん予定!」 記者「尺は予定通り1分で、顔出し20秒でV乗りね! Vは頭音生き15秒ね。 サブ出し? それとも中継車?」 TD「さっき回線チェックの時、 裏送りしたからサブ出し」 記者「じゃーFDはV音明けの時間読んでね。 エアモニ今来たわ! んじゃやるしかないな。今押してる?」 TD「ほぼOnタイム! ハイ! 次のCM明けで入るよ!!」 FD「じゅう・ここのつ・はち・なな・ろく・ ご・よん・・(無言で指のみ)」 記者「こちら港区の東京糸井重里事務所前です!」 ▼現代語訳▼ 記者「どこに立てば良いんですか?」 TD(テクニカル・ディレクター) 「そこに印のテープを貼ってます。 イヤホンもつけてチェックして下さい」 記者「音がしないんです」 TD「今調整してるけど、電波状況が悪いです」 記者「東京タワーが近いのに電波状況が悪いのですか? スタジオの音が聞こえないまま OAのテレビも見えないまま中継するのですか?」 TD「とりあえずテレビだけは見えるようにするから」 記者「スタジオからの音声が聞こえないなら スタジオからの質問は無しって ニュース調整室に連絡してください。 中継が始まるのは何時ですか?」 TD「中継始まりは12時00分丁度の予定です」 記者「中継時間は予定通り1分。 記者の顔を映すのは20秒で VTRに切り替えてください。 VTRは最初15秒 インタビューの音声を聞かせて下さいね。 VTR映像を出すのはどこですか?」 TD「さっき回線チェックの時、 局にVTRを流して調整室で録画したから 調整室からVTRを流します」 記者「FD(フロア・ディレクター)は VTRのインタビュー終わりの時間を 教えてくださいね。 テレビは見えるようになりました! 今は時間通りですか?」 TD「ほぼ時間通りです! 次のCMが終わったら 中継の映像に切り替わります」 FD「じゅう・ここのつ・はち・なな・ろく・ ご・よん・・(無言で指のみ)」 記者「こちら港区の東京糸井重里事務所前です!」 (提供者:はなな) ■こりゃたいへんだ。こんな状況で、 「サブ出しってなんですか?」なんて訊けないよなあ。 現代語訳に「OA」とそのまま記載するあたり、 投稿者はかなりオトナ語に毒されている模様。 おそらく「オンエア=放送中の」ということでしょう。 あと、またしても豆知識ですが、 数を数えるときに「9」を「ここのつ」というのは スタートを意味する「Q」と間違えるからだとか。 いろいろ勉強になりますねえ。 【関西ビジネス専門用語:交渉】 「いや、もう、部長、お忙しそうでなによりです」 「いやいや貧乏ヒマなしやで、 儲からへん仕事ばっかりでさっぱりや、 ま、ちょっとお茶でも飲みいな」 「あ、ほないただきます。 ほんでコレ、今回の見積もりで」 「なんやこれ高いがな、 言うてた話とちゃうやん、もって帰り」 「いや、もう、正味の話がいっぱいいっぱいで」 「もうええ、よそで買うさかい。 なに飲んでんねん。そのお茶かてタダちゃうねんで」 「いま、飲め言いましたやん。 いや、もうどっこもこれ以上の話はないですよ部長、 ありえへん。うちも決算やからこれでいけるんですわ」 「ほんまかいな、もうキミまたええかげんなこと言うて」 「いや、うちかてメーカー直(ちょく)でっさかい。 これ以下ならどっこも赤字ですわ」 「なんや赤字ちゃうんか、儲け出てんのかいな。 うちで損してよそで得(トク)とりぃて いっつも言うてるがな」 「いやもうしもた、えらいこと言うてしもたな」 「ほんならとりあえずこの端数、切っとき」 「いやこの端数がうちの利益ですやん」 「なにゆうてんねん、トントンでも商売やで 今期売上、足らへんねやろ?」 「堪忍してくださいよ、 ほんなん上がウンて言いませんがな」 「上て、なんやねん、キミは子供の使いか?」 「いやそこまで言われたらもう、ほんま僕の決裁で、 もう思い切って・・・・これで手ぇ打ってください」 「あほ、端数のケタがちゃうがな、 もういっこ上のケタや」 「ええっ、こんなん端数ちゃいますやん。 無理無理、ぜぇーったい無理」 「ほな、よそで買うで。 もうつきあいヤメやな。取引停止や」 「そやから他も無理ですよ、 よそかてこんな値段出ませんって、 もうサカサに振っても鼻血もでません」 「しゃあないなぁ、間(アイダ)とってこれでどや」 「えええっ、キッツイなあ・・・・。 これやったら今、ハンコ出ます?」 「おうおう、すぐ出したるがな。 ワシのハンコでええんか?」 「もちろん、もちろん。ほなこれでいきましょ。 あーあ、高いお茶代についてもうたなあ」 ▼現代語訳▼ 「ご多忙のところお時間賜りありがとうございます」 「いえいえ、こちらこそ、わざわざご足労願いまして」 「さて今回の見積もりでございます」 「有難うございます。 預からせていただき検討いたします」 「価格的にいかがでしょうか?」 「そうですね、想定価格から少々ずれがありますが」 「弊社としましても決算月ですのでプライス的には 相当努力させていただいております。 何卒ご採用お願いいたします」 「そうですね、他社さんの見積もりと比較した上で 回答させていただきます」 「では良いお返事をお待ちしております。 ありがとうございました」 (提供者:Y部長) ■いや、もう、これ、最高。 専門用語かどうかはさておき、最高。 4回読んで4回笑えるもんなあ。 ひょっとして、関西の方面の方々は、 「どこがおもしろいの?」と思うのだろうか。 こういう有名なシナリオが あるとかじゃないんですよね? いやーーー、参った。 というわけで、 今後もどんどん掲載していく所存ゆえ、 お気軽にご投稿いただきたい。 むろん、同じ業界からでもかまわない。 さて、ここでひとつお知らせがある。 オフィスでがんばる諸先輩方は、 来年の手帳など、すでにお決まりだろうか? 弊社では多忙なビジネスマンの心を豊かにし、 使う者の個性をきらりと光らせる 優秀な手帳を毎年つくっている。 改良に改良を加え、毎年多くの方に ご好評をいただいているものであるが、 考えてみれば、ここをご覧の諸先輩方にこそ この手帳をおすすめすべきかと思い、 僭越ながらご紹介させていただくことにした。 受注販売につき、受付期間が迫っている。 もしも来年の手帳をお探しなら、 どうぞ下のページをのぞいてみてほしい。
■■■ アシスタントよりご報告申し上げます。 ■■■ こんにちは、関西生まれの美人アシスタントです。 六本木ヒルズのプールで泳いだ経験があります。 こちらはオフィスからの自由なメールを 募集、掲載していくコーナーです。 本日も微笑ましい投稿を、ご紹介いたしますね!
あいたたたた、「放課後」はあかんやろ。 ダンディ上司が聞いてあきれるっちゅーねん。 誰がマイケル・ダグラスやねん。 ええ部下でよかったなあ。 場合が場合やったら一生あだな「ホウカゴ」やで。 ‥‥コホン、失礼しました。 オフィスからの自由なメール待ってますー。
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2003-10-03-FRI
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