その5
コンニャク爆弾の力(ちから)。
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糸井 |
ものを誰かに教えるときには、
まず、前提として
先人たちがいったいどうしてきたかが
知りたくなるでしょう。
「自分はなにも知らないです」
というまま突っ込んでいく度胸が、
あるときにはあるんだけど、
そのときの僕にはなくなっていて、
わりと、たたきのめされていた時期だったんです。
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清水 |
ご自分のなかで。
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糸井 |
うん。そして、
このシリーズが出版されたことを
僕は、みうらじゅんの『正しい保健体育』で
知ることになったんです。
とても、衝撃を受けました。
あの本を見たとき、僕は
戦時中の日本の、
コンニャク爆弾の計画を思い出しましたよ。
コンニャクを使った風船爆弾が
ジェット気流に乗って
アメリカに次々に届き、最後には
壊滅的な攻撃力を発揮するという、あの計画。
どんな力かはわからないけど、
どんどんたまって効く爆弾のようなみうらの本を、
僕は、すばらしいと思った。
すでに世に知られていることや
本に出ていることは
それでかまわないし、
自分の知っていることは
知っていることでかまわないし、
そして、どれだけ一生懸命やるのかだって、
かまわないんだ、
ということがわかったんです。
みうらが何を考えているか知らないけど(笑)、
なにがどうであれとにかく上空には、
ジェット気流があったわけです。
みうらのやりかた、
そっちのほうがかっこいいと思った。
すごくがっくりきたんだよ、
みうらの保健体育の本を見て。
自分がなまじ学級委員だったところの
つまんない面が出ちゃったなぁ、と
思いました。
みうらにはなんて言って、執筆依頼したの?
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清水 |
たとえば「童貞」をテーマに、
という話をしました。
それまでに、みうらさんはいろんなところで
「童貞」をテーマにお仕事をされていたのですが、
それだけじゃなくて、
みうらさんだったらたぶん、
セクシュアルなものがおもしろいだろうな、
と、思って。
(ふたりの話は、つづきます)
2006-01-19-THU
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