その10 どうやって書いていく?
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糸井 |
重松清さんとは、
どんなやりとりをしていったんですか?
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清水 |
お話するうち、重松さんは、
「なやみ相談」のようなものではどうか、
ということをおっしゃいました。
「もちろんむずかしいけれども、
もしかするとそれならできるかもしれない」と。
理論社のホームページで、
子どもたちからなやみを募集したんですが、
かなりたくさんのなやみが、
しかも、簡単には答えられないような
そうとう深刻なものも含めて、
ほんとうにたくさん集まりました。
重松さんは
『みんなのなやみ』『みんなのなやみ2』と、
2冊を書いてくださって
いるんですけれども、
真摯に、とてもていねいに、
取り組んで答えてくださいました。
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糸井 |
ところで、同じテーマで、すでに大人向けに
本を書いていらっしゃる方もいますね。
もしも、その人がこのシリーズを
「それまで大人向けに書いていたことを
ソフトドリンクのように直して出す」
というふうに考えてしまったら、
つまんなくなっちゃう。
でも、そうはならなかったですよね。
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清水 |
内容を薄めて書く、というよりは
著者の方にとっては、
子ども向けにやさしく書くことが
かえって「技だし」になったりするんです。
たとえば、「笑わせてやろう」という気持ちが
入ったりすることもある。
いままでの著書では、ぜったいに
そんなことをなさらないのに。
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糸井 |
中学生を含めた大人に、という気持ちが
かえってうまくいくんだね。
清水さんは、これまでの
編集者としてのキャリアで
おつきあいのあった著者ばかりなんですか?
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清水 |
いいえ、ほとんどがはじめての方です。
執筆依頼としては、ほんとうに、
ふつうのことしかしていません。
手紙と企画書です。
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糸井 |
うん、うん。
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清水 |
それで、実際の打ち合わせで
お話をしていくうちに、
途中でテーマが変わったり。
企画の意図をスッと理解してくださる方で
あればあるほど、
途中でテーマが変わっていく
傾向があるような‥‥(笑)。
「教える」ということに対して、
あまりにも「まじめ」になりすぎちゃうと
読むのも書くのもつらい。
もちろん真剣勝負ではあるのですが、
ちょっとシャッフル、ですね。(笑)。
(ふたりのはなしは、つづきます)
2006-01-31-TUE
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