よりみち
パン!セ
中学生以上すべての人たちへ。
キミたちに、
伝えたいこと。




今日の、ひとことパン!セ

最優先(さいゆうせん)すべきは、
「みんなが幸せになるには、
 どうすればいいか」
ということだと思う。
正しさや筋(すじ)、あるいは、
人間としての強さというものは、
とても大切なことだけど、
でも、正しさや筋(すじ)、強さを貫(つらぬ)いて、
その結果(けつか)として、
誰(だれ)も幸せにならないのなら、
意味がない。
ずるくて、弱くて、曲がっていても、
結果(けつか)としてみんなが幸せで、
笑(わら)っていられるのなら、
ぼくはそっちのほうがいい。

重松 清『みんなのなやみ2』より

重松さんの
「なやみ相談」第2集には、
こどもたちからばかりではなく、
親からの切実な
なやみも含まれています。
寄せられたなやみは、
第1集にもまして、
みんなすべてが切実で、痛い。
そして気が遠くなるくらい、
せつないものばかりでした。

編集者っていう位置って、
いったいなんなんだろう、
このそれぞれにリアルな悩みと、
それにひとつづづ真剣に向き合う
重松さんのあいだにいるわたしって。
……と、ふだんほとんど考えないことを
強烈に意識しながら、
本を作っていました。

ひとりひとりが「生きている」ということと、
「本」、そして「ことば」という
メディアとのわかちがたい関係性を、
つくづく思いました。でもいまだに、
それをうまくことばにすることができないし、
簡単に言ってはいけないような、
どこか注意深くして、
たいせつにしていたい気持ちが働きます。

それだけもろくて、傷つきやすくて、
だからこそそこからたちあがってゆく
勇気や希望のようなもの。
この本には、そんなふうな、
生きてゆくことの奇跡みたいなものが、
たくさんつまっていると思います。

(編集担当 清水)





その12 ぜったいに、わかってもらいたい。
糸井 「よりみちパン!セ」は、
どれもページは多くないけど、
込められた内容が濃い。
うちの社員なんか、
読んでワンワン泣いている者もいましたよ。
それは、込められたものの、
巨大さを感じるからだよね。

さきほど言った、マッカーサーの
「12歳の知性」という言葉に対して、
僕たちはそれを
「西洋の押しつけだ」
と思ったかもしれません。
でも、その12歳の知性を、
どこまでも豊かにしていくことが、
いまの「ほぼ日」や、
僕たちのやることのひとつなのかなあと
思うんです。
清水 ほかのメディアにだって、
そういう役目が
ほんとうはあるのかもしれないですね。
糸井 「よりみちパン!セ」では、
人に何かを伝えようとするときの文章を、
みなさんが、書いているんです。
「ひとつ残らず伝えたい」という気持ちが
みごとに入っていますから。

先日、ぼくは
吉野弘さんの詩「祝婚歌」を読んだんですが、
あの詩は、それこそ子どもをはじめ、
「言葉は、ある程度以上は、必要ない」
と思っているような人にも、
わかるように書かれています。
「ぜったいにわかってもらわなきゃなんないから」
というときの文章って、きっと
ああなんだと思うんです。
清水 いい話ですね。
「言葉は、ある程度以上は、必要ない」
‥‥なんて新鮮なんだ!(笑)
ところで「祝婚歌」って、
結婚式に贈った詩でしたよね?
糸井 ええ。
詩として発表したつもりも、
あまりないらしいんです。
それが、勝手に、
風のたよりのように流行っていったわけです。
言葉や思いが伝わっていく道のりとして、
こんなに幸せなことはないですね。
清水 ほんとに、そうですね。
糸井 言葉が道具のように使われることを
「下」に見たりする人もいる。
でも、それでいいじゃん?
宮澤賢治の「雨ニモマケズ」の
冒頭少しを憶えている人が、つらいときに
「雨にも負けず‥‥」
とつぶやいたとする。
それを聞いて
「お前に宮澤賢治の何がわかる!」
と言う人、どうかなあと思う。

吉野さんが考えていた
「伝わっちゃう」知性は、
決して低いものではない。
そして同時に、
西洋から見ると「12歳」のものなんですよ。
清水 そのとおりですね。

(ふたりのはなしは、つづきます)

2006-02-05-SUN



さーて、おたよりを紹介します!

=
中学生の息子をもつ母です。
学校でトラブルが続いて
母子ともに疲れて、悩んでいるときに
出会ったこのシリーズ。
でも、あまりに息子が
直面している問題に近すぎて
どんなタイミングで差し出していいか、
迷ってました。

ある日、学校を休んだ彼に
「読んでみれば」と
『みんなのなやみ』を差し出したところ、
むさぼり読んでました。
時に笑顔がこぼれたり。
よかったーとホッとしました。
私自身も『さびしさの授業』を読んで、
肝っ玉が据わりました。

今の子たちがなにに悩んでいるか、
どうとらえたらいいか、
なんでこんなにわかるんだろうと
感動的ですらあります。
著者の方たちが迷いながらも
体当たりで読者に向かっているのを感じます。
それでいて、気持ちを軽くしてくれる。

このシリーズを作ってくださったこと、
出会えたことに心から感謝してます。
これからも楽しみにしてますね。
(HAHA)



=
こういう本が
私が青少年だったころにあったら、
きっと人生が変わっていただろうと思います。
金持ちにとか、いい会社にとか、
そういう意味での「人生が変わる」ではなく、
より豊かに、広く、繊細、大胆に
物事を考えたり見たり感じたりする基礎を、
青少年のうちに
形作ることができたのではないかと思うのです。

でも、33歳の今でも十分、
この本たちは、私の人生を
豊かにしていってくれます。

だからこそ、若い人たちに読んでほしいです。
(s)



=
「よりみちパン!セ」を
私の甥っ子姪っ子にプレゼントしたいです。
遠くに住んでいる私には
なかなかどうにもできないのですが、
彼らは大人を信用できないような
ところにいます。
素直には読んでもらえないだろうし、
著者である素敵な大人たちのことも
わからないだろうけど、
ふとしたときにワンフレーズだけでも見て
ひっかかってくれればと思っています。
彼等に自分の世界を築いてもらいたく、
生活の豊かさを持ってもらいたく、
そのきっかけに
「よりみちパン!セ」はいいなぁと思いました。
来年のお年玉にいいのではと思っています。
ちなみに今年のお年玉は
お揃いのすてきなマグカップを送りました。
いい本の企画、編集ありがとうございます
(カオリ)



みなさんも、どしどしおたよりを
お寄せくださいね。
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