その13
日本の最高の知性を、中学校に集めろ。
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糸井 |
吉本隆明さんが、
「江藤淳は、中学の先生になればいい」
と、おっしゃっていたことがあるんです。
ほんとうに知性のある人は、
中学生に教えられるから。
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清水 |
ああ、わかります。
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糸井 |
そういう吉本さんに対して、
きっといろんな人が
「中学生なんて、人の話を
聞きゃあしないですよ」
と、言いたがることでしょう。
でも、そんなことも構いやしない。
江藤淳だったら、
聞いてない子のことなんか
ぜんぜん気にせずにやるだろう、と
吉本さんはおっしゃるんです。
大学を退任した先生が、
次に行く先は、たいてい女子大です。
そして、女子大のあとに行く先は、ない。
そこに中学を入れ込むんです。
「日本の最高の知性を
みんな中学の先生にしろ」
って、吉本文部科学省は言っているわけです。
いいでしょう?
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清水 |
いいですね。
‥‥最高だったりほんとうだったりする
知性って‥‥なんかむずかしい話で‥‥(笑)。
でも女子大のあとじゃなくても
そうしてほしいですね。
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糸井 |
吉本さんからその話を聞いたときは、
それがなんのことか
よくつかめていなかったんですけれども、
このところ「ほんとうだ!」と
いろんなところでわかってきたんです。
だいたい「ほぼ日」がいま
やってることも、ほとんどが
そのあたりのことなんです。
本を読むのが嫌いだ、という人に向けて
話をしようとしていることが多い。
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清水 |
本を読むのが嫌い、という人に
読んでもらうのはすごくむずかしいですね。
嫌われちゃうのはなぜだと思われますか。
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糸井 |
ひとつには、やっぱり、
多くの本が「わかんないように」
書かれているからですね。
「よりみちパン!セ」は、
わかってほしいと思って書かれているから。
(ふたりのはなしは、つづきます)
2006-02-07-TUE
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