よりみち
パン!セ
中学生以上すべての人たちへ。
キミたちに、
伝えたいこと。




今日の、ひとことパン!セ

「わかるから認める」という論理(ろんり)は、
裏返(うらがえ)せば
「わからないものは認(みと)めない」ということだ。
いつでも
「わかってもらえない存在(そんざい)」になる
可能性(かのうせい)を秘(ひ)めている「わたし」は、
そんな論理(ろんり)で瞬間的(しゆんかんてき)に
認(みと)められたって
コワいだけだった。

貴戸理恵+常野雄次郎
『不登校、選んだわけじゃないんだぜ!』
より

貴戸さんのことばは、
いつもすごくおもしろい。
どのくらいおもしろいかというと、
ついつい聞き惚れていて、
大雪の北海道、さびしい無人駅に
ふたり取り残され、
東京に戻れなくなりそうに
なったこともあるほどです。

貴戸さんは、そのつど必要な、
語ることば、コミュニケーションのためのことばを
全力で発見しようとしながら、
語っているような気がする。
ときどききっと、
「ふーもう疲れたよおー。」とか、
言いながら。でもやめない。なにか、寛容。

貴戸さんのことばには、切実で、
そして心おどるプロセスがある。
なにかの正しい結論とかを期待するよりも、
もっとエキサイティングなものがある。
無人駅に取り残されても後悔しないような、
たいせつな、
ことばの「質」のようなものがあるんです。

(編集担当 清水)





その13
日本の最高の知性を、中学校に集めろ。
糸井 吉本隆明さんが、
「江藤淳は、中学の先生になればいい」
と、おっしゃっていたことがあるんです。
ほんとうに知性のある人は、
中学生に教えられるから。
清水 ああ、わかります。
糸井 そういう吉本さんに対して、
きっといろんな人が
「中学生なんて、人の話を
 聞きゃあしないですよ」
と、言いたがることでしょう。
でも、そんなことも構いやしない。
江藤淳だったら、
聞いてない子のことなんか
ぜんぜん気にせずにやるだろう、と
吉本さんはおっしゃるんです。

大学を退任した先生が、
次に行く先は、たいてい女子大です。
そして、女子大のあとに行く先は、ない。
そこに中学を入れ込むんです。
「日本の最高の知性を
 みんな中学の先生にしろ」
って、吉本文部科学省は言っているわけです。
いいでしょう?
清水 いいですね。
‥‥最高だったりほんとうだったりする
知性って‥‥なんかむずかしい話で‥‥(笑)。
でも女子大のあとじゃなくても
そうしてほしいですね。
糸井 吉本さんからその話を聞いたときは、
それがなんのことか
よくつかめていなかったんですけれども、
このところ「ほんとうだ!」と
いろんなところでわかってきたんです。
だいたい「ほぼ日」がいま
やってることも、ほとんどが
そのあたりのことなんです。
本を読むのが嫌いだ、という人に向けて
話をしようとしていることが多い。
清水 本を読むのが嫌い、という人に
読んでもらうのはすごくむずかしいですね。
嫌われちゃうのはなぜだと思われますか。
糸井 ひとつには、やっぱり、
多くの本が「わかんないように」
書かれているからですね。
「よりみちパン!セ」は、
わかってほしいと思って書かれているから。

(ふたりのはなしは、つづきます)

2006-02-07-TUE




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