その14
本は、友だちの話とおなじ。
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糸井 |
ひと月に1〜2冊、
雑誌のようなペースで出していくというのは、
ほんとうに、清水さんの「発明」だよ。
「もういっかい書いてもかまわない」
「いま読んでもだめ。あとで読むといいよ」
なんていうのが、書き手側からも読み手側からも
アリになっている。
とにかく、いろんな可能性のあるものを
まぜて出している、という
のびのびとした雰囲気があるんです。
いいじゃん、それで。
本って「従うもの」じゃないから。
友だちの話とおなじだから。
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清水 |
そうなんですよ。
「正しさ」とか「結論」とかと
ちがうものをめざしたいです。
でも、明確な基準が
あるわけではないですから、
このシリーズには、きっと、人によって、
ぴったりくるものも、そうじゃないものも
含まれていると思います。
それに、本は本なんですけれども、
情報重視の雑誌よりも「なにか」が書いてある、
というムードが
このシリーズには合っているような気がします。
‥‥あぁ、ペースを保たなければ‥‥(笑)。
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糸井 |
「いままでの『知』の大転換がここにあった!」
なんていう広告で売り出していたら
これらの本は、つくれませんよ。
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清水 |
いやぁ、もしかしてそういうふうに
宣伝したほうがよかったかな(笑)?
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糸井 |
だめだよ!
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清水 |
(笑)。
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糸井 |
いわゆる「頭のいいこと」というのが
世の中にはたくさんあって、
それがちっとも役に立っていないんですよ。
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清水 |
役に立たないどころか、
邪魔になることもありますね。
考えることが
考えていることの邪魔をするかんじでしょうか。
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糸井 |
みんな、得意なことを
しゃべる機会がないもんだから、
いつのまにか
苦手なことについて考えることが
好きになってしまったんです。
苦手なことだからこそ、
ガチガチになって一所懸命になっちゃう。
それは、知性というものが、
「不得手なことをなくしましょう」
という形でしか
進化させられてこなかったから、
‥‥というより、
退化させられてきたというべきか(笑)。
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清水 |
そうですね。
で、ストレスたまって
みんな、機嫌が悪くなる。
なにかをなくすより
あることを豊かにしたほうがいいのに。
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糸井 |
うん、そうなんですよ。
そんなことよりも、
「ほんとうにそう思っている」
素(す)のものの強さは、
みんなにちゃんと届くところまで
持っていけるんだ、
ということを
このシリーズは示しているような気がします。
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清水 |
そうですね、
清々しい気持ちで
「持っていきたい」と思いますよ。
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糸井 |
「本気の考え」ができた以上は、
そのあとが山あり谷ありでも
人に届けたくなるからですよね。
「売れなくてもいいや」という気には
ならないもん、きっと。
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清水 |
あ、まったくなりませんね。
(ふたりのはなしは、つづきます)
2006-02-09-THU
このページは、次回でいったん
最終回を迎えます。
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