その15(最終回)
本は、手編みのセーターです。
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清水 |
こうやるしかない、という
状況で出る著者の方の力って
ほんとうに、たいへんなものですね。
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糸井 |
著者それぞれの向かいかたで、
何を考えて書いたんだろう、というのも
このシリーズのひとつの読み方になりますね。
このタイトルで、
この状況で読み手が待っていて、
さて、どうしよう、というせつなさが
ぜったいに最初にあるわけで。
伝えようとする内容そのものと、
筆者の姿そのものの、
ふたつのたのしみがある。
これは、出版としては、
ほんとうに、うまくいっていますね。
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清水 |
最初に考えていたよりは、
おかげさまで、うまくいっています。
平均で5万部くらいは売れていますし、
15万部の本もあります。
想定した読者層に
確実に届いているという
印象も強くありますし。
よかったと思います、ほんとうに。
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糸井 |
見事ですよ。
出版社がそろって「良心的なもの」を出して
愚痴を言っているさなかに、
思ったことをそのままやって、
一生懸命工夫して
結果がちゃんと出ている、というのは
「ほらね!」と言いたいところです。
本ってさ、発売されると
一見有名になっちゃうもんだから、
大量に生産される商品だと思いがちなんです。
でも、すべての本が
100万部売れているわけじゃなくて、
ほとんどの本は
1万部だったり2万部だったりします。
だとしたら、それは
巨大で多量なものをつくっているわけじゃなくて、
「手編みのセーター」程度なんです。
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清水 |
ええ、そうだと思います。
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糸井 |
なのに、「手編みのセーター」じゃないやり方が
正しいと言われちゃう。
だから、全部がつまらなくなるんです。
「ハッ、これって、手編みじゃん!」
と気づいた瞬間に、
誰かができるんだ、という考え方ができる。
「ほぼ日」もそうなんだけど
「そんな数のものだったら
人力で対応しますよ」
ということがありますから。
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清水 |
効率を単純に考えても、そうです。
「効率」って何だろう?‥‥
一般に効率的だと言われているものは、
意外とそうじゃなかったりもしますよね。
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糸井 |
そうそう、ちがうちがう。
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清水 |
非効率的に見えたものが
結果的に、行くべきところに
きちんと行きついたりして。
そのことは、
何と言うんでしょうか(笑)‥‥。
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糸井 |
机の上で全員が眉をしかめていたことを
「僕、やっときました!」
って、いっぺんに
解決済みになることがあるからね。
「考えてみれば、たいしたことない」
って、もっと思うべきなんです。
このシリーズの売れ方だって、そうでしょう。
本の流通の道筋からすると、
ちょっと異例なかんじがしますよ。
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清水 |
図書館にもたくさん入っているから、
手にしてくれる子どもたちが
多いんじゃないかと思います。
小さな本屋さんも
きちんとシリーズでそろえてくれたり
していますし。
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糸井 |
最近は映画でもそうなんだけど、
「内容はいいけど、あたらないだろうな」
と以前は思ったようなものが、
ここのところ、
これまでにはない情報の流通をして、
しっかりあたっている。
その辺の動きは、これから
ほんとうに興味深いです。
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清水 |
ええ。
教わることはたくさんあります。
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糸井 |
ずっとやっていってほしいです。
「よりみちパン!セ」は。
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清水 |
そうですね。
これからも、おもいろいタイトルが
続々刊行される予定です。
楽しみになさっていてください。
(ふたりのはなしは、おわりです)
2006-02-12-SUN
「よりみちパン!セ」の
「シミズとイトイのよりみちばなし。」は
今日でいったんおしまいです。
「ほぼ日」では、「よりみちパン!セ」を
これからも応援していきたいと思います。
シリーズの、あたらしい本が出たら、
このページで、そのつど
ご案内していきますね。
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お寄せくださいね。
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