「若い人向けですからね、少し工夫しましたから」
という言葉とともに、
小熊英二さんから最終原稿が届いた。
ドキドキしながら読み進む。
さすがに編集者歴が長かった小熊先生、
押さえ所を押さえまくられ、
内容もさることながら、
そのリズミカルな構成具合に、感激した。
読者がスムーズに入り込みやすい導入部分からはじまり、
次には爆笑必至、「福沢諭吉の鼻毛抜き」エピソードが。
さらに「近代」の問題と、
私たちの日常的な疑問とがさらりと結びつけられ、
今の日本が抱えるさまざまな基本的な問題が、
ひとつながりの見取り図として、目の前に現れてくる。
小熊英二さんの本は
読んでおかなくちゃいけないような気がする。
だから分厚いけど、本は買ってみた。
でも、じつはちゃんと読んでいなくて。
‥‥という人は、じつはけっこう多いんじゃないかと思う。
もちろんそれぞれの本のテーマ設定は異なるけれど、
小熊先生が教えてくれるのは、
「今」が「過去」とダイレクトにつながっていて、
それがさらにこれからの未来につながっていく、
ということだ。
当たり前かもしれないけれど、忘れがちなことだ。
そして「学ぶ」というのは、
そういう認識から生まれてくる発見の連続、
ということだったりする。
発見は希望だったり、痛みだったりする。
私たちがいま生きている「日本という国」が持つ
希望と痛み。
この1冊は、日本人はもちろんのこと、
この国に生きるすべての人に、
小熊先生ともども、
ぜひ読んでほしいと心から願っています。
(……総186頁、小熊先生の本としては薄いですし!!)
(編集担当・清水 檀)
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