SHIRU
まっ白いカミ。

4枚目は「ガイドブック」…になるのかな。

第1回:「象にのって戦え。」

 

… その日、私はくだらないコトで夜を徹してました。

[注] … なにをいまさらの「バーチャファイター2」。

外に出ると半端なく寒くて
遊んでいた3人で逃げ込むようにデニーズに。

私はキノコオムレツか何かを食べて
紅茶を何杯も飲んでは暖まります。
ななめ向かいの席では
1人お兄さんが寝ていたけれど
店内が空いているからなのか
そこのデニーズは起こさないらしくて。
…優しいと思いました。

朝日が出て。
明治通りの交通量が目に見えて増えてきた頃。
「キノコオムレツセットとマロンパフェ」
…そんな風に3人は1枚のレシートで
別々に会計を済ませて別れます。
ここらへん、どうでもいいことですが。

(しかし24時間マロンパフェが食べられるシステムを
どこの誰が考えたのでしょう。)

そしてI氏と目白駅まで一緒に歩いて
ヴィジュアル系バンドの話などをしていた時。
ふと彼が呟いたのです。

「ほんとに昔は、象に乗って戦っていた頃があったんだよなぁ。」

衝撃的でした。
こちらも徹夜で精神状態がちょっとハイ。
その時の衝撃は… いうなら
「2,000年がひもとけた!」
という感じです。
(ヘン…か?)

帰りの池袋駅はちょうど通勤ラッシュの時間帯。
会社員の奔流が 4つもホームの並んだ
西武線から押し出されてきます。

普段は私もその粒子の中のひとつですが
逆方面はがらがらに空いていて
女子高校生が意識を無くして寝転がっていたり
ジャンパーを首をすくめるように羽織っては
新聞に顔を突っ込むようにして読んでるオヤジさん。
そして私。3人しか車両にはいません。

いつの間にかうつらうつらとしていると
寒い風が吹き込んできて目が覚めました。
どうやら向いのホームにも同時に電車がついたらしく
あちらでは人が乗り切らないぐらいに詰めよせて
駅員が「押し屋」と化しては、次々と押して回っています。

「いいですか、押しますよー。」
「はーい、かばん引いてください。」

つくづく、変な光景だよなぁ…と見ていると
耳に痛いつんざくような笛の音。
つっかえながらドアがしまって満員電車が動き出します。
その時、私はさっきのI氏の言葉を反芻してました。

象に乗れば強そうだから象に乗って戦おうというのも
人が入らないから押してみようというのも

朝6時に起きて西所沢から西武池袋線で通勤するのも
六本木でラングスティーヌのガトー仕立てを食べるのも

なんだかいくら歴史は変わろうと
そういうヒトの「発想の素」みたいのは
どうせいっしょなんじゃないか?
…と、その時思ったのです。

てな事で。
ながながとタイトルの説明を兼ねた第1回。
幻想に包まれた街を歩き回っては、
そんな「発想の素」がみえかくれする断層をみつけて
報告しようというコーナーです。
(わかりにくかったら楠さんの連載のパクリ…って)

さてさて。

 

放り込むように押されていた女の人。


[撮影] JR池袋駅山手線ホーム木曜7時50分 (1999.1)

ホームにあふれるほどいた人は全て車中に。
どうやって入ったんでしょう…??

(どこかから、何人か落ちてたりして)

 

本日の紹介:
池袋駅、朝の山手線ホーム
アクセス:
JR池袋線から徒歩0分

シル (shylph@ma4.justnet.ne.jp)
『深夜特急ヒンデンブルク号
(http://www4.justnet.ne.jp/~shylph/)』

1999-01-20-WED

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