SHIRU
まっ白いカミ。


34枚目:「ムトゥ・踊るマハラジャ」

 

「この電車は新宿に行くのか?」
…と駅で外人さんに聞かれて
ふと、「3倍マン」という詩を思い出しました。

「3倍マン」

好きな子の前なら脈拍3倍増
常人の3倍の速度で空を飛び
常人の3倍の速度で鼻血を出せるなら
尚、理想的な3倍マン。

俺の朝は
通常の3倍のケロッグで始まり
一般の3倍早く消化吸収
3倍速で尻を拭き
マッハズボンあげ。

「えっきゅうみ しょっざうぇとっ すたいしょん」

人の3倍濃い人生を送り
人の3倍悲しい羽目に遭い
人の3倍老けてみえるが
俺はまだ7歳。

英語だけはお断りだ。

例によって私の作品ですが。
(ここでしか読めませんヨ! )

えっと…以前にも同じ様な事があって
その時は渋谷から品川に行きたい人を
新宿方面行きに乗っけてしまったのでした。
山手線は環状なので事なきを得ましたが
「新宿ハ渋谷カラトテモ遠イネ!」
と思った事でしょう。ごめんなさい…。

ま。それも旅の思い出。
今回の人は無事に御案内
思い出作りはしないで済みました。

それにしたって英語さえ出来れば
こんな東の果ての島国まで
なんとか世界中を旅できてしまう。
「英語が出来ると10億人と話せる。」
とかポスター張られていますし
生まれつき英語圏の人は良いなァ…と
頑張って英単語で意志疎通しながら思いました。
(しかしもって英語のできない人ほど
こういう事を考えます。)

大学の教科書が全部自国語で読める国は
世界中で6つしかないんだそう。(英米仏独露日)
おかげさまで日本語しか分からない
英検4級の私だって学生をやっていられます。

一方でインドあたりを調べると
実際に使用されている言語が国内に750もあって
インド憲法では「とくに発展・普及すべき公用語」として
そのうち15の言語を指定しているのだとか。
距離にして18キロ走ると言語域が変わるって…。

そういえばインド映画「ムトゥ・踊るマハラジャ」でも
馬車に乗って少し移動しただけで言葉が変わってしまい
ムトゥが旅芸人の女の人に"嘘の訳"を教えられて
村人に袋叩きの目に遭う…というシーンがありました。

話が意図的に流れてますが、この映画。
GWで時間もあるし何か映画を観てみよう…
という人にはぜひ! ってな感じの1本なのです。

インドは世界で最も映画の製作数の多い国。
そんなインドの大スター。ラジニカーントさんが主演。
(この映画をみるまで知らなかったのですけど
主演作全部の頭で表示されると言うロゴ
「SUPER STAR RAJNI」 が出て一瞬で覚えます。)

映画自体はなんと説明したらいいんでしょう。
全てが詰まっています。
象だって何十頭も出てきます。
視聴者が先を読んで考えた事は
全て5割増しぐらいでやってくるというか…
とても幸せなインド産ミュージカル・エンターテインメント。

和気あいあいとツッコミを入れながら3時間近く。
おしまいのほうには軽く疲れを感じながらも
カルチャーショックでガンジス河に
へなへなと揺蕩う(たゆたう)自分を再発見する事でしょう。

 

 

シル (shylph@ma4.justnet.ne.jp)

from 『深夜特急ヒンデンブルク号』

1999-05-08-SAT

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