SHIRU
まっ白いカミ。

イラスト:中村貴広 「経営学科生のノート落書き例」

44枚目: 「車輪の下」

 

こんばんは。シルです。

私の友達にサイヤ人がいるのですけど
こないだ教科書をみせてもらったら
歴史も文化もすべて戦争物ばっかりで
びっくりでした。これだから戦闘種族って……。

そろそろ試験シーズンなのでしょうか。
電車の中でも赤い下敷きをめくったりして
人々が立ったまま学習しています。
それにしても2,000年ぐらい前の小・中学生は
覚える事が今よりぜんぜん少なかったし
あと500年もしたら第30次世界大戦ぐらいまで
年号を丸暗記しないといけないから大変ですね。

そういう私もそろそろ前期試験日程に入るのですが
何に悩んでいるかと言えば、勉強よりも
さりげなく卒業単位を取りこぼしてしまおうか
どうかという2択問題だったり……。

さておき。
試験の類について私がずっと思っている事。
誰もが感じてるだろうし再三語られている事でしょうけど
(そのわりに解決に向かってる気配もない……。)
「丸暗記」ってとても不毛で悲しくなります。

創造性や表現力は客観的に測定が難しいから
選択や穴埋め問題が多くなる……のは分かります。
でも百人一首丸暗記なんかはまだしも
読んだことも無い作品と作者名が線で繋げたって
それは何にもならないと思うのです。
いくら採点に便利だからってそういう事を
十何年も続けさせないで欲しい。

それに携帯通信端末にPCだって小型化した今時。
わざわざ覚えなくてもデータベースにアクセスしたり
人に聞いた方がずっと正確で無駄もありません。
大学だと「ノート・辞書類の持ち込み可」という
試験も多いのですがそれでもやっぱり
PHSで人に聞いちゃいけないんです。
なんでじゃ?

さらに時々「ノートは自筆に限る」という
意味不明な教授までいて悲しくなります。
生徒が集まらない自分の魅力不足に至らなさを
自筆ノートや出欠をとる事でカバーしようとしているのですが……
「ノートコピーさえあれば私の講義は何の役にもたってない。」
そんな情けない事実を自分で認めているようなものです。
恥ずかしくないのかしらん。

「並の教師は、語る。良い教師は、説く。
 優れた教師は、示す。偉大な教師は、注ぐ。」

ウォードさんに続けて私も。松の教師は、出席をとる。
バリューセットの教師は、教授の引っ越しを手伝う。
シェフのオススメ教師は、学会で子供を遊園地に
連れていけない教授の身代わりになって豊島園へ行く。

みー。松竹系の教師の方の事を考えると
ちょっと失礼な中傷かも。中には素晴らしい先生だって
いらっしゃるのは分かってます。私も過去に何人か出会えました。
小学校で草鞋の作り方を教えてくれた藤野先生とか
茶碗を洗うのが大嫌いでニーチェ研究家の木戸教授とか。

 

イラスト:Khoji-3200

 

前向きに役立つ自衛策の話も書いておきましょう。
大きな消しゴムとか手とか太股とか横を向くとか……
そういうのです。私自身はあまり自衛手段に出た事が無いので
ひとつ友人の例など。

試験後に家に遊びに行ったらノートコピーの切り端だらけ。
彼の家は坊さん業だけにお金持ちで
部屋にコピー機なんかがあるのです。
それで何かと思えばゼロックスパワーでもって
「縮小コピー」→「縮小コピー」→「縮小コピー」
繰り返して彼は超小型教科書みたいのを作っていたのです。

「その努力を勉強に向ければ
少しはましな成績になるじゃんよ。」
……と心中で思って。実際に口にもしました。
でも丸暗記よりそっちの「創作活動」 の方が
ずっと楽しいし夢中になれるのはすごく分かります。

と。そういえば私にもひとつ。
小学生の頃。テスト勉強が嫌なので
みんなでモールス信号をマスターしようかと
相談していた事がありました。

試験中にカツカツトントン机を叩いて
情報交換をしようという素敵なアイデア。
実にスマートなカンニング方法だと思ったのですが
実現はしませんでした。なにしろ
モールス信号ってかなり面倒なのです。

今でも一つだけ覚えてるモールス信号が
"トントントン・ツーツーツー・トントントン"
御存知S.O.S.(Save Our Souls)です。
誘拐された時なんて電話口をひっかいたりして
犯人に隠れて助けを求めたりと便利至極。
ぜひ覚えておきましょう! いまのポイント
間違っても試験にはでませんが。

ではでは。 ここらへんで。

 

シル

shylph@ma4.justnet.ne.jp

 

 

from 『深夜特急ヒンデンブルク号』

1999-06-27-SUN

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