illust:Yukiko Inoue
115枚目: 「帰ってきたドナドナを歌う女子大生」
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シル:
おはようございます。
ゆっくり眠れたでしょうか?
ゆうき:
こんにちは。ええ、別に夢に牛の群れが現れて
私をうらめしそうに・・・などということはなかったのですが、
米びつにしめじが生える夢を見てうなされました。
今日は実習の総まとめ。今までいろいろと仕込んできた
マウスやラットを開いて内臓の重量などを量ります。
さらにもらい手がないものを麻酔で安楽死・・・
しかし動物の生命力というのは強くて
麻酔くらいでは死なないのが現実。
そのまんまビニール袋に詰めます・・・。
袋が白くくもっていたのを私は忘れない。
ゆうき:
インド旅行に行かれるのですね、
まめ知識ですがインドの牛は「コブ牛」というもので
学名は「ボス・インディカス」です。
日本のものとは種がちがうのだそう。
シル:
ただいまー。
象に乗りました!揺れた揺れた…。
ゆうき:
象!!すごいですね、本物のインド象。
あんなでかいものが草食だなんて
どうしても信じられないのです(牛もだけど)。
裏で肉をむさぼり食ってたらどうしましょう。
シル:
あははは!牛が余ってますしね。
道端でとうもろこし焼きを営む家族がいて
彼らがむしったとうもろこしの皮を
牛がうろうろ寄ってきて食べてました。
あ、草食だな…と思った。
ゆうき:
台風もやっと通過、きらいな先輩との実験も終わり、
もうすぐ夏休みという気分に浮かれています。
ところで私は自慢じゃないのですが
現在保有しているアレルギーの数は
そのへんのみなさんには負けないのでは?とひそかに思っているのです。
幼少時から苦しめられてきた蕎麦アレルギー。
国内で死者が出たためやっと市民権を得ることができたのですが
それまでは「わがまま」とか「大げさ」とかさんざん言われたものです。
ほかにもくるみ・マカダミア・ヘーゼルナッツの三大巨頭との確執・・・
チョコなどにこっそりと入っているやつらから逃れるために
ただひたすら口の中でチョコを溶かすという努力。
ホコリなんかのハウスダストも強力な敵です。
まだ花粉症じゃないのがふしぎなくらい。
そして、現れた新たな敵、それは・・・・・「にわとり」。
毎朝実験のサンプルとなる精子をいただくためににわとりさんを
なでなでしなければいけないというのに・・・ああ、手にぶつぶつがぁ!!
仕方ないので手袋(ビニール)をしたまま挑戦・・・にわとりもなんか嫌そう。
ああ、こんどはビニールで蒸れてかゆいよう!!
苦難の道はまだまだ続く様子・・・・お昼はチキンサンドにします。
シル:
うう、お気の毒さま。
汚い暮らしをするうちに耐性がつきましたが
私もハウスダストや猫、持ってます。
チキンサンド食べて耐性つけてください。
しかし夏休みがもう残り乏しく…底の方にわずか残るのみ…。
ゆうき:
贅沢言っちゃいけません、私なんか今、講義中です。
今朝なんかレンジ壊れたしいいことないです。
ゆうき:
盲点をつきますよ(もしかして私が気付かなかっただけかも
知れませんが)!「雄の乳牛を見たことがありますか?」
昨日行った牧場は生産から牛乳の加工まで
全部やってるところなので、
もちろん子牛(かわいい)とおかあさん牛はいるのですが。
今までさんざん搾乳したり牛の体重量ったりしてきた我々も
「雄の乳牛(つまり種牛ですね)がいるよ。」ときいて一瞬動揺。
そういえば牧場で牛乳を出したり子牛を育ててる乳牛は
全て雌なのです(当然といえば当然。)。牛の女子校をふと想像。
そして友人のすばらしき一言、「雄も牛乳出るのかなあ」。
そんなわけない!
そういや見学中からやたら私達を威嚇する巨大な牛が一頭。
「あれ、ですか?」「そうです。」
えー、ふつうの雌牛の2頭分。
体重をきいてみたところ1トン、だそうです。なんか白目むいてるよ。
頭を低く下げて上目使いで見ながら前脚で砂をはねあげるこのポーズ、
どこかで見たなあと思ったら「闘牛」ですね。そのものです。
身の危険を感じたので早々に退散。
ゆうき:
血圧を測定してちょっと遊んでみたんですが、
上96下60という結果に。なんだか不安になってしまいました。
シル:
え、えー!
殆ど心臓に血を送り出す気がないじゃないですかそれ。
そういえば牧場は女子校…。盲点つつかれました。
余った雄牛はどこに消えているのでしょうね。
1トンもあれば100グラムなんぼで売って
やっぱり肉なのかしら。
ゆうき:
昨日試験で出たばかりの質問!生まれてすぐ審査を受けて、
ある点数以下だとすぐ去勢されて肥育されるのですよ。
去勢するのは、雄の肉はかたくなるからなんですって。
ゆうき:
今週は鶏のごはん係。
忘れてて夕方行ったら1羽仮死状態・・。しーらない。
シル:
食糧のくせにお腹がすくのですよね…。
ゆうき:
ああっ、つつかれた(鶏に)、腹立つ!!
休日返上(しかも試験前)で来たのにー
ゆうき:
役に立たない語呂合わせ講座。
「校長が前から好きで・・」
後頂骨、前頭骨、鍬骨など頭蓋骨パーツ暗記用
糖分の中でも脳に利用できるのはグルコースだけ!
しかしあんなに甘くて素敵な糖も構造式はHとOHとCH2OHが
並んでいるだけの味気ないもの。
炒飯を米とハムと卵とねぎで出されたらいやでしょって
文豪小沢健二がいつか書いてたなあ・・・。
「集中できない状態でやるより眠って明日に備えよう」。
試験前ってなぜ自己弁護が上手くなるのか・・。
シル:
1192296鎌倉幕府
かろかつくーうーいーいーけれ!
ハイホー・ホーディハイ・ハイディーホ・ホーホー!!
(役に立たない語呂部分だけ頭に残ってしまった例。)
上:ネオ幕府誕生。
中:何かの活用。
下:微分か何かの何か。Hi*dHo/HoHoみたいな…。)
試験前って本や漫画がやたら面白かったり
それはそれで楽しいです。
ゆうき:
試験前は起きてるだけでなんだか満足感。
台風が楽しくてベランダで紙吹雪を飛ばしています・・。
シル:
現実逃避入ってますよね。
ゆうき:
活きのいい台風なのでよく飛びますよ!
ゆうき:
十五夜ですよ。こちらではとても綺麗な満月が見えますが
関東はくもりなのかしら。
シル:
ああ…ベランダにでても虫の声ばかりで曇り空。
せっかく教えてもらったのに同じ月が見られず、残念。
昨日の夜、殆ど満月のあの月は欠けるのが膨らむのか
気になっていたんです。
ゆうき:
月は少し太りました。こちらはさっきあった雲も消えて空が紺色。
ベランダでお茶でも。
シル
お茶は御相伴致しましょう。
こちらはモロゾフのチーズケーキとミルクティーを用意。
ゆうき:
私はミルクティーのみですが。
山の稜線と丘の上の大きな家の影、
林の木の形も全部一直線上に見えます。
今、ロケット花火のような流星が流れました。
いつも思うけどここは空に関してはとても贅沢です。
ゆうき:
実習期間中に21回目の誕生日を迎えることに・・・。
しかもその日の日程にはばっちり去勢とつのきりが。
ありがとうございます。
シル:
おはよう21さい。おめでとうございます。
素敵な誕生日の夜をすごされたみたいで…。
牛もってきて祝いました??
ゆうき:
そう、1匹まるまる私のために・・だったらいいんですけど!
実際は「おめでとう」とお菓子の小山。
シル:
誕生日の人がいると牛が一匹ばらされるなんて
さすが農学部!と感動していたのに…。
素直なハタチの男の子をだますとは流石は年の功。
ゆうき:
ええ、年上(数日だけ)を信じると痛いめ見ますよ!ふふ。
でも私も信じてたよー、「パンの実」・・。
…久々に大学に漂う牛のかほり。
たった今スクールバスで到着。特派員のつとめを果たしますよ!
初日。
いつものようにバスで出発・・・このバスに乗るたびに
私達の方が市場へ売られてゆく子牛のような気持ちになります。
1時間ばかりで到着、こんなときに限って道は空いているのです。
恒例の牛体重測定・・・今回我々のコースは乳牛を担当。
ここでポイントとなるのが牛選択です!
乳牛にはまわし蹴り・うしろ蹴り・頭突きなど
様々な技をもって我々学生を攻撃する問題牛がいるのです。
その名は11号。
ひとり一頭ずつ牛を引いていくのですが最後まで余ってる・・。
ネコの首に鈴をつけるねずみのよう。
私はお気に入りの8号を確保。
しかしなぜかこの日の8号はご機嫌がわるく・・・。
「なんか痛い」と思って右足を見ると2本に割れた蹄が・・・。
「どいてよ・・・」と言う私を無視してぐりぃっとにじるように
足をまわしてからやっとどけてくれました。
いつからそんな子になったんだ、お前・・・。
午後も体重測定。こんどは子牛なので楽。
ひまだったので子牛に向かってドナドナを歌ってあげたところ
恐怖のあまりか失禁。ドナドナドーナ・・。
2日め。
トラクター実習ですよー。
私、無免許のうえ運転未経験なのですが。
うまれて初めて運転するのがトラクターだとは思わなかった・・・。
運転自体はやってみると簡単。
問題は・・・・・クラッチに足が届かない・・・。
152センチだから・・・。ちょっと切なかったです。
明日は畑に作られた特設コースでとばします!
午後はこれも恒例の「去勢・除角・鼻環付け」3点セットです。
それまでは人間を恐れることなく近寄ってきた
子牛(生後2・3週間)もこの日を境に・・・・・。
まずは子牛を引き倒して拘束。
なぜかロープさばきが素晴らしい数人
(通称「縄師」もしくは「縛り師」。女の子が多いのが不思議)が
足首をぐるぐると巻いてしまいます。子牛は困惑の表情・・・。
今回のつのきりは電気はんだごてのようなもので。
ほかにもおっきな鋏でばっちん!と切るのとか
やきごてでじゅじゅー・・・なんてのもあるんですが(経験済み)。
じゅー・・・とこての外側で毛を焼きます。
蛋白質の焦げるにおい。見えてきたちっちゃな貝のような角を
こての筒状のところに入れて、こてをぐりっとまわします。
すると角の表面、皮のようなものがぽろりと。
あとはまたこての外側で角を焼くのみ。
次は去勢。いつもは切って精巣を除去、という
基本的な方法だったのですが今回は新機軸。
ゴムリングで結んでしまって腐るのを待つ・・なんとも悪趣味な。
じゃんけんで負けてしまった私はそのゴムパッチン係にご当選。
カンシのようなはさみでゴムを・・・・あーっ・・精巣がいっこ逃げた!
教官が慌ててゴムを外します。おろおろ。痛そうだー。
結局精巣は見つからず。ちょっとほっとしたり。
鼻環・・・まあ、ピアスあけるのとおんなじですよ、きっと。
3日め。
予定通り畑一面を使ったコースでトラクター実習です。広い。
初心者の私でもとばしたくなります。
しかしカーブがまがりきれず暴走。人身事故やらなくってよかった・・・。
やはりクラッチが踏み切れず苦労。あと5センチ脚が長ければ・・・。
最終日は午前中いっぱいを使って「除糞」・・・。そのままです。
それにしても、数年掃除してなかったらしく
もう有機物が得体のしれない臭いを発している・・・。
「ムトウハップ」のにおいでした。はい。
今回の実習はこんなところ。
もう牧場にいくこともないので長靴を廃棄。
そして連夜の買出しで体重は・・・・・・。
ゆうき:
今回のレポは
あまり目新しいことがなくて・・。
特派員の仕事としては不満が残ります。
すみません、局長。
シル:
8号…可愛い。
しかしどこが目新しくないんですか!
贅沢です!!ありがとうございました。
シル:
う、牛が来ました。
茶色い牛がホルスタインの8号ですか?
ゆうき:
顔だけ写ってるのが8号です。
綱を引いていて至近距離からしか撮れず。
つのきり特派員:ゆうき
聞き役:シルチョフ
7.6-10.8.1999
E-Mail: shylph@ma4.justnet.ne.jp
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