SHIRU
まっ白いカミ。

+116+ "君の宇宙旅行"


今年は寒いから帰れないかもしれません。

そんなメールが海王星の彼女から届いて

どうせ仕事が急に入ったんだと

今年は海王イカが不足していて高いのだ。



イルカボートを3つ連結して

息継ぎしつつも天王星のあたりで力尽き

ある性格の悪い貴族の庭に落ちた。

二頭立ての馬車が森の中を疾走してくる。



僕は舘の中でそれをみながら甘い酒を飲む

馬は毒入り人参をかぎ分ける賢い馬で

ドアノブばかり手元には余っていたけど

部屋はきちんと鍵つきだった。



地下室では博士と助手が

軟禁されながら発明品を生み出していて

それを売って貴族は収入にしている。



妙に待遇はよくて僕の腹は次第にふくらみ

彼の悪巧みに気付いた頃には

僕は海王星どころか

イルカボートにさえ入れなかった。



野生のブタとウシを煽動して

6機エンジンで海王星に飛ぶ貴族を追った。


ブタ小隊右へ! 牛第三斥候隊進め!

ブタ大隊特攻!! 反芻止めっ!!

…長い勝負だった。

 


あら。

どうしてブタなんかに乗ってきたの?

僕だってわかんない。

どうして海王星になんて来ちゃったのだ。

この星は水ばかりで居心地わるい。

相変わらず麺を巻くのがへたくそな君と

このペスカトーレ食べたら帰るさ。

 


:シオ×シル:

shylph@ma4.justnet.ne.jp




2000-01-16-SUN

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