SHIRU
まっ白いカミ。

118枚目:「おはようと言えるまでの日記。」

 

○月×日

ミス・ユニバースという気宇壮大なミスコンを見た。
時間・空間的に幅広いレンジで 美人を集めたら面白そうだと思った。
首の長い人、下膨れの人、変遷する美学。
どうしてミスターコンテストがないのか考えて
3つほど理由を思いついた。

 

○月×日

イッツ・オー・ト・マーティック。
世界の車窓からのBGMを聴くと切なくなる。なぜだろう。
ただの空気の波なのに。

 

○月×日

友達の新たな一面を発見した。
自分以外の生物は害虫、ペット、食糧のいずれかに
すべて分類できると思っているらしかった。

きっと花畑をみれば、ぜんぶ花束にしたら幾らになるのか
その場で暗算するのが洒落てるとでも思っているのだ。

 

○月×日

きゃっほう!
翼という字は嬉しそうな人に羽根が生えた姿にみえる。
雲一つない退屈な青空でもいい、そこを飛ぶ。

 

○月×日

騙されたというのは推測と結果が違ったというコトだ。
「地面にみせかけて葉っぱをかぶせてあるな。」
そう思っていればそれはそういう地面なのだ。

罠という字は網を頭上に抱えて人が歩いてるところに違いない。

 

○月×日

閉という字は開けてくれないので扉を蹴ってるところだ。

 

○月×日

喫茶店の他のテーブルで交わされる会話は
どんなに切実なものでもすべて他人の物語。
目の前のテーブルの物語だってそれとどう違うのか。

 

○月×日

フリーメーソンの起源に関する書籍を立ち読み。
なんだか明るいお日様の下では発展しない文化だと思った。
しかし僕の趣味もアリゾナ砂漠に並べたら
日の光で粉になってしまうようなものばかりだ。

(P.S.フリオ・イグレシアスなどは太陽の光に強いと思う。)

 

○月×日

チョコレートの匂いのするリップバームを塗って寝たら
チョコレートに溺れる夢を見た。

そういう死に方なら幸せだろうと思っていたけど
実際に溺れてみると鼻の穴から
絶え間なく浸入してくるチョコは地獄の責め苦だった。

 

○月×日

道を歩いていたら見知らぬ爺さんに骨密度を自慢された。
口惜しかったので低温殺菌牛乳を買って帰る。

 

○月×日

朝摘み野菜のスタンドで
いつもの婆ちゃんと立ち話。
「最近、地面が凍っていてホウレン草が
朝はまだ引き抜けないんだよねえ…」と言われる。
寒いので体に気をつけてね。と返事をした。

 

○月×日

守衛さんに挨拶。
打算が一番少ない言葉の使い方だから
朝の挨拶が好きだ。

おはよう。
おはよう。

 

shylph@ma4.justnet.ne.jp

2000-01-22-SAT

BACK
戻る