151枚目:「マイナス赤頭巾ちゃん」
ある日、森の中。
パンをつまみぐいしながら歩くマイナス赤頭巾ちゃんを
木影からそっと見ている気の善い狼がいた。
「狼さん、そこで何をしているの?」
枝の上で昼寝をしていたリスがたずねた。
「何か俺に助けられることがあればと彼女を見守ってるんだ。」
リスはこれを連れ添いのリスに耳打ちして伝えた。
「俺の出番はないかと彼女に何か起こるのを待ってる。…だってさ。」
「まあ、そんなのとんでもないわ。」
リス達は狼にどんぐりをぶつけてヒステリーをおこした。
そんなことはつゆ知らず。マイナス赤頭巾ちゃんは
とくになにごともなく、おばあちゃんの家にたどり着いた。
トン、トントン。
「おばあちゃん!パンを届けにきてあげたわ。
あ、でもね、途中でね、わるい狼におそわれて
干しぶどうだけほじくられちゃったの。ごめんね。」
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