SHIRU
まっ白いカミ。

0156枚目

「あきのよるのつきのはなし」

 

いつまでもみんなわたしのうえを

あるきつづけるとちかいなさい。

まよなかのみちはねごとをいっていました。

みちのうえでねていたいぬが

こわいゆめをみてめをさましました。

まちじゅうのひとからにおいはするのに、

かいぬしがみつからないゆめでした。

いぬはかなしくなってくんくんはなをならすと

せなかをそらしてとおぼえをしました。

つきがおおきくみえました。

つきはなんでもみていました。

なきごえをきいたぬすっとはおどろいて

つまのまついえににげかえりました。

ぬすっとのつまはびょうきでした。

にげていくぬすっとをカーテンのすきまから

くすりやのむすめがみていました。

むすめはぬすっとにこいをしていました。

あした、むすめはぬすっとにくすりをそっとてわたすでしょう。

むすめのわたすのはくすりであって、

どくではないとつきはしっていました。

つきはなんでもしっていました。

つきのひかりはまちからもりへふりそそぎます。

まちはずれでりょうてがひだりてのおとこが

ぐっすりねむっているようです。

おとこはものごいでした。

いぬにいわせるといつもあそんでくれるひとでした。

おとこはおちばでねどこをつくっています。

おちばはじぶんがまだみどりいろの

わかばだったころのゆめをみていました。

つきはそろそろたいようをおこしにいくころだとおもいました。

 

2000-10-04-WED

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