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荒井良二さんが「ぶっとんだ」という『さよならペンギン』とは
いったいどのような本なのか?
対談に同席した永田は、どうにも気になっていた。
そこで、現乗組員のなかで一番古くから居るモギ、
つまり筆者である、に
本当に事務所に絵本が存在していないのか、
もう一度確認をしてみた。
なにせ、彼女があわてものであることを永田は重々承知していた。
モギも、その時自身がテンパッていたことを認め、
さらに、「ほぼ日」黎明期までの糸井重里のマネージャーが、
しっかりと著作物などを管理していたことを思い出したので、
もう一度、落ち着いて社内を捜索すると永田に約束をした。
一番可能性があるのは、
前事務所のコピー室にあった、著作本棚である。
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「ただいま製作中」の写真より。
まことに痛恨の極みであるが、その後事務所移転のため、
しっかりとした写真が無い。この、左側の棚の中である。
この際、おかしな人物には目をつぶっていただこう。 |
しかし、ここには、過去20年ばかりの著作物しか
存在しないことがわかった。
残るは‥‥。
モギが糸井事務所で働くようになってから
一番最初の引越しのときに
「この本棚の本は大切なのでそっくりはこんでください。」
と、糸井重里自身に言われた本棚がある。
そして、それは2回目の引越しの時にも
当時の引越し係にそのように申し送り
大切に引っ越された蔵書である。
もはや、その蔵書の存在は知る人ぞ知るものとなっていたはずだ。
そこに、一冊でも紛れ込んではいないものか。
祈るような気持ちで、倉庫の鍵を総務の元木に借り受けて
本棚を上から順番に確認していった。
そこに、細い細い背表紙が、あった。
目をこらしてよく見てみると『さよならペンギン』とある。
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▲重ね重ね痛恨の極みであるが、
本棚はフィクションだが、このような薄さで、
ひっそりと本棚にそれは存在していた。 |
モギは、倉庫の中で絵本をめくり、
一人しずかに「ぶっとんだ」。
そして、なにも言わず、永田に絵本を渡したのである。
なにも言わなかったのは、
永田という人物が、
物語という物語に先入観をもって接することを極度に嫌うからである、
というようなことは、本流と関係がないので
今は傍らに置き去りにしておこう。
気分的には翌日のことである。
永田はモギに向かって、
「この本はもちろん絶版になってるんだよね?
だとしたら、もう一度出版できないかな。」
どうやら、永田も「ぶっとんだ」のではなかったか。
こうして、最初の「ペンギンチーム」が結成された。
「本の権利関係がどうなっているのか、
現状を調査してみよう。まずは、そこからだ。」
まずは、そこからだ。
(つづく。スピードをあげないと、
現在に追いつく前に、出版日を迎えてしまう。)
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2011-02-04-FRI |