PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙17 「 薬について」その3

こんにちは。

前回は「飲んでる薬の名前を知ろう」についてでしたが、
同じくらい大切な、「くすりの副作用」について。

病院でもらったり、薬局で買ったりした薬を飲んで
かえって具合が悪くなることがあります。

もちろん、薬はその病気に効くものであることが
大前提ですが、そうであっても、
本来の目的とは違った効果が出てしまうことがあって、
それを副作用と呼んでいます。

たとえば、最近日本でも処方箋なしで買えるようになって
一時期すごい量のTVコマーシャルが流れた
胃の薬(H2ブロッカー)などは、
胃炎や胃潰瘍にはすごく効くのですが
その種類によっては、肝臓をいためたり、
男性でもおっぱいが大きくなったり、
頭痛がしたり、血小板が減ったりと
さまざまな副作用を起こす可能性があります。

もちろん
飲んだすべての人に起こるわけではないですけど。

副作用を起こす頻度の高いくすりのひとつに
抗生物質があります。
とくに、そのアレルギー反応はとても大切です。

傷が化膿したり、
肺炎などの感染症にかかったときに
ひろく使われてる抗生物質ですが、
この抗生物質の投与を受けたあとで
全身に発疹が出たり、
重篤な場合だと
喘息のような発作を起こすひとが
そんなに多くはないですが、ときどきいます。

これらは典型的なアレルギー症状です。

なかでも比率の高いのが、ペニシリン・アレルギー。

このアレルギーで有名なのが、ミック・ジャガーの
(たしか、最近婚姻無効が成立した)元夫人、
ジェリー・ホールです。
ペニシリン・アレルギーであることを確認せずに、
薬を投与した医師から得た
損害賠償金を元手に上京して(とは言わないか)
彼女はモデルを始めて成功を収めたんだそうです。

ペニシリンでアレルギーを起こす人のうちの1〜2割は、
その構造が似ているセファロスポリン系の抗生物質でも
アレルギーを起こすことがあります。

薬を飲んだ後に、何らかの副作用が出た場合には
今後の危険を避けるためにその名前と症状を
どっかに記録しておくことはとても大切ですし、
医師の診察を受けるときに、
そのアレルギーについて話しておくことも必要です。
(患者さんにアレルギーの既往についてあんまり
訊かない人もいるので、ご自分の身をまもるために、
ぜひすすんで伝えてください。)

アレルギーのある人に対しては、
その薬を使わないというのが、大原則ですが、
病気によっては、それを使わざるを得ないことがあります。
次回は、そんなとき
患者さんはどうやって乗りきっていくのかについて、
お伝えします。

あと、ミック・ジャガーで思い出したのですが、
この春、フィラデルフィアで
ローリング・ストーンズのコンサートがありました。
行ってみよーかなあ、
と発売日に、インターネットで買いに行きました。
運良く、発売直後につながって、よくわからないまま
「この時点で、一番良い席」のボタンを押してみたら
1枚300ドル、と法外な値段。
とんでもない、とキャンセルして
再度アクセスを試みましたが、
もう2度とつながりませんでした。

3万円だなんて。東京でだってそうはしないですよね。
裕福なローリング・ストーンズ。
ジェリー・ホール、更なる賠償金で、ますます飛躍か?

では、今日はこの辺で。
みなさまどうぞお元気で。
さようなら。

本田美和子

1999-09-16-THU

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