PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙28 ドラッグストアのくすり1

こんにちは。

以前、海外に住む日本人向けの雑誌が
各国の薬局で買える薬の特集を組んだときに、
頼まれて、米国での薬の買い方、使い方についての
短い紹介を書きました。

先日、ファイルを整理していたら
そのときの原稿が出てきました。

「ほぼ日」を米国で読んでくださっている
長期滞在の方だけではなく、
旅行や仕事でちょっとお出かけの時だって
役に立つかもしれない、と思いついたので
今日から3回に分けて「ほぼ日」用に書きなおしつつ
ご紹介します。

1回目の今日は、おおまかな健康上の注意点などを。

海外に赴任する際には、その国によらず
自分の健康状態について客観的に
把握しておくことが大切です。
持病のある場合には、
出発前に主治医によく説明を受けて
自分の病気の名前、飲んでいる薬の名前について
ご家族の分も含め、記録しておくことをお勧めします。

薬の名前については
商品名だけでなくその一般名(薬理学上の名前)を
英語で書きとめておくと、いざというときに役に立ちます。

以前「薬について」のシリーズでご紹介したように
米国ではこれまでの薬のアレルギーの既往について
必ず尋ねられるので、
アレルギーを起こしたことがある場合には
その薬の名前と起こした症状について
答えられるよう準備しておいてください。

たとえば、抗生物質のペニシリンを飲んで
皮疹が出た場合には
「I have the allergy to
penicillin, it caused me rash.」
といった具合にいえば大丈夫です。

また、子供の予防接種歴は入学の際に必ず要求されるので
英訳して持参したほうがいいと思います。

米国ではたいていの薬が
CVS、Rite Aid、Walgreenといった
全国チェーンのドラッグストアで購入できます。
その薬についての説明、
特に用量、用法をよく読んでから使ってください。
ドラッグストアには薬剤師が必ずいるので、
薬の選択に迷ったり、不明な点がある場合には
聞いてみると詳しく説明してくれます。

市販の薬を数日使っても症状が改善しない場合は、
医師に相談することをお勧めします。

受診するのに予約が要らないのはERだけです。
診察料や処置に関する料金はほんとに高い。
長期滞在の方はもちろんのこと、
短期の旅行の場合も、
できる限り旅行用の保険に入ることをお勧めします。

受診の際はこれまでの健康状態について詳細な質問
(これまでどんな病気にかかったか、
どんな手術をうけたか、薬の副作用・アレルギーの既往、
家族の健康状態、現在飲んでいる薬の名前とその量など)
を受けるので、あらかじめ英語のメモを作っておくと便利。

医師のオフィスで、サンプルのくすりを
1、2回分くれることもありますが、基本的には医薬分業。
医師から処方された薬もドラッグストアで購入します。
医師が書いた処方箋(prescription)を持って
ドラッグストアへ買いに行けば大丈夫です。

リフィル(refill)という項目が処方箋のなかにあります。
2回分、3回分というようにrefillの回数を
処方時に書きこんでもらっておけば
一度処方された薬を再度受診しなくても
もう一度同じドラッグストアで買えるシステムです。
処方箋をもらったときに確かめてください。

次回からは、
処方箋なしで買えるドラッグストアの薬について
お伝えします。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

1999-11-28-SUN

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