PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙29 ドラッグストアのくすり2

こんにちは。

前回はドラッグストアや
処方箋のシステムなどについてお伝えしましたが、
今日は実際にドラッグストアで手に入る薬の名前と
知っておくと便利かもしれないことについて。
かっこの中は商品名です。

<解熱鎮痛剤>
アスピリンaspirin、
アセトアミノフェンacetaminophen、
イブプロフェンibuprofen、
ナプロキセンnaproxen
の4種類が処方箋なしで買える薬です。

この4種類がさまざまな商品名
(バファリンBufferin、タイレノールTylenol、
 モートリンMotorin、ベイヤーBayer、
 アドビルAdvilとその限りないバリエーション)
で売られています。

アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセンの3種類は
解熱鎮痛効果のほかに消炎作用もあるのですが、
胃粘膜への影響が大きく
胃炎や胃潰瘍を起こす場合があります。
また、飲みすぎは腎臓にもよくありません。

もっとも広く使われている
アセトアミノフェン(タイレノールTylenol)は、
消炎作用はありません。
胃への負担はありませんが、
飲みすぎると肝臓の働きを悪化させます。

<感冒薬>
いわゆる感冒は上気道のウイルス感染ですが、
ウイルスに対する特効薬というのはないんです。
ですから総合感冒薬を飲む目的は
頭痛、鼻水、のどの痛み、発熱などの
症状を軽くすることにあります。

市販されているたくさんの感冒薬
(コンタックContac、アクティフェッドActifed、
 アルカセルツアー・コフメディシン
 Alka-Seltzer coughmedicineや
 その限りないバリエーション)には、
抗ヒスタミン剤
diphenhydramine/
triprolidine/
phenylpropanelamine、
咳止めdextromethorphan、
鼻粘膜の充血改善剤psuedophederineなどが
含まれています。

米国の市販薬の中で最も種類が多いのがこの感冒薬です。
テレビのコマーシャルが、これでもか、と流れますが
たぶん効き目はどれも同じ。
お好みでどうぞ。

抗ヒスタミン剤は睡眠薬にも使われるように、
脳の働きを抑制するので、眠くなり、
服用後の車の運転は危険です。
また鼻汁を止める一方で、
非常にのどが渇くのも副作用のひとつです。

鼻粘膜の充血改善剤は
鼻水、鼻詰まりに効果がありますが、
血圧やうつ病の薬との相互作用の例があるので、
処方薬を飲んでいる場合は、主治医に確認してください。

<咳止め>
これもいろいろな種類がでていますが
(ロビタシンRobitussinなど)、
痰を伴う咳を無理に抑えると、
せっかく体が外に押し出そうとしているごみを
体の中に溜め込んでしまうことになるので、逆効果です。
眠れないほど
夜、咳が出るような場合はしかたありませんが
我慢できる範囲なら使わないほうがいいかもしれません。

<喘息薬>
これまで喘息の既往のある場合には
処方されている吸入薬を
いつも持ち歩くことをお勧めします。
お使いの方はよくご存知のように
発作時に早めに吸入すると
気管支を拡張させて症状を和らげます。

吸入後20分たっても症状が改善しない場合は
すぐに医療機関を受診してください。

薬局で手に入る吸入薬
(ブロンケイドミストBronkaid Mist、
 プライマティーンPrimatene)には
エピネフリンepinephrineが含まれています。
この薬は心臓への負担が大きいので、
心不全、高血圧、甲状腺の病気のある場合には
使わないで下さい。

今日はひとまずここまで。
次回、3回目は、
おなかの調子が悪い時のくすりなどについて、です。

みなさまどうぞお元気で。
本田美和子

1999-12-05-SUN

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