手紙39 喘息のはなし2 ピークフローメーター
こんにちは。
喘息は、最近とみに増えている病気のひとつで
ある調査によれば1980年から1994年の15年の間に
患者さんの数が75%も増えていて、
米国民の5%がなんらかの喘息の経験があるんだそうです。
これにはいろんな理由が考えられますが、
空気の汚れや、刺激となる物質の増加が
ひとつの原因となっているのかもしれません。
喘息の典型的な症状としては、前回も触れたように
咳や、ひゅーひゅー、ぜいぜいといった苦しげな息づかい、
息切れや呼吸困難などが挙げられます。
これがひどくなると、胸が痛くなったり
息が全く吸えなくなったりして
治療を受けるのが遅くなると、
命を落とすことにもなりかねません。
とても重い喘息発作の場合には
体の中の酸素が絶対的に不足してしまうので
気管挿管といって、口や鼻から管を気管の中に入れて
人工呼吸器につなぐこともあります。
喘息発作の患者さんがやってきて
しかも、これまで挿管したことがあることがわかれば
今回またそうなるかもしれない、と
慎重に経過を見守ります。
このように、喘息の発作の患者さんに会ったときに
とても大切なのは、喘息発作のきっかけや
症状が悪くなる因子について、
(化学物質で誘発されるような職業と
関連した喘息では特に)
また、これまでの喘息発作の内容、
たとえば、1年に何回くらい発作が起きていて、
入院が必要なことがどのくらいあって、
挿管されたことがあるかどうかなどについて
詳しく話を聞くことです。
もちろん、飲んでる薬や
吸入薬についても話を聞かなければなりません。
ただでなくても、息が苦しいのに
こんな質問に答えなければならないのは
本当に気の毒なのですが、
お医者は易者ではないので
情報を患者さんに教えてもらうしかないのです。
もし、自分のことをよく知っている人が
一緒に受診してくれれば
おおまかなことは、その人に答えてもらって
内容に関してうなずいたり、
首を振ったりするだけですみます。
ですから、「運の悪いひと4」でお話したように
時間外に受診をするような場合はとくに
どなたかとご一緒にいらっしゃることを
お勧めします。
大の大人が付き添いつきで受診することは、
ぜんぜん変じゃありません。
喘息の患者さんの肺の音は
今日初めて聴診器を買った学生でもわかるくらいの
特徴があります。
wheezingと呼ばれる、この音が大きくなれば
喘息の程度も重いと考えられます。
でも、耳で聞くよりも
もっと客観的に喘息の程度について
測る方法もあります。
肺機能検査。
健康診断などでやったことのある方
いらっしゃるのではないかと思いますが、
筒を口にくわえて、
思いっきり息を吸った後
できるだけ一気に息を吐くというのが、
一般的なやりかたです。
「一気に全部吐く」、というのが
この検査のとても大切なところで
検査技師が
「はい、一気に吐いてくださーい、
もっともっともっと…頑張って!」と
横ですごく応援してくれるのがこの検査の特徴です。
でも、喘息発作で苦しいときに
肺機能検査ができる部屋に
出かけて行く余裕はありません。
で、そのかわりに使われるのが
ピークフローメーター。
直径が3センチくらいのプラスチックの筒で
息を強く吹き込むと、
中の目盛りが動く仕掛けになっています。
これは、本当に役に立ちます。
仕組みが簡単で、どこででも使えるし
何よりいいのは、患者さんにこれを買ってもらって
家で測ってもらえることです。
全く症状のない、元気なときのピークフローを知っていれば
調子が悪くなった時にいつもの値と比べることができます。
急患室や、入院中の患者さんの経過を見るのにも
薬の吸入の前と後でどのくらい良くなったかを知るのに
ピークフローは良い指標になります。
また、家で継続的にピークフローを測って
結果を書きとめておいてもらうと、
薬の種類や量を調節するのにも、とても助かります。
喘息発作で医療機関を受診することのある方には
ぜひ、ぜひ
ピークフローメーターをお持ちになることを
お勧めします。
理想的なピークフローメーターの使い方は
朝、吸入薬を使う前と
午後、吸入薬を使った後の2回測って記録することです。
その値は、年齢や性別、体格などで異なりますが
だいたい200以下になると要注意です。
説明書に参考値が書いてあると思います。
ピークフローメーターは
そんなに高価なものではないはずですが、
正確な値段を忘れたので
金澤さんに東京の大手薬局でいくらで売ってるのか
調べてくださるように頼みました。
以下は、金澤さんからの、メールです。
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本田さんへ
ピークフローメーターの価格を調べました。
パーソナルベスト・ピークフローメーター
アセス・ピークフローメーター
価格は3800円でした。
マツモトキヨシなどのドラッグストアには
置いてないそうです。
病院で買ったり、
病院で処方せんをもらって、病院のすぐそばにある
薬局で買ったりするものだそうです。
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わたしが思っていたより、ちょっと高めの値段でした。
でも、
金澤さんが聞いてくださったなかにあるように、
処方箋をもらって買うのなら、
保険がきくんじゃないかなとも思います。
どうぞ確かめてみてください。
では、今日はこの辺で。
次回は喘息の治療薬について書こうと思います。
みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子
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