手紙50 ジャマイカ
こんにちは。
もう、うんざりするほど働かされる日もありますが
こちらのいいところは
がっちり休みももらえるところです。
わたしの病院では1年間に4週間の休暇がもらえます。
すでに去年の7月に2週間使ってしまっているので
残りはあと2週間。
その待ち望んでいた休暇が近づいた3月頃から
暇さえあればそのことばかり考えるようになりました。
ある日、看護婦の友達が
ジャマイカへ遊びに行った話をしてくれました。
フィラデルフィアからジャマイカへは
エア ジャマイカの直行便が出ていて
所要時間は3時間半。
そんなに近いのか。
フィラデルフィアからは早朝、
ジャマイカからは夕方遅くの便なので
とことん遊べます。
行ってみようかな、と気持ちがどんどん膨らんできました。
その友達は、オールインクルーシブと呼ばれる、
宿泊費、食事、ダイビングやパラセーリングなどの
遊びの費用やチップなどすべてが含まれているホテルを
「めんどくさくなくて、いいよ。」
と勧めてくれたのですが、こういったホテルは、
たいていアメリカから訪れるカップルを対象にしています。
せめて、休暇のときくらいは
アメリカ人から離れていたい。
と、思い、小さなホテルや
ビラと呼ばれるコテージを探すことにしました。
インターネットは、こういうときとても役に立ちます。
家にいるときはもちろんのこと、
当直の夜の病院のコンピュータさえも使って
こまごまと探し始めました。
ネグリル、という西のはずれにある町が
とても静かなリゾートで
カリブ海に沈む夕日がとてもきれいだ、
ということがわかって
そこに行くことに決めました。
どのホテルやビラのホームページも、
美しい海や夕日、ホテルの外観と
プールなどの写真がいっぱいでほんとに目移りします。
なかでも、そのなかのひとつに、
わたしは心を動かされました。
http://www.seagrapevillas.com/photos.html
ここにしよう。
でも、気になることがありました。
このビラの住所、電話番号、地図などは
何も載っていなくて
唯一の連絡先は Margoという、
おそらくオーナーのメールアドレスと、
たぶんカリフォルニアのファックス番号だけ。
まあ、ともかく空きがあるかだけでも聞いてみよう、と
メールを送りました。
返事は数時間後に返ってきて、
わたしたちの希望する日には、
ウエッブサイトには載せていない3つめのビラなら
空いている、と教えてくれました。
宿泊費は前払い。
クレジットカードはだめで、
小切手をカリフォルニアのMargoのところに
送ってほしいという旨のメール。
3つめのビラについての詳細な描写と、
そのビラで働いている、管理人のジューシーさん、
空港まで迎えに来てくれるタクシー運転手の
ブラウンさんについての紹介も添えられてきました。
ネグリルの観光協会が出している地図で
少なくともこのビラが存在していることは確認できました。
本来なら、もうちょっと調べるべきかも、
とは思いましたが
気分はすでにジャマイカモード。
メールのやり取りの中で、
なんとなくMargoのことは
信用できるような気がしてきましたし、
ま、もしあんまり違うようなら、
帰ってから文句を言ってお金を返してもらえばいいや。
ほんとにそんなことができるのか、
よくわかりませんでしたが
そう、自分に言い聞かせて小切手を送りました。
だいじょうぶかな、と多少の不安を抱きつつ
ともかく出発しました。
でも、ちゃんと空港の出口には
わたしたちの名前のカードを持った
ブラウンさんが待っていてくれましたし、
シャイだけど、とても親切な管理人、
ジューシーさんも実在しました。
3つのビラは、
とてもよく手入れの行き届いた美しい庭の中に
点々と建っていて、
自分たち専用のマンゴーや
ハイビスカスの木の並ぶ小径を抜けると、
美しい海が広がって、水平線に沈む夕日が楽しめます。
ウエッブサイトで紹介されていなかった3つめのビラは
Margoが送ってくれた描写そのままの寝室が3つある
とても快適なところでした。
もうすぐ2年目が終わる、アメリカ暮らしの
ちょうどいい気分転換になった、休暇でした。
では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子
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