PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙62 ミスを防ぐために 1

こんにちは。

休暇が終わって、次のローテーションは
Women's Healthというところでした。
これは近頃の流行で、
妊娠、女性特有の癌、更年期障害、骨粗しょう症など
女性の生涯を通じた健康管理をしましょう、
という科です。

このことについては
そのうちご紹介する機会があるかもしれませんが、
今日お伝えしたいことは、このことではありません。

ふつう次のローテーションが始まる前の週末には
月曜日の朝の予定を事前に確認しておくのですが、
今回はぎりぎりまで日本で遊んでいて
当日の朝に聞けばいいや、とのんびり構えていました。

ローテーションの初日、
Women's Healthのディレクターに
「わたし今日からここで働くことになってるんですけど、
 どこに行けばいいんでしょうか?」
と聞きに行ったところ、
「あれ? 今月は誰も来ないって聞いていたんで
 なんにも予定を立ててなかった。ごめん」
と、言われてしまいました。

内科のレジデントは3学年合わせると
(内科のトレーニング期間は3年です)
だいたい120人です。
そのひとりひとりに、4週間毎に変わる
個別のスケジュールを立てる、というのは
なかなか煩雑ではあるのですが
ふつうは大きな間違いはありません。

1ヶ月分のスケジュールが
まったく白紙、というのは珍しくて
ちょっとびっくりしました。

本当は、びっくりというよりは
「なんだ、わたしのスケジュールを忘れてたのなら
 あわてて日本から帰ってこなくてもよかったのに…」
というのが正直な感想でした。

ともかく
ディレクターが「ごめんねー」といいながら
急いで作ってくれた予定表に沿って
外科に行ったり産婦人科に行ったりの
毎日が始まりました。

今回のようなスケジューリングのミスは、
わたしが一瞬「ラッキー!」と思ったあとは
ディレクターが「ごめんね」と謝りながら
組んでくれた予定に沿って仕事をしていくうちに
だんだん消えて行くものですが、
病院の中では
こんなふうに消えて行くべきではない、というか
消すことのできないミスも存在します。

病院の中での
医療事故と呼ばれるこのようなミスは
残念ですが、国を問わず
どこででも起こりうることです。

ミスを防ぐための工夫や、
起きてしまったミスについて
それを2度と起こさぬようにするには
どうすればよいかという取り組みを
今働いている病院では
いくつか目にする機会があります。

次回からは
このことについて少しご紹介していこうかな、と
思っています。

では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2000-09-24-SUN

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