PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙80 HIV7 治療の第一歩

こんにちは。

前回は、HIVの抗体検査についてお知らせしましたが
今日はその続き、
もし、HIV抗体が陽性だったとき
それからどうすればいいか、ということについて
お伝えしようと思います。

残念ながら、現在のところ
体の中に入ってしまったHIVを
完全に絶滅させることはできないのですが、
体の中でのHIVの増殖をできるだけ抑えて
免疫不全の状態(AIDS)への進行を
少しでも食い止めようとすることはできます。
これが、HIV治療の基本になります。

HIVの治療について最も大切なことは
HIVと戦っていこうという、ご本人の意思です。

そして次に大切なことは、
HIV治療の専門医をパートナーとして持つことです。

HIVについての研究は
現在、世界規模で進められていて
「その時点で」最も有効であろうと思われる治療の方法が
治療のガイドラインとして、
たとえば、NIH(アメリカの厚生労働省にあたる
政府の研究所)や
WHO(国連の保健機構)などの公的な機関から
次々に紹介されています。

今後、じっくりお伝えする予定ですが
HIV治療薬は
その複雑な組み合わせや、さまざまな副作用など、
専門的な知識と細心の注意が必要です。

その点からも、HIVの治療に関しては
常に新しい治療についての情報を持っている、
経験の豊富なHIV治療の専門医を
頼り甲斐のあるパートナーとしてお選びになることを
強くお勧めします。

では、その専門医はどこにいるのか。

HIV抗体検査を保健所で受けた場合には
検査結果のお知らせと同時にカウンセリングも行っていて、
保健婦さんが
その地域のHIV治療を行っている病院について
教えてくれると思います。
じっくり相談してみてください。

HIV治療については、政府も真剣に取り組んでいます。

厚生労働省は、全国にHIV治療の拠点病院を定めています。
エイズ拠点病院とよばれるこれらの病院についての情報は
http://www.acc.go.jp/mhw/mhw_kyoten/
mhw_kyoten.htm

手に入れられます。

わたしがフィラデルフィアに来るまでの1年間を過ごした、
国立国際医療センターのエイズ治療・研究開発センター
これらのエイズ拠点病院の元締めとして、
多くの医療スタッフが働いています。

ここでは、HIVの専門家が
患者さんの治療を行うのはもちろんのこと、
全国の拠点病院から
医師や看護婦など医療スタッフの研修も受け入れています。

また、全国の医療機関で
すでに治療を受けている患者さんについても、
その治療法が最良のものであるかどうか、という
セカンド・オピニオンを求めることもできます。

「血液検査の結果は、HIV抗体陽性でした。」と言われたら
誰だって、落ち込みます。

検査結果が告げられた日には、
がっかりして何もする気が起きないかもしれません。
でも、その翌日には
どうぞ勇気を出して、HIV治療の専門医を訪ねてください。
必ず力になってくれます。

では、今日はこの辺で。
次回は
HIV治療薬についてお伝えしようと思います。

みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2001-02-16-FRI

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