PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
フィラデルフィアの病院からの手紙。

手紙112 吉崎くんの番組

こんにちは。

フィラデルフィアのことが名残惜しくて、
レジデント生活の思い出話を
延々と続けてしまいました。

ようやく、新しい職場に移ったことを
ここでご報告することができて、
さて、これから何の話にしようかなあ、と
考えていたところ、
懐かしい友達からメールが届きました。

中学校の同級生です。

背が高くてバレーボール部のエース、
成績優秀、生徒会長、しかもかっこいい、という
絵に描いたような好青年、の要素も
なくはなかったのですが、
妙なところでおっちょこちょいの、
ともかく、とても面白い男の子でした。

わたしたちは同じ高校へ通い、
その後はそれぞれ東京の大学に進学したので
顔を合わせる機会も多かったのですが、
仕事を始めるようになると、そうもいかず、
数年に一度、顔を合わせるのがやっとになっていました。

彼は興味の対象がとても広くて、
いろいろなことを調べたり、発表したりすることが
昔から、とても上手でした。
何より、わたしは彼の視点が好きでした。

そんな彼が就職先にNHKを選び、
番組制作担当になった、と聞いた時には、
「向いている仕事に就いたね」と
わたしも何だかうれしくなったことを覚えています。

さて、そんな友達からの久々のメールは
彼が最近制作した番組についてでした。

現在、NHK長崎放送局でディレクターをしている彼が
長崎の原爆をテーマにして番組を作ったので、
もし、興味があればどうぞ見てください、という
とても控えめな内容でした。

この友達の名前は吉崎健くんといいます。

この番組の具体的な内容については
まだ見てないので、よくわかりません。
こんな状態で人にお勧めする、というのは
ちょっと変かもしれないね、と自分でも思います。

でも、吉崎くんを昔から知る友人として
彼が作ったものなら
きっと面白いんじゃないか、と思いますし、
できるだけたくさんの方に見ていただけたら、と思います。

「ほぼ日」で番組のことを紹介しようか、と相談した時、
見て下さる方にお伝えしたいことについて
吉崎くんが改めてメールをくれましたので、
以下にご紹介します。

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この番組は、
これまで日本のテレビではあまり取り上げられてこなかった
アメリカの原爆投下兵士たちを取材した番組です。
長崎と広島に原爆を投下したB29のクルーの中の6人が、
被爆からわずか1ヶ月後の長崎を訪れていたという
これまであまり知られてこなかった事実から
話は始まります。

彼らの長崎訪問とはどんなものだったのか?
彼らはそこで何を見て何を感じたのか?
そしてその後どのような人生を歩んだのか?
原爆投下兵士たちの証言を交えながら、
その心の軌跡を辿ろうというものです。

これまで多くの日本の原爆関連番組が取り上げてきた、
被爆者の思いを描いた番組とは少し違い、
日本人の原爆観とは異なると思う人も
少なからずいると思います。

私達はその部分も含めての
問題提起という思いも込めて作りました。
視聴者の方々の意見も、ぜひ伺いたいと思っています。

吉崎健


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番組の放送予定は以下の通りです。

夏期特集の方は、長崎原爆の日に
全国放送になったものの再放送だそうですから、
もうご覧になった方も多いかもしれません。

ETV2001
「原爆を落とした男たち〜56年目の告白〜」

(NHK教育テレビ・全国放送)
2001年8月29日(水) 22:00〜22:44


夏期特集
「そして男たちはナガサキを見た
 〜原爆投下兵士・56年目の告白〜」

(NHK総合テレビ・全国放送)
2001年9月2日(日) 14:15〜14:59


また、NHKのサイトでも
番組の内容を紹介しているそうです。
http://www.nhk.or.jp/pr/summer/sp.html#top

もし、よろしければ
どうぞご覧になってみてください。
わたしも、誰かにビデオにとっておいてもらいます。

次回は、ニューヨークの生活の第一歩、
家探しで大きくつまづいてしまったことについて
お伝えしようかな、と思っています。

みなさまどうぞお元気で。

本田美和子

2001-08-28-TUE

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