手紙126 ほぼ日ブックス・5 最後はNHK。
こんにちは。
ほぼ日ブックスが出たことをきっかけに
いつもとは少し違った過ごし方になった休暇のことを
お話ししていますが、今回でおしまいです。
さて、電話をくださったのは
NHKで土曜日の朝に放送している
九州・沖縄向けのニュースのキャスターの
木村朋子さんという方でした。
彼女は、たまたま
わたしのインタビューの記事をご覧になったそうで、
もし、よかったら
朝のニュースのコーナーで
もう少し、じっくり話をきかせてもらえないか、と
誘ってくださいました。
そのころ、ちょっと体調がすぐれず、
また、休暇の終わりも近づいてきて慌しくなっていたので
どうしようか、とちょっと迷いました。
でも、わたしと話をしてみたいと思う理由について
暖かくお話しになるその口調には
とても説得力がありました。
また、朝のNHKのニュースをご覧になる方々というのは
インターネットで「ほぼ日」をご覧になる方とは
少し違った層となるでしょうし、
そういった方々へ、
ほぼ日ブックスでお伝えしたいと思っていることを
お話しする機会をいただけるのは
とてもありがたいことだと思い、福岡へ伺うことにしました。
「よかった。では、金曜日にお待ちしています。
お目にかかるのを楽しみにしていますね」
と、彼女は電話を切りました。
さて、当日、福岡に早く着きすぎて
時間をつぶそうとデパートで遊んでいる間に遅くなり、
結局、約束の時間ぎりぎりに伺うことになってしまいました。
インタビューをしてくださったのは
電話をくれた木村さんと
もう一人のキャスタ−、田中秀喜さんでした。
「僕たちふたりも、
本田さんと同じ高校の出身なんですよ」
ほぼ日の読者でもある田中さんは
わたしと同じ音楽部の出身で、
年に一度、卒業生も参加する高校の音楽会で
同じステージに立ったことがあることもわかりました。
スタジオへ向かいながら、
そういうローカルな話で
緊張をほぐそうとしてくださる心遣いを
本当にありがたいと思いました。
キャスターのお二人にリードしていただいて
収録が終わり、ほっとしているところに
ディレクターの方が入ってきて、
「ちょっと長かったので、あと1分20秒ほど短くして
もう一度お願いします」
とおっしゃいました。
時間を考えながら話す、という習慣のない者にとって
1分20秒短く、もう一度、というのは
途方に暮れる指示です。
そんなこと、できない。
そもそも、わたしの位置からは時計が見えません。
あきらめて、時間配分は
隣のプロのお二人にお任せすることにしました。
一度話した内容を
もう一度同じように話す、というのは
結構難しい、ということに話しながら気がつきましたが、
2度目の収録は
何とか時間内に収めることができました。
でも、ちょっと早口になりすぎたみたいです。
その後、3人でお昼ご飯を食べながら
ゆっくり話をしました。
自分が知らない世界の
第一線で働いている方々のお話、というのは
いつ伺っても面白くて、大好きです。
収録したインタビューは、
11月の最後の土曜日の
朝のニュースの時間に放送になりました。
「見たよ」とメールを下さった方、
どうもありがとうございました。
ほぼ日ブックスの発売に関して、
糸井さんや、朝日出版社の赤井さんをはじめとする方々の
とても印象深いプロモーション活動があったことは
もう、みなさまよくご存知のことと思います。
ほぼ日ブックスを
読んでくださる方が一番多いのは
東京を中心とする首都圏でしょうし、
そこにお住まいの方々に向けての
数々のイベントは、とても効率がいい、と思いました。
しかも、みんなすごく面白かったですし。
また、わたし自身も、東京にある
雑誌の出版社や新聞社の方に
お目にかかってお話をする機会をいただきました。
でも、それとは別に、わたしは
東京ではない場所で
ほぼ日ブックスについての話をすることができないかなあと
本を作っている間、ずっと思っていました。
東京から伝わってくる話は面白いんだけれど、
ざらっとしたリアリティに欠けている、というか
地続きの感じがしないなあ、と思うことが
とくに地方にいると、よくあります。
たぶん、そんな地理的、気分的な距離感を縮める
新しい手段のひとつがインターネットなのでしょうが、
だいぶ普及してきている、とはいえ
まだ、その広がりは発展途上です。
ですから、わたしは
東京から離れた、福岡や熊本で
その地域の方にお伝えする、という機会を
作っていただいたことがすごく嬉しかったですし、
そのことについて、とても感謝しています。
と、いうわけで
だいぶ長くなってしまったこのシリーズも
これでおしまいです。
次は、ドメスティック・バイオレンス、という名前で
広く知られるようになってきた、
家庭内での暴力について、
少しお伝えしてみようかな、と思っています。
では、みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子
|