PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
ニューヨークの病院からの手紙。

手紙128 インフルエンザ・2 感染のリスクの高いひと

こんにちは。

インフルエンザの予防のお話の2回目です。

前回お話ししましたように、
インフルエンザは
幅広い年齢層に勧められていますが、
やはり、一番お勧めしたいのは、
ウィルスに対する抵抗力が落ちている方々です。

これは、インフルエンザに罹った場合に
より重い合併症を引き起こしやすくなるからなのですが、
たとえば、65歳以上の高齢者。
また、年齢を問わず、
ナーシング・ホームのような
長期療養を行っている施設の入居者や、
心臓や肺の慢性のご病気をお持ちの方も
対象になります。
慢性の病気には、喘息も含まれます。

また、過去1年以内に
慢性の代謝性の病気(糖尿病などです)や、
腎臓病や
免疫抑制の状態(免疫抑制剤、ステロイドを飲んだり、
HIVに感染している方、など)になった方々も
インフルエンザの予防接種は
受けておいた方が安全、と考えられています。

また、アスピリンを
長期間飲んでいる小児がインフルエンザに罹ると
ごく稀ではあるのですが、Reye症候群と呼ばれる
重篤な肝不全や脳症を起こす可能性があるので、
やはり、予防接種を受けておくことが
勧められています。

最後に、インフルエンザが流行する時期に
妊娠中期・後期(妊娠14週以降)を迎える妊婦も
妊娠の合併症を防ぐ意味から、
予防接種を受けといた方がいいみたいです。

また、こういったリスクをお持ちの方々に
接する機会の多い人、たとえばわたしにも
彼らにインフルエンザをうつさないようにする、
という意味で
予防接種が勧められています。

このようなグループには含まれない一般の方にも、
前回触れましたように
インフルエンザによる生活の変化や
医療経済上の不利益を防ぐために、
もちろん、これは元来、
気分が悪くなって寝こむ、というような
自分にとって、「いやだ」と思う状態を
防ぐためなんですが、
予防接種は、受けておいた方がいいんだと思います。

で、次はいつ受けるのがいいか、という
タイミングの話です。

インフルエンザの予防接種を受けてから
体の中に十分な抗体ができるまでの期間は
約2週間です。

インフルエンザの流行期は
毎年だいたい11月の半ば頃から始まりますが
ピークになるのは12月から3月くらいです。

ですから、その少なくとも2週間前に
受けておいた方がいいんですが、
そうすると、今年の理想的な時期は
もう過ぎた、ということになってしまいます。

毎年、「今年は『ほぼ日』で
インフルエンザの予防接種の話をしよう」と
ずっと思っていたのですが、
シリーズの切れ目がなかなかうまくいかずに
話しそびれてきていまいました。

今年も、ほぼ日ブックスの話をのろのろやっている間に
タイミングを逃してしまいました。
すみません。

でも、流行のピークはこれからですし、
少なくとも、次のシーズンには役に立てていただける、と
思い直して、ちょっと遅くなりましたが
今年、お話をさせていただくことにしました。

予防接種の回数や、
改正された予防接種法の内容などについては
次回にお伝えしようかと思います。

では、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2002-01-06-SUN

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