PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
ニューヨークの病院からの手紙。

手紙133 家庭内暴力・4 暴力の3つのステップ

こんにちは。

暗い話題が続いていますが、
家庭内の暴力についての4回目です。

家族や大切なひとに暴力をふるい始めるとき、
その行動はだいたい次の3つのステップを踏んでいて、
それを幾度も繰り返しながら
暴力の程度はどんどんひどくなっていく、というのが
典型的な例のようです。

ステップ1
あなたの行動、考え方、家庭やお金のことなど
ともかく、あなたにかかわるすべてのことについて
すごく厳しい言葉で責めたり、侮辱したりするようになる。

ステップ2
1で挙げたことなどを理由に身体的な暴力をふるい始める。
お酒を飲むことで、暴力がひどくなることもあるし、
暴力をふるうのは
「あなたが悪い」ということを
「あなたに教えてやっているからだ」と言うこともある。

ステップ3
自分があなたにふるってしまった暴力について
「自分が悪かった。もう2度としない」と約束する。
泣いて謝ることもあるし、その様子に
「彼は本気だ」と思う。
あなたは
今後、たぶん状況は良くなって行くだろうと願って
その謝罪を受け入れ、
これまでの生活を続けて行こうと考える。

もちろん、この3番目の出来事があったあと、
二度と暴力をふるわれることなく
幸せな生活を送っていくカップルも
いるのだろうと思います。

でも、多くの場合
再び相手は1から3のステップを踏んだ暴力をふるい、
回を重ねるたびにその程度はひどくなり、
あなたは身体的にも精神的にも
さらに大きなダメージを受けてしまいます。

暴力は、あなたの妊娠中にひどくなることもありますし
あなたばかりでなく、子供も被害を受けることもあります。

そして、肝心なことは
こうしたことは、たいてい家の中で起きるので
誰にも気がついてもらえないことが多いのです。

あなたと彼との関係は
果たして安全なものなのか、どうぞ考えてみてください。

家庭内の暴力については、
多くの公的・私的機関が、
さまざまな取り組みをしています。
そんな団体のひとつが作った、質問票があります。
内容は以下の通りです。

あなたの夫や恋人が次のようなことをしていませんか?

1.あなたやあなたの子供を脅かしている。
2.あなたに物を投げたり、押したり、蹴ったり、
  殴ったりする。
3.あなたを殴るのは、あなたが悪いからだ、と言う。
4.殴った後、もう2度としないと謝る
  (だけど、再び暴力をふるう)。
5.人前であなたを侮辱したり、
  家族や友達に会わせないようにする。
6.あなたの望まない性的な関係を強要する。

『もし、この中に1つでも「はい」があれば、
 あなたは虐待を受けていると言えます。
 どうかすぐに安全を確保するための
 策をとってください。
 もし、それが「今」起きているのなら、
 警察を呼んでください。』

あなたと彼との関係が安全なものでなければ、
そのことをぜひ、周囲に知らせてください。

親でも、兄弟でも、友達でも、同僚でも
力になってくれそうな人なら誰でもいいです。

でも、もしかしたら、
そんな助けを求めることができる相手が
近くにいないときもあるかもしれません。

そんなとき、
どこに連絡をとればいいのかということについて
次回はお伝えしようと思います。

では、みなさまどうぞお元気で。

本田美和子

 

2002-02-17-SUN

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