PHILADELPHIA
遙か彼方で働くひとよ。
ニューヨークの病院からの手紙。

手紙144 SMAP・2 職業としてのハンサム

こんにちは。

妹が好きだったので
家には橋本治さんの本がたくさんありました。
その著作の多くは
とてもやさしい言葉で書かれているので
どんどん読み進むことができることはできるのですが、
その内容は、わたしにはなかなか理解できなくって
結局、それはどういうことなんだ?と
わからないままになることが結構ありました。

もう、ずいぶん前に
編物についての本が出版されたことがありましたが、
彼の手にかかると
編物でさえ、わたしには難しくなってしまって、
わかりたいなと思う気持ちは募る一方なのに
でも、やっぱりわからずに
あきらめてしまうことを繰り返していました。

わからないというのは、
たぶん、彼の言葉を
実感としてとらえることができてないからだろう、
ということまではわかってきて、
まあ、いつかそのうち
その実感がわく日が来るかもしれないしね、と
半ばあきらめながら読み進めているうちに、
わからないままにも
心に残る言葉がいくつかできてきました。

そんな言葉のひとつに
「エリザベス・テーラーの職業は美人」
というのがありました。

エリザベス・テーラーは、それは美しい女性ですが、
その美しさは職業的なものであって、
その証拠に
彼女は自分が美人として必要とされているときには
すごい美人になれるし、
それがいやなときには、そうじゃなくなる。

彼女は自分の選択として
美人となることができて、
それを仕事にしている女性なんだ、
というような感じのことが書いてあったような気がします。

まだ学生の頃の、もうだいぶ昔の話で
その本が何だったのか、どころか
前後の文脈はこれで正しかったのかさえ
ちょっとうろ覚えで怪しくなってしまっていますが、
「エリザべス・テーラーの職業は美人」
というフレーズは確かです。

なんとなく、わかったような、わからないような。

いずれにせよ、
とても印象的な言葉でした。

「あれは、一体どういうことだったんだろう」と
それからしばらくは、
ぼーっと考えごとをしているときに
ふと思い返す事柄のひとつだったのですが、
仕事を始めてからは
その言葉すら、もうすっかり忘れてしまっていました。

お料理をしたり、歌を歌ったり、コントを演じたり、
とんでもない罰ゲームをやらされたり、と
SMAPxSMAPの中での彼らは
本当に多彩な姿を披露しています。

弟が送ってくれた
そんな彼らのビデオを見ているうちに、
「もしかしたら、『職業は美人』って
こういうことだったのかもね」と、思うようになりました。

昔、「エリザベス・テーラーの職業は美人」という
橋本治さんの言葉を読んだときには、
まだ、その意味がよくわからなかったけれど、
これを「SMAPの職業はハンサム」と置き換えれば、
今のわたしには
リアルな現実として理解できるような気がします。

もしかすると、全然見当外れなことを
考えているのかもしれませんが。

ともかく
そう思うきっかけになったことついて
次回お話しすることにして、
往診の話はその後に始めようかと思っています。

とりあえず、今日はこの辺で。
みなさま、どうぞお元気で。

本田美和子

2002-05-12-SUN

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