手紙176 医療制度のしくみ・13
日本の特徴(3)病院機能評価
こんにちは。
前回の掲載の後に
メールをくださった方々、どうもありがとうございました。
とてもうれしく読みました。
また、ぼちぼち続ける予定ですので
どうぞよろしくお願いします。
さて、いつもしつこく、ここから始める、
医療制度の三本の柱
1)医療の質(quality)
2)医療にかかる費用(cost)
3)医療へたどりつくまでの手間や時間(accessibility)
のうち、前回は
3)医療へたどりつくまでの手間や時間について
ご自身の経験を寄せてくださったメールを
ご紹介いたしましたが、
今日は1)医療の質についての話にしようかと思います。
多くのものごとがそうであるように、
医療の質という分野も、
なかなかひとつの物差しで測ることが難しいものです。
医療の分野で働いている人々の質なのか、
その人たちが提供できるサービスの質なのか、
そのサービスを提供する場所の質なのか、
そのための機械や検査の質なのか、
サービスを受ける人々の満足の質なのか、
まだまだ他にも考えるべき質はありそうです。
このように多方面に広がっている医療の質を
できるだけ評価してみようという試みがあります。
これを日本では病院機能評価と呼んでいます。
もともと、この考えは
50年ほど前に米国で生まれたものです。
米国では3年に一度この機能評価を受けて合格しないと
その病院では医療保険が使えなくなり、
そうなってしまっては
病院経営上、たいへんに危機的な状況に陥ってしまうので
病院の方針を決める管理部門は
万全の対策を立ててこれに臨んでいます。
フィラデルフィアの病院で働いていたときに
たまたまこの機能評価の年に当たって、
その準備から、結果までを目の当たりにする機会がありました。
当時、その様子をここでご紹介しましたので
もし、よろしかったらご覧になってみてください。
日本では、この病院機能評価を受けることは
必ずしも医療制度上必要、というわけではなく、
その病院が希望する場合にだけ、行われています。
その評価の対象となる内容は、
米国の病院機能評価団体
(正式な名前は医療施設認定合同委員会、
Joint Commission on Accrediated of Health Organization;
JCAHO といいます)が評価する内容と
だいたい同じようなものです。
また、この評価団体を迎えるために
病院の管理部門が
何ヶ月も前からその対応に取り組んでいる、というのも
米国にいたときと、同じ印象です。
日本では、昨年末までに
1100の医療施設がこの認定を受けているのだそうです。
認定合格率はだいたい8割。
医療機関の設備や環境や対応などについて
患者さんが満足できるレベルに達しているかどうか、
という観点からの病院の評価は
医療の質のひとつの物差しとしては、
有効であるのだろうと思います。
病院の中もなかなかきれいになりますし。
では、今日はこの辺で
みなさま、どうぞお元気で。
本田美和子 |