お医者さんと患者さん。 「遥か彼方で働くひとよ」が変わりました。 |
手紙198 日本のHIV ひとりストップエイズキャンペーン始めました・2 今度の日曜日の朝、NHKラジオをぜひ聞いてください。 こんにちは。 前回の掲載の後 たくさんのメールをいただきました。 ありがとうございました。 しみじみと、とてもうれしかったです。 ひとりキャンペーンの話の続きをしようと思います。 かつて、日本でHIV感染症が 社会的に大きく取り上げられた時期がありました。 当時の厚生省と広告代理店などが協力して行った、 1992年のストップエイズキャンペーンです。 数多くの著名人も参加して行われた このキャンペーンの結果、 多くの人の耳に 「HIV感染症/エイズ」という言葉が届き、 この年にHIV検査を受けた人は 10万人に迫る勢いでした。 しかし、この勢いはすぐに失速して 3年後には5万人あまりへと半減してしまい、 その後も検査を受ける人の数は 微増にとどまっています。 日本でのHIV検査を受けた人数と HIV感染者数の変化についてのグラフを ご覧下さい。 92年のストップエイズキャンペーンの 一時的な盛り上がりとその後の衰退が、 多くの人に 「HIVは昔問題になった病気である。 (そして、今はない)」 と思わせてしまっています。 ストップエイズキャンペーンは、 1992年後もずっと続けているそうなのですが、 なかなか多くの人の心に届く形になっていません。 HIV感染症は 自分で「検査を受けよう」と思わなければ 調べることはできません。 グラフでお示ししたように、 92年のストップエイズキャンペーンでは 前年の5倍以上の方が検査を受ける、という 大成功をおさめました。 そして、その後すごい勢いで 検査を受ける人は減っています。 検査を受ける人がいなければ、 HIV感染を見つけることができません。 そうすると、 病気がとても進行して何か症状が出るまで ご本人は 自分の感染を知らぬまま過ごしてしまい、 結果的に手遅れになってしまいます。 このグラフを、いつも 「残念だなあ」と思いながら見ていたのですが、 一年前の今頃、 「じゃあ、誰かがまた たくさんの人にアピールする キャンペーンをやってみたらいいんじゃないか」と 思いつきました。 内科医として 病院の診察室で、 既にHIVに感染した人が 受診してくれるのを待っているのでは、 あまりに消極的で、しかも手遅れです。 HIV感染症は自分には無縁だ、と思っている 圧倒的多数の日本の方々に、 「必ずしもそうではない」ことをお伝えするために、 また誰かが新しく、効果的なキャンペーンを 展開してくれるのを願いながら じっと待っているのでは、 もうだめだ、という気になってきました。 誰か、というのでは 誰だかわからないので、 とりあえず、自分でやってみることにしました。 こうして わたしのひとりキャンペーンは始まりました。 ひとりで始めるキャンペーンというのは とても便利です。 まず、第一に、気軽に力を貸してもらうことができます。 「ねえねえ、ちょっと困ってるんだけど 相談に乗ってくれない?」と お願いすると、 不憫に思って助けてくれる、 友人や知人や上司が次々に現れました。 本当にありがたいことで、深く感謝しています。 そして、今日は この手紙を読んでくださっている方に ぜひお願い申し上げたいことがあります。 ご縁があって、今度の日曜日(6月4日)の朝 NHKラジオで15分ほど、 日本のHIV事情について話しても良い、という インタビューの機会をいただきました。 NHKラジオ第1放送の「あさいちばん」という番組の中の 「日曜訪問」というコーナーです。 夢のような話です。 しかも、この放送は世界中どこででも聴けます。 NHKラジオの国際放送、 NHKワールド・ラジオ日本でも 「日曜訪問」は放送されるのだそうです。 NHKラジオのサイトでも紹介してもらっているので もしよろしければ、ご覧になってみて下さい。 ページの右上です。 日曜日の放送までは掲載されていると思います。 世界各地の地域別の周波数と放送時間は ここでわかります。 放送は、日本時間の 6月4日朝7時39分頃から55分ごろまでです。 お休みの日の早朝ですが、 もしお時間があえば ぜひお聞きくださいますようお願いいたします。 そして、もし、ひとりキャンペーンに 力を貸してもよい、とお考えの方がいらっしゃれば ぜひ、感想をNHKに届けていただけないでしょうか。 こんなずうずうしいことをお願いする理由はひとつです。 もし、ラジオの放送に反響があれば、 NHKの他の番組でも紹介してもらえる可能性が あるかもしれないのだそうです。 HIVのことを 多くの方に知っていただく機会を増やすために、 ぜひ、読んでくださっているみなさまの お力をお貸しください。 NHKラジオでは 聴取者からの意見や感想を インターネットや電話で受け付けています。 ウェブサイトは https://www.nhk.or.jp/plaza/mail_program/radiodir.html 、 電話の場合は視聴者コールセンター 電話0570-066066 です。 こんなことを 読んでくださっている方々にお願いするのは どうかしてる、と自分でも思いますが、 ひとりキャンペーンを みんなのキャンペーンにするためには どうしても必要です。 ぜひ、お力を貸してくださいますよう お願い申し上げます。 残念なことに、「日曜訪問」は 九州沖縄地区では別番組が放送されるのだそうです。 フィラデルフィアの友人や、ロンドンの従兄は聞けるけど 熊本の両親は聞けない、という事情を知り 両親はちょっとがっかりしています。 では、今日はこの辺で。 みなさま、どうぞお元気で。 本田美和子 |
2006-06-02-FRI
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